チラシのデザインを担当したのは、本科グラフィックデザイン実習を専攻している中村文香さん(北海道大学大学院総合化学院修士2年総合化学専攻)。
中村さんの制作レポートを紹介します。
『くすり』よ届け。ナノサイズ船細胞の宇宙を行く
薬が患部に届く。当たり前ですが、薬がきちんと効くためには欠かせない過程です。今回のカフェは、DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)という薬を効率的に届ける仕組みと最先端の遺伝子治療を組み合わせた、次世代の『くすり』の話です。薬が超微細な細胞内を通過して、患部に到達するまでの道のりは過酷で、まるで宇宙への旅のようです。ゲストはそんな過酷な旅に耐えうる「薬の設計士」秋田英万さん。タイトルは、微細な薬の旅の様子と、秋田さんの「薬を困っている人々に届けたい。」という熱い想いをストレートに表しています。
私は誰に何を届けたいのか?想いを形にする作業
「チラシのデザイン・制作担当として誰に何を伝えたいか?」まず私が取りかかったことは、考えることでした。デザインで最も大切なことは「どんな想いを伝えたいか」。これは私がCoSTEPで学んだことです。いろいろ考えた末、三つに絞りました。一つ目は薬を届けたいという想い,二つ目は研究のワクワク感,三つ目は,秋田さんの優しく素敵な人柄です。
そしてこれら表現したいことをデザインにどう落とし込むか、全体の印象(イラストか写真か)は?使う素材(色合いや質感)は?など、イラストを描いたりや模型などを作ったりしながら、グラフィックデザイン実習生やカフェの企画メンバーと何度も話し合いを重ねました。決断に迷ったときは、その都度初めの「伝えたいこと」に立ち戻って考えました。想いを形にする作業は想像以上に大変でしたが、その分やりがいもありました。
「届けたい。」想いをリボンに託して!
最終的に「一番伝えたいこと=薬を届けたいという想い」をシンプルに表現しようと決めました。そこで、「薬」に“プレゼント”のシンボルであるリボンをあしらうことにしました。また、ワクワク感を出すために、重力に逆らって薬を宇宙船のように飛ばしてみました!(秘密のトリックです)さらに親しみやすい雰囲気にするために、字体や色合いにも工夫を加えました。無機質な薬にかかった真っ赤なリボンから熱い想いを感じ取っていたければ嬉しいです。
最後に、このリボンにはみなさんへ、秋田さんの研究のおもしろさを届けたいという私たち企画メンバーの願いも込められています。