小林 明日美(2019年度 選科/社会人)
いよいよ講義も最終回。CoSTEP教員の皆さんによる、1年間の振り返りの講義です。写真で振り返ると、5月の開講式がなんだかとても懐かしい…。それだけ内容の濃い1年間だったと実感しました。最初の講義で一人ひとりが考えた「科学技術コミュニケーションとは」。様々な経験を経て、今はまた違った答えが出てくるはずです。
「記憶」から「学び」へ
はじめに、経験を今後に活かすために「記憶(暗黙知)」を言語化し、「学び(形式知)」にすることが大切とお話がありました。言語化することが出来れば、大事なポイントが記憶に残り、類似場面で使ったり人に伝えたりすることが出来るためです。
経験から学び成長していくための手法として、①内省的観察(振り返り)、②抽象的概念化(ポイントの言語化)を行い、③能動的実験(概念化が正しかったか実践で確かめる)というコルブの経験学習理論が紹介されました。
講義の振り返り
次に、モジュール毎に演習・実習での経験を絡めながら講義を振り返りました。
・モジュール1「科学技術コミュニケーション概論I」
…科学技術コミュニケーションとは/科学技術コミュニケーターに求められる役割/対話の重要性/効果的に相手に伝えるためには
⇒まずは自分が「知らない」と自覚することから始めよう
・モジュール2「表現とコミュニケーションの手法」
…文章・プレゼンテーション・映像・アートによるコミュニケーション
⇒感情的理解を有効活用しよう
・モジュール3「学習の手法」
…主体的な学び/学びに対する態度/ゲームを活用した学び
⇒「教わる」ではなく「学ぶ」を意識しよう
・モジュール4「情報の分析と行動のための計画手法」
…事例研究の方法/偏見の存在の認識/メディアを活用したコミュニケーション
⇒想定外は現場の力でカバーしよう
・モジュール5「トランスサイエンス」
…ステークホルダーとのコミュニケーション/アートを活用したアプローチ/科学技術のデュアルユースの問題/科学とトランスサイエンスの境界線
⇒トランスサイエンス問題を知った後、私たちはどう行動する?
・モジュール6「多様な立場の理解」
…メディアを活用した寄り添い方/所属や専門分野、肩書き等の垣根を越えた協力/科学技術を市民の自分事にするための対話
⇒価値観の可視化にアートを活用してみよう
・モジュール7「社会における実践」
…作家活動や趣味を通した実践/「科学する」ことによる実践/ステークホルダーを繋げることによる実践
⇒実践を続けよう
科学技術コミュニケーターとしての心構え
そして最後に、今後科学技術コミュニケーターとして活動していくにあたって「様々な状況に適応して新しいことにチャレンジしていく人になってほしい」とお話がありました。科学技術と社会の関係が日々変化する中では、柔軟な思考で知識を更新していく必要があります。CoSTEP修了後も「経験→振り返り→ポイントの言語化→実践」という学びの繰り返しなのです。
1年間、背景も職業も多様な仲間たちと多くの経験をさせていただきました。その学びと人脈を大切にしながら科学技術コミュニケーターとして活動すると共に、日々の些細な出来事も学びに変えて成長することの出来る人を目指していきたいです。
CoSTEP教員の皆さん、ありがとうございました。