科学技術コミュニケーターのパイオニアが贈る実践への手ほどき
長谷川俊(2017年度本科・学生)
今回の講義の目的、それは多様な実践事例を「現場」で知り、今後の活動に活かしていくことです。講義自体も一つの実践として、紀伊国屋のインナーガーデンで行われました。実践の事例、実践を学ぶためのポイントをまず、早岡先生から抑えて頂き、続いて西尾先生、池田先生、古澤先生が続きました。
CoSTEPがこれまで行ってきた実践、それは常に現場に根差し、社会の評価にさらされるものでした。もちろんこれから我々が足を踏み入れていく実践も例外なんてことは決してありません。実践を通して学ぶことは、教育の一環ではあるが、同時に社会へ成果や気付きをフィードバックする存在であるということであり、そしてそこには「責任」が伴うということを忘れてはいけません。コミュニケーターとして、実践の受け手がなにを知りたいのか、彼らを徹底的に分析することが大事だと分かりました。
次に西尾先生の話がありました。五感をフル活用した科学技術コミュニケーション、何より外へ赴き、いろんな人に出会い、生の情報が根付いている現場を知ることが大事だと分かりました。様々なイベントや現場で出会った人から、次の現場で出会う人へ。魅力的な人からまた魅力的な人へ。コミュニケーションがネットワークを広げていく、その無限大の可能性を感じました。
そして池田先生の実践例が続きました。CoSTEPが力をいれている、まさに生きた現場「サイエンスカフェ」におけるチラシデザインを例に、研究者との信用関係を説いてくれました。ゲストである研究者が本当に伝えたいことを具現化するために、「ゲストについてよく知ること」、「テーマについて知ること」がなにより大事であることが分かりました。ゲストをよく知ることで築かれる「信用関係」、受け手の反対側に存在する送り手との関係性も大事にしなくてはならないのだと感じました。
最後は、古澤先生でした。実践という単語を繰り返してきたが、じゃあ実践てなんぞや?」という疑問を皮切りに実践へのいわば心構えや心意気のようなものを説いて下さいました。実践とは実際に行うこと、くよくよせずにとにかくやってみようよ!という激励に鼓舞されました。とはいっても、実践する際に大事なこと、例えば「誰のために」「なんのために」「なにを」「どうやって」企画しトライするのか、それを学ぶこともこの1年間で大事なことだよ!と丸眼鏡の奥のチャーミングなまなざしが語ってくれました。
大船に乗った気持ちで、黄金の国ジパングを目指すマルコ・ポーロのように。
今年の学びを踏まえて、科学技術コミュニケーションの旅に出ます!