実践+発信

チラシデザイン:つめたい海が氷をとかす 南極の海流と気候変動

2014.12.19

カテゴリー:チラシ・ポスター/イベント:サイエンス・カフェ札幌/制作者:小倉加世子(2014年度本科・農学院修士1年)/制作年月:2014年11月

チラシのデザインを担当したのは、本科グラフィックデザイン実習を専攻している小倉加世子さん(農学院修士1年)。小倉さんの制作レポートを紹介します。

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「人のキモチを考える」

チラシ製作で学んだこと、苦しんだこと、面白かったこと全て、ここに集約できる気がします。

製作にあたり、カフェの内容が定まる前から、ゲストの青木先生と対話の場チームとの打ち合わせに参加させていただきました。打ち合わせでは、対話の場の皆さんが伝えたい内容やカフェへの熱意を感じました。だからこそデザイン班として悩んだことは、「これをできるだけ汲み取ってチラシに込めたい。でも説明的なチラシにはしたくない。」というとこでした。

図書館で南極の本を借りたり、キーワードで検索したり、書店で全く関係のない本をめくったり、散歩してみたり、アイデアを求めてとにかくいろいろやってみました。自転車をこぎながら、お風呂に入りながら、「つめたいうみ、こおりをとかす」と何度もつぶやいたかわかりません。

にも関わらずあまり絵が描けず、煮詰まって大津先生を訪ねた日、「せっかくなんだから、楽しんでやってよ〜」と言われました。たくさんの項目をなんとか表現しようとしすぎていたことに気付き、難しく考えるのをやめました。もともと南極おもしろそう!とわくわくした自分のキモチも忘れていました。

結局いちばん大切にしたのは、当然ともいえますが見る人のキモチです。大事なのは目に留めてもらうこと、そしてそこに開催日時とURLが記載されていること、というとてもシンプルなことです。情報量が少ないからこそ、「!」や「?」を感じる余白ができると思います。

パソコン作業が得意でないため、ペンと紙に頼った製作でした。背景とペンギンは別々に描き、切り貼りしながら配置を考えました。画材でまよったときに、貸していただいたのがspeedry markerです。建築分野の作図などで使われるらしく、淡い色合いと、色を重ねた時のじわっと感、乾いたあとのきれいな縁が、南極にぴったりだと思いました。

回り道はしましたが、見る人のキモチだけを考えてはじめからこの絵がかけたかといえば、そうではないと思っています。カフェの内容や、カフェ班や先生の思いを理解しなければ描けませんでした。全てが伝わることは難しいですが、私がペンギンにこめたのは「海の底でなにがおこっているのか、」探りに行く、対話の場班の皆さんだったり、来場する方のキモチ。複数の色を使った海は「海洋深層循環」海の面積を大きく描いたのは「気温で融けてるんじゃなく、目に見えない海の温度変化と流れがポイントだ」というメッセージです。

(カフェのゲストをつとめてくれた青木茂さんと記念写真)
 

当日会場では、「ポスターをみて初めて来てみました。」という方に出会いました。デザインの力で、「科学」の近づきがたいイメージを変えることができそうな、予感がした経験でもありました。

言わずもがなですが、皆で一緒につくったチラシです!ありがとうございました。