今岡 広一/2024年度 本科 グラフィックデザイン実習
北海道立総合研究機構
受講の動機・きっかけ
仕事に不満があるわけではありませんが、なんとなくマンネリや閉塞感を感じていました。そんな中、職場で研究広報を兼務することになり、上司から「広報をやるなら、CoSTEPで科学技術コミュニケーションを学ぶといいよ」と勧められたことが、受講を考えるきっかけでした。
私の仕事は研究職ですが、一人で黙々と研究するわけではなく、技術的なコミュニケーションが必要とされる職務です。以前から企業の方々と技術的な話をする際に、もっと上手に伝えられたらと思うことがよくありました。例えば、「加速度って何?」と聞かれたとき、私はそれがあまりにも当たり前な言葉なので簡潔に伝えられないもどかしさを感じていました。そこで、CoSTEPを受講すれば広報業務の参考になるだけでなく、企業の方々とももっと効果的にコミュニケーションが取れるようになるだろうと考え、受講を決めました。

実際に受講した感想
CoSTEPを実際に受講した感想は、正直言って書ききれないほどあります。CoSTEPが超実践主義の講座であること、外部講師の豪華さや話の面白さ、素晴らしい仲間と切磋琢磨できたこと…。などなど。
これらは他の受講生の体験記にも書かれているので、そちらを読んでいただくとして、私は専任講師陣の先生方の姿勢について書きたいと思います。普通の講座であれば、先生が提示した、大きなテーマなどに沿って受講生が実習を行い、先生が時々口を出す形が一般的かと思います。しかし、CoSTEPの先生方は、受講生と一緒になって(時には受講生よりも熱心に)実習に参加されます。伝えたいことを最も的確に表現するために、どういった表現が最適かをみんなで考える場面では、先生方も一緒になって試行錯誤する姿を間近で見ることができました。一流の科学技術コミュニケーションの専門家である先生方が、ここまで深く表現にこだわっているのを目の当たりにし、真剣に伝えることの重要さを痛感しました。

また、先生方が開催するサイエンスカフェなどのイベントを手伝う機会がありましたが、これはまさに一流の科学技術コミュニケーターが実践している様子を間近で見ることができた貴重な経験でした。プロの方々がどこまで細やかな配慮をしているのか、内容が砕け過ぎないように難しくならないようにどうバランスを取っているのかなどを身近で学ぶことができました。

科学技術コミュニケーションとは何かを教科書で学ぶことは一人でもできるかもしれません。しかし、本当の科学技術コミュニケーションを超高濃度で実践し、一流の実践を間近で見られるのは、CoSTEPでしか得られない経験だと私は強く感じました。
講師の先生方に共通しているのは、こちらが真剣に実践すればするほど、それに応えてくれるという点です。逆に言えば、CoSTEPでは受け身の姿勢でいると、身につくことは少ないかもしれません。
受講を終えて
CoSTEPで得たことは本当に山のようにありますが、受講後の今、それをすぐに実務に活かせているかと聞かれると、正直、実感としてはまだあまり感じていません(先生方、すみません)。
いまだに加速度を説明する際には試行錯誤を繰り返しています。しかし、以前と違って、うまく説明できないことに焦らなくなりました。相手に理解してもらうためにはその試行錯誤が必要であり、その努力を継続することこそが何より重要だと、先生方の背中を見て学びましたから。
私は、CoSTEPを受講して本当に良かったと思っています。素晴らしい先生方、受講生と共に学び、実践を通じてしか得られないであろう多くのことを得ることができました。
過去の受講生の体験記が、私の背中を押してくれたように、私の体験記が受講を迷っているあなたの背中を押すことができればとても嬉しいです。
CoSTEPで過ごす一年は、めちゃくちゃ大変で、めっちゃくちゃ素晴らしいものになると思います。まだ見ぬあなたと、科学技術コミュニケーターとして仲間になれることをどうか願っています。