高校理科教師という仕事柄、最近急激に高まってきている高大連携の動きの中で、大学での実験や講義に生徒を引率して受講したり、あるいは出前授業で大学の先生を高校に迎えたりするうちに、大学と高校を結ぶコーディネーター役の必要性を感じるようになりました。同時に、大学の研究室で行われている研究内容や研究者の夢、人となりを高校生にわかりやすく親しみをこめて紹介することで、理科に対する興味・関心を喚起するとともに、進路選択の一助となるのではないか、その役を自分が将来(とはいっても退職間際)担うことができれば、と考えるようになったのです。 講義のほとんどをe-ラーニングに頼ることになってしまったけれども、講義を通じて「理科離れ」の問題はもちろん、科学・技術の問題についても、マスコミ、起業家、生活者、アーティストなど様々な視点から学ぶことができました。特に「トランス・サイエンス」は初めて耳にする言葉でもあり、このことを通じて科学技術と社会の問題について新たな認識や観点を養うことができました。苦労したのは、毎回のレポートです。そのために関連書籍を何冊も購読したが、結局そのことが理解や認識を深める上で大いに役立ったと感じています。 振り返ると、講義は多彩で科学技術コミュニケーター養成のための優れたカリキュラムとなっていたと思います。私の夢は退職後、上記のような役割を担えるようになりたいということです。しかし、夢はかなわずとも、科学技術コミュニケーターとしての視点をしっかりと活かして理科教育に携わりたいと考えています。
- 三輪 礼二郎
- 高校理科教師