実践+発信

メディアを通じたコミュニケーション強さを知る

2011.3.31

私がCoSTEPの存在を知ったのは、募集申込の締め切り3週間前でした。薬剤師として、日常の仕事が専門知識を患者さんにいかに伝えるかが重要であったことと、薬害問題に取り組むNPOに参加し始めた矢先のことだったため、市民に科学を伝える「科学コミュニケーター」という言葉に、多くの可能性を感じました。しかし、仕事をしながら一年間授業に出続けられるのか? この経験をどう活かすことができるのか? いろいろ考えはしましたが、当初の直感を信じてCoSTEPの門をたたきました。 私がCoSTEPで学んだことは、 1.COSTEP講師陣から、科学知識を伝える「科学コミュニケーター」と、科学問題に対して様々な意見を発信する「科学ジャーナリスト」との違い。そして本物の科学ジャーナリストがもっと必要だということ。市民に科学を伝えるにあたって重要なことが、「わかりやすさ」だけではないということ。 2.講義からは、各ジャンルで活躍している科学技術コミュニケーターの実践内容と、科学の視点からみる社会、企業、マスコミについての知見。さらに講義の後の交流会でも貴重なお話を聞けました。 3.音声・映像実習でのポッドキャスト番組、映像作品を通して、メディアを通して伝えることのできるメッセージの強さと、その作成過程の大変さ、産みの苦しみ。完成した時の喜びは格別でした。 4.社会への問題意識の高い受講生たちと議論し、活動し、共感したこと。そして、それが未来へと続く縁となる可能性を秘めていること。 5.Twitterやfacebookなどのソーシャルメディアを使ったコミュニケーションができるようになったこと。 そして、これは今期だけの特権になりますが、鈴木章先生のノーベル化学賞受賞を受けて、CoSTEP講師陣の獅子奮迅の活躍を身近で見ることができたことは、大変貴重でラッキーな経験となりました。また、修了式前日に東日本を襲った大震災以降も科学コミュニケーターの役割をとは何か考えさせられています。 CoSTEPの1年間は予想以上にハードで、自分の非力を思い知らされること多かったですが、多くの経験値を積めたことも確か。これからもCoSTEPの活動は見逃せないし、私もこの経験をどう活かして新しいチャレンジをしていこうと考えています。

山口 章江
薬剤師