実践+発信

キセキ光る

2011.10.1

カテゴリー:チラシ・ポスター

イベント:サイエンス・カフェ札幌

制作者:石井翔太(2011年度本科)

制作年:2011年10月


 チラシのデザインを担当したのは,本科グラフィックデザイン実習を専攻している石井翔太さん。北海道大学大学院工学院修士2年,環境創生工学を専攻しています。石井さんの制作レポートを紹介します。

 

 

 

私たちの身の回りのものはすべて分子でできています。しかし,分子1つ1つを目で見ることはできません。目に見えないものをどう表現するかということが今回のデザインで難しい課題の1つでした。

 

 

カフェのゲストである伊藤肇さん(北海道大学工学研究院教授)は,力が加わると性質が変わり,紫外線下で光の色が変わる特殊な分子を発見しました。打合せの時に見せて頂いた,こすった部分の色が変化する映像はとても美しく印象に残っています。

 

 

その後,企画メンバーと一緒に時間をかけて決めたタイトルは「キセキが光る」。「キセキ」には非常に珍しい物質が発見された「奇跡」と,こすった「軌跡」という2つの意味が込められています。

 

 

そしてチラシデザインをスタートさせました。サイエンスという専門的で難しいテーマをどれだけデザインの力で解きほぐすことができるか。

 

 

しかし,考えても「これだ」というアイデアは出てきませんでした。仲間からもアイデアやキーワードを出してもらったのですが,なかなかイメージには繋がりません。長い時間悩み,やっと大津先生に一つの提案をいただきました。タイトルの文字列から「軌跡」をイメージするのは難しいので「こすった部分(軌跡)が光る」様子をシンプルに表現してみたら—。最初の僕は分子構造や光るメカニズムを正確に表現することばかり考えていました。限られた紙面の中に伝えたいことを載せるにはメッセージを適度な量にしなければ伝わらないということを学び,情報の取捨選択の重要さを実感しました。

 

 

アイディアを具体化するのも簡単ではありません。軌跡をどのように描くか,紙のなかのどこから軌跡が始まってどこで終わるのか。色や文字列との位置関係などもレイアウトにとって大切な要素です。そうして完成したのが今回のチラシです。伊藤さんの横顔を加える

 

ことで,ささやかな遊び心もとり入れてみました。紙面から飛び出す一本の道筋に,今後の研究成果への夢を感じていただけたら幸いです。