実践+発信

デザインを通したコミュニケーション

2011.2.25

2月16日,とうとう今年度の最終講義となりました。講師は山岸正美さん((株)マーケティング・コミュニケーション・エルグ代表取締役)。デザイン会社を経営する傍ら,(実行委員長もつとめる)札幌国際短編映画祭やデザインウィークなど各種イベントの仕掛け人でもあります。「デザインを通したコミュニケーション」というタイトルで「デザインとは何か」「デザインは人と社会をどのようにつないでいるのか」という大きなテーマを,やさしくそしてストレートに解説していただきました。

日常生活の隅々にまでデザインは浸透しています,と山岸さんは語り始めました。そして二つの事象,例えば企業と消費者,自然と都会,情報と市民など,双方の中間領域に散在している様々な問題を解決するのがデザインの役割だといいます。

さらにデザインが扱う領域の一つ,ビジュアルコミュニケーションについて詳しく解説していただきました。IBMのポスターを例に「伝える力」とは何か,また公共施設のサインや地下鉄の路線図を例に,ある形状をシンボライズすることで可能になる,情報の構造化ついてお話してくださいました。

デザインのプロセスや,デザイナーに求められる豊かな知識と感性,そしてデザインの可能性などどれも興味深いお話ばかりです。デザインはただ美しいだけでは効果を発揮しませんが,人はやはり美しいものに目を惹かれます。人がどのようなものを美しいと感じ,心地良くなるか,デザイナーには人の気持ちに寄り添うことができる感性とそれを冷静に観察する力も必要だとおっしゃいます。

最後にご自身が手がけたお仕事や札幌国際短編映画際,デザインウィークについてご紹介いただきました。「デザインの仕事」とひとくくりにできない多岐に渡る活躍ぶりに驚きました。考えを具体化すること,大切なことや伝えたいメッセージを「わかる」形で表現すること,そして人の気持ちに寄り添うこと。私たち科学技術コミュニケーターにとっても大切なテーマです。

ぜひ,アイディアを考えるトレーニングを積み,修了後の科学技術コミュニケーション活動に生かしてゆきたいと思います。山岸先生,ありがとうございました。

レポート:上口愛(本科・北大先端生命科学研究院技術補佐員)

最終回ですから,記念撮影。そしてe-learning収録のために毎回カメラを担当して下さった高橋さん,一年間ありがとうございました!