私が科学技術コミュニケーションに興味を持ったのは、学部時代の頃です。友人に勉強を教えたときに「なるほど!」と言ってもらえたことが嬉しくて、自分のスキルアップを行いながら科学を伝える活動をしたいと思ったことがきっかけでした。しかし、その頃の私は科学技術コミュニケーションという言葉すら知らず、友人の間で勉強会を開くなど細々とした活動しかできていませんでした。
そんな中、大学院から学ぶ場所を北海道大学に移して、CoSTEPの存在を知りました。
趣旨を見る限り、自分のやりたいことそのものではないかと思って、受講を決めました。人に「なるほど!」と言ってもらえるような伝え方を身に付けるためには、何より場数が必要だと考えたので実習は対話の場の創造を選びました。
実習では、サイエンス・カフェとワークショップを1回ずつ企画・運営しました。その中でも、自分のスキルアップのためと思って引き受けた、サイエンス・カフェのファシリテーターは一番印象に残った体験でした。
80人近い参加者の前で90分もの間、カフェのゲストと対話するという体験は、あがり症の私にとって、まさに頭の中が真っ白になるくらい、緊張に満ち溢れたものでした。
そのような中でも私がファシリテーターを成し遂げられたのは、事前に何回も行ったゲストの方との入念な打ち合わせや、様々な人にアドバイスをもらいながら自分なりに作ったカフェの台本、そして一緒にカフェを企画したメンバーや他の10期生の存在が大きかったと思います。
私はたくさんの人たちに支えられて企画メンバーと共にサイエンス・カフェやワークショップを成し遂げた体験から、物事を企画し、成し遂げていくためには、人の協力が不可欠であるということを実感しました。
こうして1年間を振り返ってみると、私のCoSTEPでの体験は様々な人たちとの関わりがあったからこそできたものだと思います。これから社会に出たとき、様々なことを企画する機会があると思いますが、ここで得た経験を活かして、様々な人を巻き込みながら、物事を成し遂げていきたいと思います。
佐々木将伍
北海道大学生命科学院修士1年
(CoSTEP10期 対話の場の創造実習)