仰木晴香(本科 ソーシャルデザイン実習 / 学生)
17期ソーシャルデザイン実習班では、フードロスに関する取り組みを紹介する冊子「つながるSDGs~札幌のまち、10の取り組み~」を作成しました。
昨年11月に開催したサイエンスカフェ「たまたまSDGs~畑から食卓までのフードロスを考える~」では、事前に札幌で行われている様々なフードロスに関する取り組みを取材していました。その取材内容や、サイエンスカフェやワークショップ「地球を片付ける」のレポートをまとめた冊子です。
サイエンスカフェでは、畑から食卓まで様々な形で発生するフードロスについて、生産者や飲食店、消費者など、食に関わるそれぞれの立場から考えることを目指し、取材でも多くの立場の方にお話を伺いました。
プラナシスタの取材時の様子
家庭で出た生ごみの堆肥化に取り組む学生、食材の生産から自分たちで行うレストラン、食材保存の長期化を目指す研究者・・・。集まった8つの取り組みは実に多様でした。そしてフードロス解決のためだけでなく、実践する中での楽しさやそこで得られるコミュニケーションを大切にしていました。
私達がフードロス解決のために実践できることは意外にも多いこと、また、取り組みにより食に対する新たな価値を見出せることに気づかされました。
そしてその一つ一つの取り組みを、より大きな枠で捉えたのがサイエンスカフェ「たまたまSDGs」やワークショップ「地球を片付ける」でした。
サイエンスカフェでは北海道大学農学研究院の小林国之さんと、椿サロンオーナーの長谷川演さんをお招きし、フードロスが生じる原因について流通の仕組みや消費者の価値観から考え、それに対して飲食店がどのような意識で取り組みを行っているのかを語り合いました。
また、ワークショップでは、サウンドアーティストの大和田俊さんと、北海道大学環境工学院の石井一英さんをお招きし、大和田さんの作品を片付ける作業を通して、現代社会の廃棄物問題について考えました。
サイエンスカフェ「たまたまSDGs」
ワークショップ「地球を片付ける」(撮影:百頭たけし)
取材で伺った、個人や一団体として行われているそれぞれの取り組みは、サイエンスカフェやワークショップでテーマとなったフードシステムや循環型社会などの社会全体をとりまくものとつながっていました。
フードロスや廃棄物問題といった大きな課題に対しても、ひとりひとりがアプローチできることはあり、それらが「つながる」ことでより大きな広がりを生み出していくはず。今回の冊子で、これら一連の活動が実は全て繋がっていることが伝わることを目指し、構成やレイアウトを工夫しながら作成しました。
そしてこの冊子は、札幌市内の様々な飲食店や施設に配置させていただきました。カフェでなんとなく手に取る雑誌のように、この冊子もたまたま読まれ、そこから社会課題に関心をもったり、得た情報から行動に移してみたり、そんなきっかけになればと思います。
まちのどこかで見かけたら、ぜひコーヒーを片手に読んでみてください。