実践+発信

「サイエンスライティング基礎」7/1内村直之先生の講義レポート

2017.7.6

 

室井宏仁 (2017年度 選科B・学生)

講師の内村直之先生は、朝日新聞等での科学記者を経て、現在はフリーの科学ジャーナリストとして活躍しています。またCoSTEPでは、客員教授としてサイエンスライティングプログラムに携わっています。先生は、文章は図やイラストと比べて大きな汎用性をもつ表現方法だと言います。今回はCoSTEP受講生の自己紹介文と、先生が最近執筆された記事を題材に、科学技術に関するだれにでも分かる説明的文章を書く為のコツについて、講義していただきました。

文章の「ピント」を合わせる

最初に先生が指摘されたのは、「ピント」の合った文章を書くことの大切さです。文章の「ピント」とは、一文一文が精密に「いうべきことに対応している」ことです。読んでみてもよく分からない、頭に入ってこない文章はままあります。その時に感じる違和感やギャップの原因は、まさに文章の「ピント」が合っていないためです。

文章の違和感やギャップを解消し、「ピント」を合わせるにはどうすればいいのでしょうか。そのためには、文章を構成している語句と、その相互作用に注目することが重要です。例えば主語や述語を対応させることはひとつの方法です。主語を追加したり、修飾語を付け足したりしながら文章全体のメリハリをつけることも有効です。そして、接続詞や助詞の機能を踏まえて使うことで、文の関係がはっきりすることもあります。

パラグラフ・ライティングによる説明

語句が集まって文が作られるように、文が集まって作られるのがパラグラフ (段落)です。さらに、パラグラフが複数集まると文章(記事)ができます。そのため、筆者にとって分かりやすい記事を書くときには、各パラグラフで一番言いたいこと (キーセンテンス) をはっきりさせた上で、その根拠や事例を示すことが必要です。また記事の構成の点では、複数のパラグラフがそれぞれどう並べられて全体の文脈を作っているか注意することも重要になってきます。

ライティングは「アラ探し」で上手くなる

文章のピントを合わせる練習として最適なのは、他人が書いた文章を読んでみること、そしてその文章を『筆者の意図は何か』を考えながら、自分が分かりやすいように直してみることです。さらに、自分で書いた文章はしばらく時間をおいた後、余計な言葉や抜けがないか、見直すことも必要です。このように他人や自分の書いた文章を「アラ探し」しながら読み、書きすることの繰り返しによって、ライティングスキルと文章の読み取り力を同時に養うことができます。

『書かないと書けるようにはなりません』 by 内村先生

文章とは、とにかく書いてみなければ、書くことができるようにはならないもの。まずは自分が興味を持った、面白い「事実ひとつだけ」を解説する文章を書いてみることが第一歩です。自分も何か一本、身近な題材で記事を書いてみたい。受講後にそんな気持ちを呼び起こされる講義でした。

内村先生ありがとうございました。