今年度の受講生が実習授業の中で初めて実践したサイエンス・カフェ札幌「タダの水からエネルギー?〜太陽の光でクリーンな水素をつくる〜」(第58回)は8月6日(土),阿部竜先生(北海道大学触媒化学研究センター・准教授)をゲストに迎え開催されました。
今回は夏休み特別企画です。子供向け(14:30〜)と一般向け(16:30〜),2 回に分けて実施しました。まずは前半の様子をレポート〈part 1〉にまとめてご報告します。
この日集まった約30名の小学生は2年生から6年生まで,学年はさまざまです。保護者のみなさんも一緒に,親子で参加してくれました。
はじめに阿部先生から子供たちへの質問です。「みなさんはどんな交通手段を使ってこの会場まで来ましたか?」身近な話題をきっかけに,私たちの生活に欠かすことができないエネルギーや,未来の発電技術について考えるキッズサイエンスカフェがスタートしました。
「このまま化石燃料を使い続けると,どんな問題が起こると思いますか。」少し難しい質問にも,子供たちの手はすぐに挙がります。
「CO2(シーオーツー)が発生して温暖化につながると思います。」(4年生男児)ほかにも
「化石燃料がなくなってしまうかもしれません。」(2年生男児)
子供たちの素早く的確な回答に,さすがの阿部先生も驚きを隠せません。
子供たちと一緒に化石燃料の問題点を整理・確認すると,続けて太陽光など自然エネルギーを使った発電技術について,さらに踏み込んで阿部先生が研究している「水素」や「光触媒」のお話をしてもらいました。水素には二つの利点があります。一つは燃焼させても二酸化炭素が発生しないこと,もう一つは燃料電池としてゆっくり燃焼させることで電気を製造できること。阿部先生は言葉を選びながら,丁寧に説明してくれました。
途中,光触媒を利用して水素を発生させる実験やミニチュア水素カーの走行テストを目の前で披露すると,みんな大喜びです。普段の生活では馴染みのない「水素」への興味が一気に盛り上がりました。
しかし,水素が,エネルギー源としてそのまま利用できるような形でどこかに眠っているわけではありません。
どうしたら水素をつくり出すことができるか,ここからが阿部先生が取り組んでいる研究の本題です。(専門的なメカニズムの説明は省略しましたが)化石燃料を使わずに,光触媒と太陽光だけを使って水を分解し,水素を発生させようと挑戦する阿部先生の心意気は子供たちにもしっかり伝わったようです。
最後にマイクを向けた子供の感想を紹介します。「阿部先生に出会って,科学にどんどん興味がわいてきました。」参加した子供たちへは,記念品として阿部先生からのメッセージが記されたカードと,特製缶バッジがプレゼントされました。
優しい笑顔と熱いハートで子供たちに「最先端の科学」を紹介してくれた阿部先生,ありがとうございました!
後半の様子、レポート〈part 2〉はこちらから