実践+発信

「ジャーナリストという仕事を再定義する」2/6 藤代裕之先生の講義レポート

2016.3.4

今年度最後の講義は、新聞記者からウェブ業界を経て、現在は法政大学社会部准教授として「藤代ゼミ」を率いる藤代裕之先生が、ご自身のこれまでの経験談をお話しくださいました。

藤井 瑞季 (2015年 CoSTEP 本科)

仕事と所属は違う

組織の一員から個の時代へ、働き方の大きな変化が日本におきている中、未だに学生の間では、仕事と所属を混同している考え方が浸透しています。

「◯◯会社に入りたい」から「◯◯がしたい」へ。日本のキャリアパス教育を変えていかなければなりません。大学は自己分析するところではない、と藤代先生は語ります。

若者向け紙面の改革!ブログとの出会い

大学卒業後、地元徳島で新聞記者として、若者向けの紙面作りを任された藤代先生。そこで直面したのは若者が新聞を読んでいないという現実でした。自ら街の若者に聞き回ったところ、「優等生ばかりが載っていてダサい」から読まないという答えが得られたそうです。そこで藤代先生は任された紙面を、読者の目線に合わせたデザインや内容に一新しました。若者向け紙面の手応えを感じつつ、ブログという新しい情報発信の方法に出会います。

誰もが気軽に自由に記事を書けるブログの特性を生かし、自身のブログ「ガ島通信」を始めます。ブログを書く中で、新聞の未来について改めて考え、新聞というメディアの限界も感じたと言います。これからは、記者だけが記事を書ける時代ではありません。藤代先生は紙面から、インターネット上の記事投稿へと変換を図ります。

第二、第三ステージへ

入社したNTTレゾナントで任された仕事は「新サービス開発・研究」部所でした。ニュース担当として働くと意気込んでいた藤代先生は、面食らいつつも目の前の仕事に取り組みます。

新しい環境で、研究者と交流するという新しい楽しみを見出し、時代の先端を走る様々なサービスを展開していきます。

そして現在は大学でゼミをもち、「誰もが情報発信できるようになった社会での伝え方」の教育に力を注いでいます。

自分の経験を、再編集してつなげていく

ジャーナリストとしてのこれまでは決してジャーナリストとして意識してきたわけではなく、経験を結びつけた結果だそうです。紆余曲折し、自分で何をやっているのかわからなくなることがあっても、経験が役に立つように生きて行くことが大事である、ということを藤代先生は強調されました。

藤代先生のアツい講義を受けて、自分の人生や考え方を改めて振り返るきっかけになりました。「自分の人生を振り返るのはまだ早いし、照れ臭い」とのことでしたが、時代を見据えて判断し、常に前進する藤代先生のお話はとても興味深く、刺激になりました。また、どんな状況でも自分の経験を生かして生きる強い力が湧いてきました。わたしも自分の置かれている環境を「面白がり」、ときに振り返って経験をつないでいこうと思います。

藤代先生、ありがとうございました。