選科A 1班 「食事する人」
南明里、壽啓一朗、佐藤みな、関口通江、正村典也
現代の日本の食生活は、科学技術の進展によって豊かになりました。栄養素を手軽に摂取できる健康食品。遺伝子組み換え技術により高機能になった食品。便利な面がある一方、食品(食べるモノ)の機能に注目し、食事(食べるコト)全体を考えなくなる面もあるのではないか。科学技術を社会全体の中でとらえ、科学者と市民をつなぐ科学技術コミュニケーターとして、食という身近な題材を通じ、機能的な側面だけでなく文化的な側面もあわせて考えることの大切さを伝えたい。食品の機能にとらわれ食事の楽しみを忘れている人に、食事の重要性を再認識してほしい。そんな思いで、このイベントを企画しました。「食事」を科学するという視点に注目してもらうため、「楽しい」というキーワードを用いました。
イベントの目的は、食事の重要性を理解してもらうこととし、帰宅後に家でも「楽しい食事」を実践してみたい、ご家族や他のメンバーにも伝えたいと思ってもらうことを達成目標としました。
■イベントの内容
まず、司会2人による関西弁での掛け合い~漫才~により、参加者を引きこみつつ、「食べるモノ=食品だけでなく、食べるコト=食事が大切では?」というメインの問いにスムーズにつながるように工夫しました。
(「食べたいですか?遺伝子組み換え食品」) (「食品」から「食事」の話へ)
次に、来場者同士の3~4人のグループで「楽しい食事とはどのようなものなのか」について語り合う時間を取りました。それぞれの価値観を尊重できるよう、出た意見に「いいね!」しよう!というルールを設けました。
(グループ内で話す様子) (語り合った後の発表)
そして、自身が楽しい思う、だから「やってみたいと思う食事」を受付で配布したカードに書き、共有しました。
(カードに記入する様子) (カードの内容を発表)
最後に、「楽しい食事を科学する」ことは科学者だけでなく市民が関われるものであること、今日考えた「やってみたい食事」を身近な人に伝え家でも実践してほしい、そのために冷蔵庫などよく見るところにカードを貼ってほしいことを伝えました。
■メンバーの役割
■イベントを実施した結果
□参加者のアンケート
食べることの楽しさの重要性を再認識できたかについては「そう思う」「ややそう思う」が8割を超えました。この結果から、本イベントの目的「食事の重要性を理解してもらうこと」は概ね達せられたと考えられます。また、達成目標である「帰宅後にも実施してもらえる」「家族の他のメンバーにも伝えてもらう」については前向きな回答が得られました。特に「帰宅後にも実施してみたいか」については「そう思う」「ややそう思う」で9割を超えました。この結果から、達成目標にも到達したと考えられます。
□観客や他の班からのコメント
頂いたコメントの多くが司会の掛け合いが良かったとの内容であり、参加者を引き込むのに効果的な形式だったと考えられます。一方で、問いの表現の分かりづらさや媒体間での表現の不統一、科学技術の要素が見えづらいなどの指摘を頂きました。
表現面については、準備時間の確保と実践の積み重ねが解決に寄与すると考えます。科学技術の要素については、導入で科学技術と食の関わりを時系列で明示すること、最後に「食事を科学する」研究事例(食事をサポートする介護用ロボットが家族の食事の機会を増やしてくれるなど)を紹介することで伝わりやすくなると考えます。
■イベントを実施して学んだこと・発見したこと
演習全体を振り返り、特に重要だと感じたのは以下の2点です。
1点目は時間管理です。限られた時間で効果的に準備を進めるために、議論を俯瞰し整理・構造化して共有すること、全員で決めること・担当者で決めることを明確にして取り組むことが大切と実感しました。
2点目は想像力です。いくら議論を重ねても、相手への想像力が不足していると伝わりません。常に相手を想像し、イベントに反映する大切さを体感しました。