実践+発信

「映像メディア科学技術コミュニケーション」(7/8)早岡英介先生朴炫貞先生の講義レポート

2017.7.12

中角直毅(2017年度 本科 対話の場の創造実習/学生)

今回の講義は、早岡英介先生と朴炫貞先生による「映像表現と科学技術コミュニケーション」。二人の先生が紹介した様々なタイプの映像を見ながら、映像表現が持つ特徴や、映像だからこそ伝えられることを学びました。

一瞬で本質を伝える映像

早岡先生は、映像表現の特性として、1)非言語表現で伝える、2)時間軸をコントロールする、3)同時性で共通体験を作る、の3つを挙げました。

非言語表現 (ビジュアル) で伝えるというのは、映像の最大の特徴と言えるでしょう。文字による細かい描写をしなくても、映像は一瞬で本質を伝える力を持っています。講義中に観た過去のTV番組では、人の人生をとても印象的に表現していました。映像は、編集のやり方次第で、時間の流れも操作できます。1年を30秒程度にまとめることもできれば、肉眼では見えない速い動きを捉えることもできるのです。

また映像は、現場にいなかった人も、まるでその場にいるような体験をすることができます。講義の中では、札幌と福島でビデオレターによるコミュニケーションを行った動画を観ました。離れた場所にいる人たちが、映像を通して、同じ空間を共有することができることを実感することができました。それぞれの特徴を表す映像は、どれも文字では表現できない、映像ならではの世界観がありました。しかし、早岡先生いわく、映像はリアリティがある分、観ている側が映像の世界観に引き込まれすぎることがあるそうです。

映像表現には、一瞬で本質を伝えることができるというメリットだけでなく、「伝わりすぎる」というデメリットもあります。両方の特徴を踏まえたうえで、映像メディアを科学技術コミュニケーションの手法として使うべきであることを確認しました。

科学を「美しく」伝える映像

朴先生は、様々なタイプの表現があることを、講義中に20種類以上の芸術的な映像を上映することで示しました。

時間操作や効果音、アニメーションなど、多様な表現方法を組み込むことで、科学的知識を楽しく、美しく伝えることができます。実際に、朴先生が紹介した映像は、数学・物理学・化学などの、文字で読めば難解そうなテーマを表しているにもかかわらず、とても親しみやすいものでした。逆再生や早送り、キャラクターを使って、科学的現象を印象的に表現しており、ただ単に“見せる”だけではなく、相手を“魅せる”映像になっていました。

朴先生によると、魅力的な映像を作る際には、「観察→発見→表現→観察→…」のサイクルを意識すると良いそうです。自分がいいと思ったものをよく見て分析し、頭の中に思い描いていた“想像”を形として表現することによって、それを“創造”に変えることができるのです。

多彩な表現を映像に加えることによって、受け手により印象深く、より魅力的に伝えることができると学びました。今回の講義を通して、自分でも映像を作り、それをコミュニケーションに使ってみたいと感じました。

早岡先生、朴先生、ありがとうございました。