子ども達はテクノロジーの夢をみるのか
パヴェル・ヤニツキ(Pawel Janicki)の《Tetoki!》を中心に
ポーランドのパヴェル・ヤニツキさんは、幅広い領域の技術の手法、プロトコルを駆使し、様々な感覚やプログラミングを用いた作品を制作しているという。SIAFには「Tetoki!」という作品を出展予定だった。
このTetoki!とはTechnology to Kids(子ども達にテクノロジーを)の略称で、数年前に始めたプロジェクトだそうだ。既存のアートワーク、科学的および芸術的概念、文化的現象を参照するインタラクティブなスケッチのコレクションで、プロジェクトはとてもシンプルな構成で短いコンピュータプログラムで書かれたインタラクティブな作品群で、オンラインで使用することができるという。また、オープンソースであり、誰もが自分の好きなように改変することも可能である。
Tetoki!は若年層に向けて作成されており、すべての作品が若い観客の感覚と反応を念頭に作られている。Tetoki!は固定化した芸術作品ではなく、むしろ「過程」のようなものであるという。
誰でも様々なレベルで作品に参加することができ、インタラクティブな作品の考え方の基礎やアートにおけるプログラミングの基礎を学びたい人なら興味を持ってもらえるだろうと述べている。
Tetoki!でのプロジェクト作品群は、Webサイト(https://www.tetoki.eu/index.html)で観ることができる。
ポーランドWROアートセンターで開催されたSIGNALS/Interactive Playground(2018 – 2019)(https://wrocenter.pl/en/sygnaly/)でのTeToKi! 展示の様子。子ども達が手に持っている光のスティックの動きに呼応して壁面に光の造形が描き出される。
ところで、このTetoki!のインタラクティブな作品に触れている子ども達にとって、芸術やテクノロジー、あるいはサイエンスを意識していると考えることは難しいだろう。むしろ、テクノロジーやサイエンスを感覚的に感じているのではないかと思う。この感覚的に感じるということが、将来、彼らがテクノロジやサイエンスに対して興味を持つきっかけの「種」が彼らの潜在意識に蒔かれているのではないかと考えるのは考えすぎだろうか。