8月5日(金),研修科および本科グラフィックデザイン実習を専攻する受講生たちは,2011サイエンスパーク(北海道/北海道立総合研究機主催)に参加し,工作教室を開きました。未来を担う子どもたちへ向けて,科学を身近に感じながら理解を深めてもらおうと企画された展示・体験型イベントです。
タイトルは「モビールでつくるゆらゆらの森」。生態系や生物多様性の大切さをモビール工作を通して学び,自然界のバランスを表現しようという試みです。(今年2月に札幌市青少年科学館で実施した「絶滅が心配されている北海道の野鳥」に続く,第2弾の企画です。)
小学2年生から6年生まで,29名の子供たちが,会場となったサッポロファクトリーに集まりました。
今回の主役は北海道に生息するシマフクロウ。工作に取りかかる前にまずはクイズ形式のミニレクチャーです。人間による給餌と人工の巣によって保護されているシマフクロウの現状や,シマフクロウが自らの力で生きてゆける本来の森(生態系)を回復させるための取り組みを紹介しました。
ミニレクチャーが終わると,待ちに待った工作の開始です。シマフクロウのほか,餌となるオショロコマやネズミなど5種類の動物や植物のイラストを用意しました。
子供たちは真剣な表情で,ハサミを使ってイラストを切り取ってゆきます。切り取り作業が終わると,いよいよモビールの組み立てです。切り取ったイラストと細長い棒,それを糸で結んでバランスをとりたいのですが,手先を使った細かい作業に多くの子供たちが苦戦している様子でした。
完成させるモビールは,シマフクロウとその餌となる動植物の関係(食物連鎖)をイメージさせたものです。しかし,直接的に「食べる」「食べられる」という関係だけで,生物多様性を理解することはできません。もっと多様で複雑な生命の集合体である本来の「豊かな森」について,まとめのミニレクチャーを小泉絢花さんが担当しました。
バランスをとる作業は意外と難しかったようです。完成できたのはほんの数名でしたが,できあがると,ゆらゆらと動くモビールを掲げて満足そうにしていました。そして参加した子供たちから「楽しかった!」,「難しかったけどまた挑戦したいです」,「今度は本州の動物について調べてみたい」など,たくさんの感想がよせられました。ある程度の難易度があってこそ,チャレンジしたいという気持ちにつながるのかもしれません。
最後に,このワークショップを企画するにあたり鈴木幸弥さん(CoSTEP修了生/日本野鳥の会札幌支部)より専門的な視点からアドバイスをもらいました。日本野鳥の会からは,シマフクロウに関する資料を提供してもらうなど,協力をいただいています。この場をかりて御礼申し上げます。
自然界のバランスをモビールで表現するプロジェクト,今後も継続させてゆきたいと思います。
レポート:上口愛(研修科/北大先端生命科学研究院技術補佐員)