2018年12月8・9日、成城大学(東京都世田谷区)で、科学技術社会論学会第17回年次研究大会が開催されました。科学技術社会論(STS)は科学技術コミュニケーションに関する研究・実践も含む分野です。今回は種村剛、川本思心の2名が発表しました。
8日の第4セッション「科学を巡る参加」では、種村が「対話劇をもちいた「科学技術の社会実装についての熟議の場」の創出」と題して報告しました。CoSTEPの対話の場の創造実習で2015年度以降おこなっている「対話劇」の取り組みについて発表しました。科学技術コミュニケーター養成プログラムとしての特徴や、演劇を用いたサイエンスコミュニケーションを実施することで明らかになったその可能性が示されました。発表後は、演劇を用いることの教育効果、ワークショップの工夫などについて、活発なディスカッションがおこなわれました。
また、9日の第2セッション「知識が作られるときと、そのポリティクス」では、川本が「デュアルユース問題に対する市民の態度」を発表しました。科学技術の両義性「デュアルユース」は軍民両用研究や、バイオテロとして、学術界やメディアでは現在大きな問題になっています。一方でこの問題を市民はどのように捉えているのかは明らかではありません。大規模な質問紙調査を行った結果、両義性について大枠での認識や懸念はある一方、実用研究や安全保障研究への貢献も期待されていることがわかりました。今後はより詳細な分析を行う予定です。セッション終了後もディスカッションが続きました。
最終日の午後には、科学技術社会論・柿内賢信記念賞の授賞式があり、種村が実践賞を受賞しました。受賞タイトルは「演劇の専門家による「対話劇」を用いた「科学技術の社会実装についての熟議の場」の創出」です。今年度も既に活動を始めており、その結果は来年度発表したい、と抱負を語りました。