実践+発信

かがく探検隊コーステップ 208回:知床のヒグマ、サケを食べない?!

2015.2.13

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【コーナー】
●北大豆知識
【北海道大学の知られざる場所、物を紹介】
北大総合博物館のポプラチェンバロ
●研究室に行ってみよう
_x005F_x000b__x005F_x000b_【研究者を訪ね、研究内容を伺うこの番組のメインコーナー】
北海道大学大学院農学研究院 准教授 森本淳子先生
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北海道大学大学院農学研究院 准教授 森本淳子先生
インタビューアは、CoSTEP10期生のホウ・チュウハクさん、山口なつきさん。写真・記録は青地絢美さんが担当しました。
森本先生は、里山の生態系など、人が作ってきた生態系をどう管理していくか、ということを研究されています。その中で、世界自然遺産である、「知床」のヒグマがどのくらいサケを食べているのかを、安定同位体の分析という手法を使って調査されました。
道外出身の受講生たちには、「クマ=サケを食べる」という北海道土産名物の木彫りのイメージがあったので、サケを食べないのなら、何を食べているのだろうかといった素朴な質問もでました。
クマは雑食
ヒグマは雑食で、サケ以外に、草木、木の実、果実、シカなどを食べます。サケは、秋の重要な栄養源の1つですが、実はクマは卵が入っているお腹部分だけ食べてあとは捨てます。捨てられたサケは自然に戻り、海と陸の生態系をつなぐ役割を果たしています。
\nサケの遡上は、秋の一時期だけですが、知床エリアの自然遺産以外の部分では、河川の開発が進み、捕獲しやすい河口部ですら、ヒグマはサケを捕ることはできません。
 
安定同位体による食性分析
「同位体」とは同じ原子番号の元素で、質量数が異なる物質です。この同位体には、放射線を出して変化していく「放射性同位体」と変化せず安定している「安定同位体」(水素、炭素、窒素など)があります。そこで、ヒグマの骨(大たい骨)の組織に含まれる安定同位体比と、ヒグマの食物の同位体比を比較し、ヒグマの食性を分析しました。
 
今後の研究

この研究の発展形として、人工物を作る前は、ヒグマがどれだけサケを食べていたのか知りたいです。そのために、現在遺跡に残されたヒグマの頭骨を使って研究を進めています。

最後に「ヒグマと人のあつれきを減らしたい」と今後の夢を語ってくださいました。
森本先生、お忙しいところありがとうございました。(先生が発表されたプレスリリースはこちら

 
(左から:CoSTEP10期生 ホウさん,森本先生,10期生 山口さん,青地さん)
●北大豆知識
【北海道大学の知られざる場所、物を紹介】
北大総合博物館のポプラチェンバロ
解説は、北海道大学創成研究機構URAステーション特任助教の小俣友輝先生です。

 

チェンバロの前で、笑顔でインタビューに応じてくださった小俣先生(中央)

 

「演奏は久しぶり」といいつつ、軽やかに鍵盤をたたいてくださいました。(演奏曲 ゴールドベルグ変奏曲アリア/パッハ)
 
音が出る仕組みを解説中。「音」は番組でお楽しみください。
チェンバロの下には、乾燥を抑えるための水の入ったバケツ。加湿器とともに日々フル稼働中です。
 
小俣先生、ありがとうございました。
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CoSTEPの10期生が「音声・映像実習」で制作したラジオ番組は、この回で終了です。
お聴きいただき、ありがとうございました。