実践+発信

対話の場のデザイン ワークショップ「さんかくテーブル」をつかってみよう開催

2014.7.27

7月6日(日)、「対話の場のデザイン ワークショップ〜「さんかく△テーブル」をつかってみよう〜」を開催しました。「さんかく△テーブル」は、科学技術と社会の間に生じるさまざまな問題について気軽に議論するための新しい話し合いの方法で、今回、この方法を開発した八木絵香さん(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)を迎え、ワークショップを実施しました。ワークショップにはおよそ20名が参加し、実際に「さんかく△テーブル」を体験した後に、対話のエクササイズとして学校や科学館、地域の活動などでどのように活用できるかをグループごとにデザインし、発表しました。

当日のワークショップの様子を一部紹介します。

「さんかく△テーブル」の背景と方法のレクチャー

エネルギー問題や先端科学技術をめぐる問題で、国民的な議論が必要だということは、よく言われていることです。けれども、意見や立場が異なる人同士が議論する場をつくるというのはそれほど簡単なことではありません。「さんかく△テーブル」は、学校や科学館などの現場で、主催する側に特別な知識やノウハウがなくても、手軽に対話の場づくりができるという特徴があります。

八木さんは、「さんかく△」には3つの意味が込められているといいます。1つめは、△のこたえを目指そうという意味です。科学技術をめぐる問題を解決する場面では、完全な〇(正解)も ☓(不正解)もありません。「さんかく△テーブル」では、新しい価値を含む△のこたえを、多様な知識や関心を持つ人同士が議論して見つけ出していきます。2つめの意味は、参画(さんかく△)しよう。主催する方はもちろん、議論に参加する人々にも、さまざまな役割を担ってもらいながら、参画(さんかく△)を進めるツールを提案しています。3つめの意味は、三度書く(さんかく△)。議論して、意見を書いて発表して、また議論して、という3つのプロセスが「さんかく△テーブル」に含まれています。

静岡科学館る・く・るの活用事例の紹介

静岡科学館の代島慶一さんが、これまで高校や科学館で「さんかく△テーブル」が用いられた実例として、静岡科学館る・く・るの科学コミュニケーター育成講座の取り組みを紹介しました。

参加者全員で「さんかく△テーブル」を体験

6名程度のグループに分かれて、参加者全員で取り組みました。「動物カード」を使ったアイスブレイクの後、「自然保護区の拡大に賛成するか、反対するか」という問いについて、「決断カード」とよばれる「1」「2」のカードを選び、順番に自分の意見や理由を表明していきました。参加者の中には、判断に迷っている人、積極的に発言できない人もいましたが、「お助けカード」とよばれる多様な立場の意見が記載されたツールが役立ち、議論を促進させる場面もありました。最後に、話し合いをまとめる作業として「3枚の短冊」を各グループで作成し、それぞれのグループで出てきた意見を発表し、全体で共有しました。

「自分のさんかく△テーブル」をデザインする

午後は、この「さんかく△テーブル」をどのようなテーマで、どんなふうにアレンジすれば各自の現場で効果的に活用することができそうかを考えるワークを行いました。グループごとにテーマを絞り込んでいく作業から始まり、社会的な背景や地域の問題を設定したうえで、実際の「さんかく△テーブル」で使えるよう、賛成か反対かを問う設問を作り上げていきました。「津波の危険地域で堤防をつくりますか、つくりませんか」「行政が出生前診断の無料化の導入を検討しています。賛成か、反対か」などといったテーマも取り上げられ、異なる年齢・性別・立場からどのような意見が出されるかを想像しながらオリジナルの「さんかく△テーブル」をデザインしました。最後に各グループが成果を発表し、講師の八木さんから設問づくりのアドバイスなどの講評がありました。


 

本ワークショップは、科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター(CSC)と北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部(高等教育研究部門/科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP))が主催しました。

「さんかく△テーブル」は、科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター(CSC)の課題研究「科学技術をめぐる参加型の議論の場を不断に創出するシステムの開発」の成果の一部で、詳細はウェブサイト(http://www.jst.go.jp/csc/sankaku/)で紹介されています。