実践+発信

「プレゼンテーション考え方」7/4 石村源生先生の講義レポート

2015.7.7

レポート:2015年度本科生/薬学科5年 佐々木萌子

「あなたはプレゼンが好きですか?」今回の石村源生先生(CoSTEP准教授)の講義「プレゼンテーションの考え方」は、私たち受講生への問いかけから始まりました。

良いプレゼンをするために大切だと言われていることがいくつかあります。中でも石村先生がこの授業で一番言いたいこと、つまり「テイクホームメッセージ」は、「伝える相手に対する想像力を働かせる」ということです。

そのためには「人間の情報処理プロセスへの理解」と「相手の状況への理解」という2つの重要なポイントをおさえておく必要があります。

1つ目の「人間の情報処理プロセス」について。人間の脳に入ってきたメッセージはまず短期記憶として処理され、「脳内関所」で情報の種類を判断して「脳内整理棚」へと移され、そこで長期記憶として定着します。そのため過剰なメッセージが入ってくると、情報を処理する脳内関所に負荷がかかり、情報を取りこぼしたり間違えて整理したりしてしまいます。

正しく情報を受け取ってもらうためには、聞き手の脳内関所の負担を軽くすることが必要です。つまり、わかりやすい説明のためには、話し手側で情報を整理し、「下ごしらえ」してから伝えることが大事です。藤沢晃治氏の言葉を借りれば、これは「情報整理の代行サービス」という言い方ができます。

情報整理の代行サービスは、「情報量の最小化」と「情報の構造化」に分けられます。情報量の最小化とは、情報を引き算していくのではなく、これだけは家に持ち帰ってほしいという「テイクホームメッセージ」を明確にし、それを伝えるのに必要な要素だけを足し算してプレゼンを作っていく手法のことです。

そして情報の構造化には、時間的構造化と空間的構造化があります。時間的構造化とは、プレゼンの全体像をつかみやすくなるように、大切なことから先に言うストーリー構成のことです。空間的構造化は、ただ情報をきれいに並べるのではなく情報を論理的に図解、レイアウトして視覚的にわかりやすくすることを指します。このように、聞き手側の情報処理プロセスを理解した上でプレゼンをすることが大切です。

2つ目の「相手の状況への理解」について。聞き手の背景や考え方、モチベーションによって、プレゼンの仕方は変わってきます。石村先生からの「あなたはプレゼンが好きですか?」という講義冒頭での問いかけは、私たち聞き手の雰囲気を知るとともに、話し手に親しみを持ってもらうアイスブレイクとしての意味もあったのです。

相手の状況を理解し、人間の情報処理プロセスを理解して、聞き手側が受け止めやすい形に整理してから情報を伝えること。それが「伝える相手」に対する想像力を働かせる、ということなのです。

相手に伝わるプレゼンを行うためには、様々な手法やロジックがあることが分かりました。今後のCoSTEPでの活動に生かしたいと思います。石村先生、ありがとうございました。