実践+発信

科学館通信 企画制作実習班の冊子 『くろすかっぷりんぐ』完成しました

2011.2.1

 科学館通信 企画・制作実習で取り組んできた冊子『くろすかっぷりんぐ』が完成しました。科学に関心の薄い人たちを科学や科学館と結びつけること、科学館と大学がリソースを出し合い協力すること、生活空間と科学とのかかわり。それぞれを結びつけるにはどうしたらいいのか? そんな欲張りな目標を掲げて制作したのが、この『くろすかっぷりんぐ』です。タイトルはもちろん、昨年ノーベル化学賞を受賞した鈴木章先生の研究である「鈴木・宮浦クロスカップリング」を冠したものです。化学反応を示す言葉ですが、異なるものを結びつけるという企画にぴったりの題名となりました。

 (写真(右):『くろすかっぷりんぐ』の表紙は、こだわり抜いた絵づくりから生まれた。生活の中に科学があることを表現。)

札幌市青少年科学館の新しい「通信」を企画・制作することを通して、科学館の新しい広報媒体を生み出すのが今回の実習の主題です。札幌市青少年科学館の協力を得て、CoSTEPと科学館の互いのリソースを生かしつつも、科学館の紹介を全面的に押し出すのではなく、読み進む中で科学への関心を呼び起こすことを意識して編集しています。

科学に関心が薄いのはどういう層か? その人たちの関心を引き出すには? どんな記事がよいのか? 手法は? 雰囲気は? 配布場所は? 自分たちにしか作れない、科学の広報誌とは? さまざまな議論を重ね、科学ファン、科学館ファンが比較的少ないと思われる20〜34才の女性、いわゆる「F1層」を読者と想定。彼女たちの生活空間にとけ込み、おしゃれでちょっと知的な感性に訴えることができるよう工夫を重ね、カフェや雑貨店が発行する雑誌のような、今までの「科学関係の冊子」には見られない、おしゃれな編集が光っています。もちろん、F1層だけではなく男性でも子どもでも、たくさんの人が楽しめるものに仕上がりました。

内容は、「科学×感じる」「科学×驚く」「科学×考える」「科学×夢見る」の4本で構成。なにげない日常から科学を感じたり、雪の結晶の研究を行った中谷宇吉郎の業績から驚きを経験したり、科学と私たちの暮らしについて考えたり、はるかな宇宙の謎を解くという夢にかけた研究者の姿を紹介したりと、親しみやすい記事が並んでいます。

また、内容の理解を深めるため、科学館の展示を使った実験など映像も制作しwebにアップ。紙媒体と一緒に映像も楽しむことができます。

 完成した『くろすかっぷりんぐ』を札幌市青少年科学に届ける。受講生から直接担当の方に手渡す、感動の瞬間。

 コーヒーを飲みながらページをめくってみてはいかが?