2016年10月8日(土)から10日(月・祝日)まで、CoSTEP12期選科B集中演習が行われました。日本各地から集まった受講生が「サイエンスライティング」をとことん学ぶ3日間です。
今年も昨年に引き続き、「翻訳」をテーマに掲げ、ゲスト講師には、自然科学一般書を多数翻訳されている翻訳家の屋代通子さんをお迎えしました。
「翻訳」をテーマに掲げた理由は、「科学技術コミュニケーション」との共通性があるからです。
外国語で書かれた文章を母語に翻訳することは、単なる言語の置き換えではありません。同様に、科学技術コミュニケーションは、ある分野の専門用語を、日常的に使われる用語に置き換えるだけではうまくいきません。そこに必要なものは何でしょうか。
この演習は、「ミニレクチャー」「グループワーク」「カフェトーク」という3本柱から構成されています。
8回にわたるミニレクチャーは、屋代先生による「翻訳と科学技術コミュニケーション」からスタートしました。アウトプット(書く)だけでなく、しっかりとインプットしていくことで、学びを深めていきます。
カフェトークは、文字通り、カフェのように飲み物とお菓子を手に集い、リラックスした雰囲気でディスカッションをするプログラムです。毎日1回、異なるテーマで開催しました。
2日目のカフェトークでは、外来種問題と科学技術コミュニケーションについて話しました。「アフリカでは、外来種問題についての教育はあるのか?」との疑問から、アフリカのマラウイ共和国で2年間の教育活動の経験をもつ古澤輝由さん(CoSTEP博士研究員)が壇上に呼び出される一幕も。
ふだんなかなか聞くことのできない、翻訳家や新聞記者の仕事の裏話も飛び出しました。
1日目のカフェトーク
2日目のカフェトーク
3日目のカフェトーク
「インプットが無ければ、アウトプットできないでしょ?」ボキャブラリーを増やしたいという質問に対する、内村先生の答えです。今日1日だけでも、たくさんの言葉に出会えたはず。1日の最後には、皆で出会った言葉たちを集めて壁にはる「言葉集め」のワークでチェックアウト。
演習最終日の午後は、各グループごとに3日間で得た執筆の心得を「ライティング虎の巻」にまとめて発表しました。
そしていよいよ最後のワークは、個人発表「科学について書くときに、私が語っていくこと」。第8レクチャー「著作権について」(内村直之さん)のなかで、「本歌取り」や「巨人の肩に乗る」との話題がだされたことを受けて、こちらも本歌取りです。
受講生のみなさんは、3日間で3本の作品を仕上げました。執筆に執筆した時間と、多様なバックグラウンドをもつ人との間で行われたピアレビューの体験は、きっとこれから学び続けていく上で生きることでしょう。
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選科B名物、朝のウォームアップ&ストレッチ。
さらには、受講生の都竹さんによるスロー筋トレ講習も。
グループごとに作品が張り出され、毎日の成果を一覧
内村直之先生による朱入れ
その日見つけた言葉の数々。これからの執筆に生かせるか。
カフェトーク室の一角。
今年はじめて登場したのは、教員からのおすすめ本や、著書・訳書をずらりと並べたブックコーナー。
毎日すこしずつ何かが増えていったのがおもしろいところ。
この3日間の集中を支えてきたのは、何と言ってもコーヒー。そして、各地からのお土産。
たくさんの修了生も、応援に駆けつけてくれました。
色々な人、様々な視点、深くなった悩み、忘れられない笑顔など、
3日間得られた学びをこれからも考え続けてください!
寒さに負けずメインストリートでポーズ。