実践+発信

新たな視点と出会い。多様性との協働と自己発見の

2025.3.21

長谷部 未来/2024年度 選科A(サイエンスイベント企画運営)
化粧品メーカー研究員


受講動機

私は関西の化粧品メーカーで研究開発と研究広報を兼務し、新しいものを科学的に創る傍ら、感性的に“伝える”ことを担っています。そこで「科学の“伝え方”を学びたい」と考え、オンラインで遠方からでも参加しやすいCoSTEP選科の受講を決めました。7月には集中演習で涼しい北海道に行けることも楽しみの1つでした。

志望動機の1つ、夏の北海道

受講動機とのギャップが生んだ学び

「オンラインで受講しやすい」「“伝え方”を学ぶ」「夏の涼しい北海道」という受講動機。実はすぐに「ちょっと思ってたんと違うかも……」となりましたが、結果的には良い意外性だったなと思います。

[1] いつでも見られる講義動画は、逆に「いつ見たらよいのか?」
仕事と家庭があるなか、ほぼ毎週の講義動画に集中する時間を確保することは、想像以上に工夫が必要でした。ですが内容の面白さや新鮮さに支えられ、仕事の昼休憩や新幹線移動などを活用し、不定期に時間を確保。理論だけでなく様々な立場での実践に基づく講義は毎回学びと気付きが多く、「こんなに贅沢でいいんだろうか?」と申し訳なくなるレベル。
休憩や移動というゆるい時間が濃密な学び時間へと変化しました。

[2] “伝える”から“コミュニケーション”へのマインドチェンジ
CoSTEPは“伝え方”を学べるだけではなく、「コミュニケーション≒相互理解」へのマインドチェンジを促してくれる場所でした。自分が“伝える”ことに主軸を置きがちであることに気付かされ、コミュニケーションには双方向の対話・相互理解が不可欠であると実感できました。
このことは、今後の活動幅を広げる大切な軸の一つになるように思います。

仲間たちとの対話型鑑賞で気付きが増えた、美術館・科学館実習

[3] アツい議論で時間を溶かした北海道集中演習
涼しいはずの北海道集中演習では、アツすぎる議論で時間を溶かしました。様々な考え方や背景をもつ6人が初対面からたった3日間で1つのイベントを創る難しさは、未体験ゾーン。「話し合いってこんなに難しいのだっけ」と途方に暮れつつも、ひとつの事柄に対する多種多様な捉え方に直面できたことは、今後、科学技術コミュニケーションを実践するにあたって忘れてはいけない大切な学びになったと思います。

議論が難航し時間を溶かす6人と、朴先生

6人全員の納得する解が見つからない状況が長く続きましたが、最後まで「何か」を創り上げようと向き合い続けた仲間たちと、要所で方向性チェンジの機会やヒントを与え力強く声をかけ続けてくださった朴先生には感謝しかありません。

集中演習のイベント発表終了後 (右から3番目が筆者)

未来への展望

CoSTEPでの出会いはかけがえのないものであり、これからも縦横のつながりを大切にし、またなにか新しく面白い場を一緒に創りたいです。

修了式にてポスター発表 [未来のサイエンスイベントを企画]

一方、CoSTEPの仲間はみな一定以上の科学リテラシーをもつ「科学技術コミュニケーション」に興味がある人たち。社会全体の中では、とても似ている集団とも言えるでしょう。今後は、これまで以上に多様な人たちとの協働も、より一層求められることを忘れないようにしたいです。

もう一度受講したいか?と聞かれたら「もちろんです」と答えるでしょう。まずはこの1年で得たことを実践し、学びを昇華させてから。次は(本当は本科希望ですが、遠方のため)選科Bも受講してみたいです。


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