開講特別授業が終わり、5月19日から通常の講義が始まりました。
2010年度の講義は9つのモジュールで構成されています。モジュール1は、開講式の日とその翌日に行われ、モジュール2「科学技術コミュニケーション概論」3コマあります。1コマ目では 「今なぜ科学技術コミュニケーション?」 と題してCoSTEP代表・理学研究院、杉山滋郎教授が、幅広い内容についてわかりやすく丁寧に講義してくださいました。
講義の中で、科学技術コミュニケーションは知識を伝えることも重要であるが、受け取る側の意識を考慮することも重要であるとのお話がありました。人々に知識がないことを問題視するだけでは解決につながらないのではないか、知識を得ることで人はかえって不安になることがある、知識を受け取る側の要求を伝える側の情報が満たしていない、そもそも受け取る側に科学技術に対する「満腹感」があり、知識を吸収する必要性を感じていない、などといった事情があるのではないか、という問題提起でした。
ほかにも、理科離れ対策への問題提起として、「そもそも理科離れしているのか?」、学校教育に収まりきらない“大人”を対象にした学びの場を創る必要性、多様な「参加」の必要性、などについて話してくださいました。
今なぜ科学技術コミュニケーション? そのことを、受講生一人ひとりが自らあらためて考えてみる、そのためのヒントに満ちた講義でした。