実践+発信

人生の迷いにCoSTEP! 選科から本科へ出戻り受講の記録

2025.3.21

菊池 ちひろ/2024年度 本科 対話の場の創造実習
北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構


私は、大学病院で新規医療技術開発に関わる部署で広報を担当しています。しかし、前職は広告業であり、医療や科学の専門性はありません。たまたま就いた職場ながらやりがいを感じる一方、馴染みのない業界に戸惑い、自信を持てずにいました。

そんな中、7年前、偶然見つけたCoSTEPに興味を持ち、13期選科Aを受講しました。本科を希望していましたが、当時は子どもが幼く、断念しました。しかし、札幌在住の利点を活かし、オンラインと現地参加を併用して受けた講義はどれも興味深く、3日間の集中演習では科学の専門性が高い受講生たちと共にサイエンスイベントを作り上げ、大きな自信につながりました。

そして2024年4月。私は再びCoSTEPの門を叩きました。

この間、社会は大きく変化し、私自身も年齢を重ねる中で、立場や理想が少しずつ変わりました。何を目指し、何を学んでいくべきか迷う中、ふとCoSTEのことを思い出しました。
前回の受講が自信につながったように、今の自分にも必要な何かを与えてくれるかもしれない。「本当は本科を受講したかった」という心残りも、背中を押しました。

結論からいうと、この決断はまさに英断でした。
本科の活動は想像以上に大変で、忙しく、うまくいかないことの連続でしたが、その苦労の何倍もの学びがありました。
私が受講した「対話の場の創造実習」では、サイエンスイベントなどの企画を通じて、より良い対話の場をどうデザインするかを考えます。本来、コミュニケーションの相手は、イベントの参加者です。しかし、最も試行錯誤したのは、共に学ぶ仲間や先生方とのコミュニケーションでした。そして、そこにこそ本当に価値のある学びがありました。

苦労して考えた企画が形になった時の喜びはひとしお

選科との大きな違いは「時間」と「仲間」だと言えます。
2泊3日でイベントを作り上げる選科の集中演習では、限られた時間の中で迷う余地も限定的でした。また、受講生の多くが社会人で、それぞれの経験やスキルが、この無謀ともいえる挑戦を可能にしていたと思います。

一方、本科の受講生の多くは学生であり、この立場の異なる仲間たちとの協働は、私にとってとても意義深いものでした。彼らの、悩み迷っても、やりたいことを諦めない熱意には驚かされました。私は、自分のできることの範囲で物事を進めようとする癖があり、どうしてもこじんまりとまとめがちです。しかし、彼らの姿を見て、自分の能力の枠を超えて挑戦することの大切さ、そして、その姿に心が動かされる自分に気づきました。

考えては振り出しに戻るの繰り返しに心が折れそうになることも…

この1年で、2つのイベントを企画しました。選科の集中演習と比べ、圧倒的に長い時間をかけられるがゆえに、悩む時間もテーマも無限にありました。先生方の言葉を借りるなら、「真面目でおとなしく、盛り上がりに欠ける」私たちの企画は遅々として進まず、先生方を苦しめました。それでも、手を変え品を変え、私たちに火をつけようと努力してくださった、その辛抱強い支えには、感謝してもしきれません。

この1年で得た学びや経験は、間違いなく今の自分に必要なものでした。必ずしも科学や研究の専門性は必要ありません。どんな立場や年齢であっても、大切な何かを得られる1年になると思います。現状に悩み迷っている方は、ぜひ受講を検討してみてはいかがでしょうか。

なんだかARコンテンツを制作できるようにもなりました!

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