実践+発信

「ラジオをツールとしたまちづくり」/123 松崎霜樹先生の講義レポート

2013.1.26

1月23日、おびひろ市民ラジオ(FMウィング)でスーパーバイザー・プロデューサーの松崎霜樹先生の講義が行われました。

今回の講義では、ラジオ(コミュニティFM)が、どのようにまちづくりにかかわっているのか、実例をもとに話ししてくださいました。

■コミュニティFMとは

別名「地域FM」とも呼ばれます。1992年に制度化された超短波放送で、最大出力は20W。放送エリアが地域(市区町村単位)に限定されるため、地域の商業、行政情報や独自の地元情報に特化し、地域活性化に役立つ、地域のためのラジオです。同時に、災害時には緊急放送を行う、という重要な使命があります。しかし、災害時にすぐにチャンネルを合わせてもらうためには、日ごろから聴いてもらうことが重要です。

■おびひろ市民ラジオ(FMウィング)とは

「市民のための、市民のラジオ」をキャッチフレーズに、1994年12月に開局。当時は、市民による情報受発信が可能なラジオ局としてスタートしました。

松崎先生の考えるまちづくりとは、「地域社会の中で暮らしている人が、幸せを享受できること」。そのために、コミュニティFMはどうあるべきか、これまでに制作した番組やラジオ局が企画したイベントを紹介してくれました。

■地域密着・まちづくり放送局の取組み

制作番組は、夏(冬)休みこどもクイズ、市民サポーターを育成するOBEC(帯広放送駅前大学)などがあります。小学生が参加するこどもクイズは、土曜午前10時からの放送ですが、24時間後、日曜の夜10時に再放送します。夜10時に再放送する目的は、こどもの親、祖父母など、家族そろって楽しんでもらおう、というものです。

そしてリスナーを惹きつけておくためには、放送の質を高め、維持しなくてはいけません。そのために、市民サーポーター養成を行い、その様子を番組として放送し、リスナーとの双方向コミュニケーションをはかり、一緒にサポーター達のスキルアップを応援してもらうそうです。

いづれも市民参加型の番組で、ゲスト1人に対し、兄弟、両親、祖父母、親戚、などがその放送を聞くので、ざっと7人のリスナーを獲得できるそうです。

企業とのコラボ企画も次々生まれています。十勝管内のうどん屋さんに、新レシピを開発してもらい、スタンプラリーを行う、JR北海道とのコラボで「ワイン列車」を走らせる。あるいは、高校生討論会や弁論大会を生放送し、未来の十勝を語ってもらう、などあらゆる世代にも参加してもらう企画です。

■ラジオが「まちづくり」に果たす役割

ラジオステーション、という言葉があります。「ステーション=駅」とは、多様な人が訪れ、プラットホームに入る列車でさまざまなところに行ったり来たりする場所です。ラジオに関わる人も、子どもからお年寄り、職業も会社員、酪農家、販売者、主婦などさまざま。

生産=加工=飲食店をプラットフォームで繋がれば、街はさまざまな視点から刺激を受け、つながりが活発になっていきます。

「ラジオ」というツールが、「まちづくり」に大きな役割を果たしていることを、強く印象付けた講義でした。

また、紹介された多くの企画は、今後コミュニケーターとして活躍する受講生にも刺激となりました。

 

松崎先生、ありがとうございました。