鈴木暁音(2022年度 本科 ソーシャルデザイン実習/北海道大学 環境科学院 修士1年)
私は生態学の研究をしている学生です。でも将来は伝統工芸に関わる仕事がしたいと思っています。そんな私は、サイエンスコミュニケーションを学んで生物学と伝統工芸をつなげたいと考え、CoSTEPを受講することにしました。
私が所属したソーシャルデザイン実習では社会課題を科学技術コミュニケーションの視点から考え、実践を行います。今年度は現代アートや映像の手法を学び、服と環境をテーマに2つの実践をしました。1つはワークショップ「今日なに着てる?」、2つ目は動画と音声コンテンツ「エシカル×シカケル」の作成・発信です。
一口に服の環境問題といっても、石油消費や大量廃棄、水の汚染など様々です。どれも世界規模で起きている問題で、私たちにできる解決の糸口がなかなかつかめませんでした。その中で何ができるのかを右往左往しながら考えたのが、私にとってのソーシャルデザイン実習の1年でした。
最初のイベント「今日なに着てる?」は、自然とエシカル消費ができるような仕組みを作るための材料を集めるために考え始めました。どんな人をターゲットにするのか、どんな方法なら服を選ぶ基準に環境も加えることができるのかを探ります。服のこだわりから環境とのつながりを考えるイベントになりました。
ワークショップ当日。私は参加できないハプニングに見舞われ不在。
エシカル消費を実行に移す仕掛けは。どのように作れるか?最初はTikTokでエシカルな実践をバズらせることで、興味のない人に情報を届けようとしていました。しかし一向に話が進みません。自分たちの作ろうとしている動画が面白いと思えなかったのです。情報の届け方に気を取られて、中身がおろそかになっていたと気づかされました。
失敗を経て環境と服に取り組む人や企業を取材して動画を作る方針に切り替わり、エシカル×シカケルができました。取材を始めて私が思ったのは、外の社会にはこんなに面白い取り組みをしている人がいるのか!ということです。それまで何をしたらいいのかわからなかったのが嘘のように、こんなことやってみたいなというアイデアが出てきました。全然時間がなかったので実現できませんでしたが、取材をきっかけに伝えたいことが見つかったと思います。
取材の様子
CoSTEPでは伝えるための手法をたくさん学びましたが、同時に伝えたいという思いがないと何も動けなくなるのだと学びました。自分たちが本当に伝えたいことは何なのか。それは自分の中にあるのか、外にあるのかわかりませんが、とにかく考えて動いて探すことが大事なのだと思います。
エシカル×シカケルをチームとして作り上げたことも私にとっては大きな経験でした。班のみんなは好みや背景が本当にバラバラでとても苦労しました。これは良くないのではと思っても上手く言語化できなかったり、いつの間にかみんなと認識がずれていたり。しかし各自の得意なことを生かして役割分担すると、それぞれの良いところが出てきました。班のみんなから学ぶことも多かったです。修了式当日の朝まで話し合いが続きましたが、そのころには自分たちの意見をしっかり言い合えるチームが出来上がっていました。
修了式の集合写真。
聞くのとやるのでは大違い。あなたも動いて実践することできっとわかるはずです。