実践+発信

67 サイエンスカフェ札幌「体温、アガレ! スポーツ科学から見る駅伝」開催されました

2013.2.5
1月26日(土)、第67回サイエンス・カフェ札幌「体温、アガレ! スポーツ科学から見る駅伝」が開催されました。ゲストは北海道大学高等教育推進機構准教授の瀧澤一騎(たきざわかずき)さん。当日は厳しい寒さの中でしたが、満席になるほど多くの方々に来ていただきました。他のカフェと比べて、若い人の割合が多いことが印象的でした。カフェのテーマや、目立つと評判だった、長田さん作のアメコミ風チラシデザインの影響でしょうか?
さて、瀧澤さんの研究内容は、「ウォーミングアップ」。聞きなれた言葉ですが、科学の世界ではどのような研究がされているのでしょうか? 瀧澤さんは、「体温」が体に与える影響を説明しながら、ウォーミングアップの秘密をお話ししてくださいました。また、先日行われた箱根駅伝のレース中に、ペースを乱してしまった選手の体にどのようなことが起こった可能性があるかを科学的に解説してくださり、会場の興味を引きました。瀧澤さんが話されると、体育系らしいハリのある声が会場に響きます。
当日メイン・ファシリテーターを務めた私、小高が会場の様子を見ていて、特に来場者の反応が大きかったのは、以下のような話題でした。

・ウォーミングアップの効果はそれほど長く持続しないので、タイミングよくウォーミングアップするのが大事
・ゆっくりダラダラとするウォーミングアップは効果が薄いので、少しきついと感じるぐらいのものを短時間で済ませるのが良い
他にも興味深い話が満載で、正面からは来場者の「へぇ」という顔をたくさん見ることができました。

忘れてはならないのが、今回の目玉でもある「ウォーミングアップ効果実験」です。様々なデータを測定できる実験用のエアロバイクをもちこみ、ウォーミングアップの効果を来場者の目で確かめてもらいました。パフォーマーは長田さん。ジャージ姿が目を引きます。どうやって計測するかというと、30秒全力でエアロバイクをこぐだけなのですが、これが本当にきついそうです(長田談)。まずは、比較のために事前に撮影した、ウォーミングアップをしないで計測した時の様子を動画で見せました。そして、いよいよ本番。長田さんは10分間のウォーミングアップを終えて準備万端です。瀧澤さんの「5・4・3・2・1・スタート!」の声と同時に全力で足を踏み込みます。会場からは「ガンバレ!」という熱い声援。声援があるのとないのとでは結果が驚くほど変わってくるので、計測するときは必ず全力で応援するそうです。もちろん、瀧澤さんも全力で声援を送ります。20秒を過ぎて、ペースが落ちてきた長田さんを一体となった会場からの声援が突き動かします。「ラスト3秒、2、1、終了〜」。さぁ結果は・・・
おお!大きくパフォーマンスが向上しています。会場との一体感も感じられたこの試みは大成功でした。
 カフェを終えて、メンバーの顔には安堵の表情が浮かび、そしてハイタッチが交わされました。メンバーにとって、企画から本番に至るまで、約2か月の体験はかけがえのないものになりました。また、お客様に書いてもらったアンケートを見ると、スポーツ科学に魅力や可能性を感じたということや、聞いた話をこれからの生活に活かしたいということが書かれており、とてもうれしかったです。
当日集まってくださったヘルプスタッフの方、こうしてほしいという注文に誠実に対応してくださり、本番もわかりやすい説明を意識してくださったゲストの瀧澤さん、そして熱い声援を送ってくださった来場者のみなさんのおかげで、カフェは成功を収めることが出来たと思います。本当にありがとうございました!!
(レポート:2012年度本科 小高章宏)