実践+発信

【2021年度CoSTEP修了式】「おいしい対話の作り ~17期生秘伝のレシピ~」

2022.3.12
おいしい対話をつくりたい!

おいしい対話の作り方を知りたい!そう考えてCoSTEPに集まった10人の見習いシェフ。
初めて顔を合わせた見習いシェフたちが想像している対話の味、すなわち、実習でやりたいことは…

レシピを教えて!~サイエンスカフェ編~

弟子入りしたのは、対話作りの師匠である種村先生(写真左)と梶井先生(右)。

作りたい対話の場をみんなで共有する

レシピを教えてもらえると思ったら… 早速、自分たちの手で対話の場を作ることに!

まず制作にとりかかったのは、研究者と市民が語り合う「サイエンスカフェ」2つ。師匠たちにアドバイスを受けながら対話の場作りを進めます。

対象者にとっての対話の場を考える

シェフたちのやりたいことも重要ですが、実際に、カフェに来てくれる参加者にどうなってほしいのかを考えることも、大切です。
そのために、まずはサイエンスカフェの対象、目的、目標を考えます。
その上でタイトルと概要文を作り、みんなで目指すカフェの姿を言葉にして共有します。

 

ゲストと一緒に歩む

サイエンスカフェでは研究者の方をゲストとしてお招きします。ゲストの研究内容を勉強し、ゲストとミーティングを重ねることで、サイエンスカフェの構成や雰囲気をすり合わせていきます。

 

よりよいイベントにするために

参加者がカフェの内容を自分ごとと捉え対話に積極的に参加してもらえるように、チャットの活用やグラフィックレコーディングといった17期生ならではの工夫を生み出していきます。

たまには息抜きもしながら…

 

参加者にイベントを見つけてもらうために

想定した参加者に、サイエンスカフェを見つけてもらうためには、どうしたらよいのでしょう。
今回は、グラフィックデザイン班と一緒に広報物を作成します。
グラフィック班との打ち合わせのなかで概要を共有し、それをポスターという目に見える形にしてもらうことで、自分たちが目指すイベントのイメージを具体的にすることができます。

2つのサイエンスカフェ完成!

こうして、私達はサイエンスカフェ”心って何だろう?~ヒヨコの行動から考える~”
”コキコウガクシャの事件簿~未来の地球のヒントは過去にあり~”を完成させました!

無事に2つのサイエンスカフェを完成させた見習いシェフたち。次は、師匠たちから学んだことをもとに、オリジナルイベント「対話day」の制作に挑戦します…!

 

レシピを教えて!~対話day編~
対話dayの目的を考える

対話dayでは、科学技術と社会との間に生じる課題を扱います。テーマを、”生態系におけるテクノロジーの恩恵とリスク”とし、中でも「海の生態系」と「ジーンドライブ」という2つの話題を取り上げます。

手法として選んだのは、それぞれゲームと討論劇。

そして、普段の生活では頻繁に考えない答えの無い課題に対して、参加者に「役割」や「立場」が与えられることにより、体験を通して、自分事として捉えられ、自分の向き合い方を改めて考えられることを目指します。

 

立場の違いを考える

「海の生態系」では漁師・消費者、「ジーンドライブ」では研究者・環境保護団体、というように、一つの課題には、さまざまなステークホルダーが関わります。参加者に複数の視点に立って考えてもらえるよう、漁師の立場になって考えられるゲームや各登場人物に共感できる脚本を練っていきます。

葛藤はどこにある?

科学技術をどう用いるか。そもそも用いるかどうか。私たちは、選択することができます。
技術を用いることで、現在の課題を解決することができたとしても、将来何らかの代償を受けることが分かっていたらどうでしょう。
このように、参加者の心を揺さぶり、考えさせる「葛藤」を生み出すことを目指します。

共通体験を鍵に、開かれる対話

「ゲーム」と「討論劇」を参加者全員が共通して体験することがきっかけとなり、それぞれの気づきや考えをもとに対話が広がります。その結果、さまざまな考えがあることを理解しお互いを尊重する姿勢が生まれます。そして他者との対話を通して自分の考えを改めて見つめ直すことができます。

また、それぞれの手法の特長によって、対話の特長は異なります。ゲームでは、多様な視点を行き来するスピード感のある対話。一方、討論劇で行われたのは、参加者でひとつの決断を下すためにじっくりと紡がれる対話。

このように、私達は”e-対話~ゲームで考える海の生態系~” ”生き物の運命を握る鍵を手に入れたとき、あなたはどうする?〜討論劇で問うジーンドライブの是非〜”の2つのイベントからなる対話day「共に考える、共に生きる~ヒトと生き物と科学技術~」を完成させました!

こうして、10人の見習いシェフたちは、試行と調整を繰り返し、サイエンスカフェと対話day、あわせて4つの対話の場をつくったのでした。

さあ、召し上がれ!
サイエンスカフェ
対話day 「共に考える、共に生きる~ヒトと生き物と科学技術~」

ゲストや参加者のみなさんから、たくさんのコメントをいただきました!

おいしさの秘訣は…?

心って何だろう?

「問いはギフト」

まず私達がゲストの研究を学び、驚きから生まれた「問い」をゲストに贈りました。そしてゲストから返答をいただきました。問いと返答を重ねることでイベントの流れを考えました。また、当日参加者がゲストに問いを贈れるように、参加者が視覚的にゲストのお話を振り返れるグラフィックレコーディングを取り入れ、質問をしやすい雰囲気を作りました。研究内容を学び問いを贈る人と質問を受けとめて丁寧に答える人。この双方向性によって対話が成り立つことを学びました。


コキコウガクシャの事件簿

「知る→つながる対話」

サイエンスカフェを作るにあたってはゲストである研究者の人柄や性格、意気込みを知ることでカフェの趣向や工夫を広げることができます。そして、どんな参加者がいるのか、と相手の事を想像しながら内容を組み立てていくことで、当日カフェの場では、参加者と研究者がつながることが出来ました。


e-対話

「”いい対話”を考える」

開発したゲームを通じて、海の生物多様性を考えました。その中で、対話の手法としてのゲームの、楽しい、目線を揃えられる、発話のハードルを下げられるといった強みがあることを見つけました。同時に、このような手法の良さを活かしたイベントをつくるためには、イベントの目的や伝えたいメッセージを共有し、どんな対話の場をつくりたいのか、いい対話とは何かをじっくり考えることが重要であると学びました。


生き物の運命を握る鍵を手に入れたとき、あなたはどうする?

「みんなが寄り添える選択肢」

今回のイベントでは観劇後、参加者同士の議論を経て「ジーンドライブを実施するか否か」の評決を決定しました。導き出された一つの結論よりもその評決に付帯する条件およびその理由を決めることが大切であることを学びました。十分な対話を通して、自分が大事にしていること・譲れないところは何かまで話しあうことでみんなが寄り添える選択肢に繋がります。

 これからも、

おいしい対話をつくりたい

おいしく対話したい

 

おいしい対話のフルコース

おいしい対話って一体、何だろう。1年間の修業を経た見習いシェフはそれぞれの答えを出しました。17期生とっておきの「おいしい対話フルコース」をご覧ください。

 

 

 

皆さんの考えるおいしい対話は…?

さあ、シェフたち特製のフルコースが出そろいました。

お味はいかがでしょうか?ぜひ、周りの人とお話してみてください!

私たちはこれからもおいしい対話をつくっていきます!

皆さんにとっておいしい対話とは何ですか?人によっておいしいと思う味が違うように、いいと思う対話も違うかもしれません。あなたにしか作れない対話の場があるはずです。

作ってみたい人は帽子をクリック!

最後に…
種村先生、梶井先生はじめ、17期対話の場の創造実習で関わってくださったみなさまにこの場を借りて感謝いたします。本当にありがとうございました!!

 

CoSTEP対話の場の創造実習17期生:

阿部悠、石井花菜、逢坂はるの、小笠原明信、小林瑞季、
田中文佳、千葉泰史、波田和人、水上千春、山之内海映