実践+発信

選科A活動報告「未来から問う遺伝子操作」

2017.10.12

選科A 3班 パウエレミツ

飯田綱規、梅本里穂、金子浩子、仲居玲美、沼尾恵利子

 私達3班“パウエレミツ”チームは、「未来から問う遺伝子操作」というタイトルのサイエンスイベントを実施しました。現在、ゲノム編集を中心に遺伝子操作技術が隆盛する中、その利用を巡って活発な議論が起こっています。そこで、私達は遺伝子操作技術の利用がどこまで許されるのか考えてもらうため、その現状と展望を知った上で、将来自分が直面する事態として当事者意識を持って考えてもらうことを目標にしました。

準備

開始前からウェブ上で連絡を取り合い、科学だけでは解答が出せないトランスサイエンス的なテーマを扱いたいという意志をメンバー間で共有しました。また、多くのメンバーの専門分野が生物系であること、技術発展が目覚ましい一方で様々な倫理的問題を含んでいる分野であることから、初日早々に遺伝子操作技術をテーマとすることが決まりました。しかし、それ以降社会的・倫理的問題にどこまで踏み込むかという点にはたいへん頭を悩ませました。リハーサルなどで多くのフィードバックをもらいながら、寸劇を用いて遺伝子操作賛成派と反対派双方の視点を提示しつつ、色々な遺伝子操作のケースについて観客に賛否を問うスタイルに決まりました。この際、複数の問いに対する回答の違いを可視化することで、遺伝子操作に対する判断の境界線がどこにあるのかを意識してもらおうと考えました。

各メンバーの役割

  私達は、各人が学んでみたいことを軸に準備と本番でそれぞれの役割を担当することにしました。

本番

 まず、遺伝子とは何か?という問いから始めて、代表的な遺伝子操作技術と、将来人間にも適用できる可能性について解説しました。

  ここで、舞台は人間を対象にした遺伝子操作が現実のものとなった未来へと移ります。以下の問いについて遺伝子操作賛成派の少女と反対派の祖父がそれぞれの主張を述べた後、司会が観客に賛否を問います。

問いに対する賛否だけでなくどちらとも言えないグレーゾーンや選択の幅を表現するため、黒から白のグラデーションに塗られた紙を曲げて、色と幅の両方で意思表示をする形式をとりました。

回答方法を説明する司会の仲居玲美。白は遺伝子操作に対する積極的姿勢、黒は消極的姿勢を示す。

遺伝子操作を巡って議論する少女(演:金子浩子)と祖父(演:飯田綱規)

「肉が多く取れる牛を産み出すか否か」に対する観客の意見。

遺伝子操作する対象(ヒトと動植物)や属性(寿命と性質)によって、観客の判断は大きく異なっていた。

全ての質問が終わった後、事例の半分が既に実用化されていること、また操作対象となる要因ごとに人間と動植物で質問が対になっていたことを観客に明かし、遺伝子操作技術の進歩や、遺伝子操作する対象や属性による判断の変化を印象づけることをねらいました。最後に、今後も遺伝子操作がどこまで許されるのか、考えてもらうよう問いかけを行いました。

解説する梅本里穂