実践+発信

ザリガニ先生と科学技術コミュニケーション(2022年度新スタッフ紹介古澤正三さん)

2022.5.13

2022年4月、CoSTEPに新しいスタッフとして古澤正三さんが加わりました。CoSTEP12期対話の場の創造実習受講生だった古澤さん。

受講生時代には「ザリガニ先生」として体験型教室を開催されました。では、ザリガニ先生はどのように誕生したのか、CoSTEPとの出会いは?、今後どのような科学技術コミュニケーションの実践を行っていきたいのか、インタビューをお届けします。

ザリガニとの出会いは中島公園

—意外なことに「ザリガニとの出会いは中島公園でのお祭りでした」と話す古澤さん。

「小学校3年生の頃に中島公園でやっているお祭りで、アメリカザリガニ釣りがあったんですね。ちょっと面白そうだなと釣りをした時にメスのザリガニを1匹もらってきました。それから一匹だとかわいそうだな、一緒に飼ってあげなきゃって、オスやメスを買ってきたんですよね。あっという間に卵を産んで、それがすごく感動的でした。そこでザリガニのことをもっと知りたくなり、図書館にあったザリガニ図鑑を見たところ、日本に住んでいるのはニホンザリガニとあとウチダザリガニがいて、ニホンザリガニの方はどうやら北海道にいるらしいということがわかった。見てみたいなと思って近くの川にザリガニいないかなとよく探しに行っていました。今考えたら絶対いないような場所を一生懸命探していましたね。」

ザリガニは父との絆の一つだった

—ザリガニと古澤さんのつながりにはもう一つ重要なポイントがありました。それはザリガニがお父様との絆の一つだったことです。

「ある時、普段仕事やゴルフで忙しい父が「山にザリガニがいるらしい」と知人から聞き、山に連れて行ってくれたんですね。そのときに見つけたザリガニが記憶にずっと残っていて、うれしくてうれしくてそれからはまっちゃって今に至るという感じですね。」

「中学高校そして大学でも、「どこどこにザリガニいるよ」と聞けば探しに行きました。それまでと違うことは、大人になるにつれ機動力が増したので探しにいく距離が遠くなったことでしょうか。」

ザリガニを原動力にダイビングを始める。

—ウチダザリガニがどうしても見たくて、ダイビングを始めましたと話す古澤さん。好きなものは何かを始める原動力にもなっていることがわかります。

「湖の中にいるザリガニを初めて見たときには、うれしくて思わず水の中で喜んでしまって、堆積している泥を巻き上げてで視界がゼロになってしまい、あれだけ言ったのにと怒られました。」

「ザリガニ」を共通言語に色々な人とコミュニケーションが取れる

—世界にはザリガニが好きな、いろいろな人がいる。ザリガニが好きという人は自分の周りでは年齢が高めな層が多かったが、あるとき国際ザリガニ学会でのニホンザリガニを探すツアーに参加して衝撃を受けたといいます。

「一見ザリガニに興味のなさそうな普通に街中を歩いているような方が何人もいらっしゃって、「この人たち本当にザリガニが好きなのかな」と懐疑的だったのですが、

真っ先に靴を脱いで川に入っていく姿を見て、世の中にはザリガニが好きないろんな人がいるのだと考えを改めました。」

前職では高校の先生だった古澤さん、CoSTEPとの出会いはどこだったのでしょうか。

「前職は情報の教員だったんですけれど、その関係で他の高校や専門学校の先生と関わる機会があって、ある時CoSTEP受講生の方からCoSTEPのことを聞いたのが最初です。「正三さん、ザリガニ、ザリガニって言ってるから、もしかしたらイベントできるかもしれないですよ」みたいなことを言われたのを覚えています。それでCoSTEPに受講生として飛び込んでいった感じですね。」

ザリガニ先生の受講生時代

—12期対話の場の創造実習の受講生では、ザリガニ先生として他の受講生と協力して体験型教室を開催されました。どのような学びがあったのかも伺いました。

「子どもに伝えるためには大人が必要なのではと考え、大人を対象として考えました。子どもの頃ザリガニに触れる機会があったとしても、大人になると触れ合う機会がありませんし、そういった意味でも大人が楽しめる機会だったのではと思います。また、ザリガニをきっかけとして、いろいろなことを考えてもらえる、という実感もできましたね。」

CoSTEPでの今後の実践

—最後に、CoSTEPで今後どのような実践を行っていきたいのかを伺いました。

「やはりザリガニが好きなので、ザリガニのことをやりたいですね。それにザリガニだけではなく、そこから派生した生物多様性というか、外来生物関係に取り組めたらいいなと思っています。大学では電子情報工学科で骨にはどのような力がかかるのか、構造的にどのようになっているのか研究していました。情報やコンピューター関係ということもバックグラウンドとしてあるので、例えばVRにも興味があります。VR空間で練習したことが実際にできる。体が動かなくなってしても、バーチャル空間の中で自由に動き回れるというところもある。そういったところから何かできるのではないかと思っています。」

—好きなものを突き詰めること、そこから派生した活動を続けること、そこに働くことや研究することのヒントがあると改めて感じました。
今日はありがとうございました。