実践+発信

大豊作だった受講期間

2011.3.31

私がCoSTEPを知ったのは、北大の構内で目に入ったサイエンスカフェのポスターがきっかけでした。他の掲示とは違う洗練されたデザインのポスターをCoSTEP受講生が制作したものだと知り、興味を持ちました。最初は、サイエンスカフェなどのイベントを運営するノウハウを教えてくれる講座なのかと思っていましたが、受講説明会に参加してみたらその内容の幅広さに驚きました。 私の仕事には、研究者からの指示で実験を行うほか、発表ポスターや論文に載せる図や絵を描くことも含まれます。どうしたら伝わりやすい図になるか、わかりやすい絵が描けるか。私はもっと自分に指示を出す研究者とコミュニケーションを取って、研究者の意図を汲み取るだけでなく、自分から提案することで今まで以上に質の高い仕事をすることが可能なのではないかと思い、本科・グラフィックデザイン実習の受講を決めました。 様々な分野で活躍する先生方の講義は刺激的で、これまで関わったことのない分野の講義は違う世界を覗くようで、本当にわくわくしました。実習で、次の週から仕事に役立つようなテクニックを教わった時など、「ラッキー!」と思わず声が出そうでしたが、きれいにかっこよく描くテクニックよりも、デザインに必要な「一番伝えたいこと」をどのように表現するかという「考える作業」について指導してもらったことが何よりの収穫でした。 いろいろな職業の受講生と一緒に講義や演習を受けることで、私には思いつかないような視点の意見や、柔軟な発想ができる「人」に出会うことができました。これもまた収穫の一つです。その他にも得られたことが多すぎて書ききれないほど、私の畑は大豊作でした。 自分の仕事のために受講を決めたCoSTEPでしたが、受講を終えて、この収穫を仕事のためだけに使うにはもったいない、仕事以外にも科学技術コミュニケーターとして役立てることができないかと、少し欲が出てきています。人と人はどのようにつながっていくか分かりません。いつでも新しい挑戦ができるように自分を磨き続けて行きたいと思います。

上口 愛
北海道大学先端生命科学研究院 技術補佐員