実践+発信

62サイエンスカフェ札幌「『分ける』『分かる』植物の世界北の植物のルーツをたどれ〜」様子をレポート

2012.3.8

2月18日(土)に行われたサイエンス・カフェ札幌の様子について報告します。ゲストは北海道大学総合博物館教授の高橋英樹さんです。今回のテーマは植物分類学。高橋さんは植物をかたちの違いによって分けることで、植物のルーツをたどるといった研究をされています。普段はなかなか聞けない、フィールド調査のお話や、ある植物がどこから来たかなど、盛りだくさんの内容です。

開場ギリギリまで高橋さんとスタッフで入念な打ち合わせを行い、本番中の動きの最終的な確認をしました。

寒い中、開場前からたくさんの方に来ていただきました。広報が遅れてしまったにもかかわらず、当初予定していた人数を大幅に超え、立ち見も出るほどの盛況でした。

 

いよいよ開会です。まずは分類の基本的な「いろは」についてのお話。ここで突然、クイズが始まります。分類の単位である種、属、科のうち、どれがより小さい単位かという問題です。「科>属>種」の順で小さい単位になっていく、というのが答えですが、みなさんさすがの正解率でした。

次に、高橋さんが実際にされているフィールド調査のお話です。高橋さんの調査地は主に北海道を含む北方圏ですが、今回は千島列島やサハリン、シベリアでの調査について紹介してくれました。フィールド調査により植物を集めることが、先生の研究にとって一番の基礎となる部分なので、お話にも熱が入ります。そして、集めてきた植物を標本にし、おしべ、めしべの付き方などのかたちの違いによって分類することで、植物が南下してきたルートが分かるのです。

前方のテーブルには標本が並べられており、休憩時間に自由に見ることができました。普段はなかなか間近で見ることがない標本を手に取りじっくり観察することができるため、多くの参加者が非常に興味をもってくださり、ここでも高橋さんと活発なやり取りがありました。

 

質問コーナーでは、高橋さんが植物分類学を専攻した意外(?)な理由も明らかになりました。最後にクラーク博士が札幌で集めた植物の標本についてのお話です。学生との野外観察の際に採集した標本など、クラーク博士が残した貴重な標本についてのお話をしていただきました。高橋さんがコーディネートしている、北大総合博物館の特別展「クラーク博士と札幌の植物」(3月3日から5月6日まで開催)で、その詳細を知ることができます。よろしければ、どうぞ足を運んでみてください。

(CoSTEP2011年度本科生・平等清夏)