宮 愛香(2022年度 本科 ソーシャルデザイン実習/北海道大学 病院 職員)
「何しにここにきたの?」CoSTEPで知り合った人たちからまず最初に言われたことです。確かに、CoSTEPで自分の専門の知識や技術が直接向上することはあまりないのかもしれません。自分ひとりでは巡り会えないような講師から授業を受け、さまざまな背景をもつ受講生と対面で一緒に成果物を作ること、自分にとって遠い存在であった映像やアート作品と接点を増やすことは、私には必要でした。私が携わる医療の分野でも、さまざまな場面で知識の普及と啓発が求められます。会話のコミュニケーション能力が低い私にとって、態度や表情や口から出る言葉だけでない手法でコミュニケーションに挑むCoSTEPのプログラムは、自分の世界を広げてくれました。
CoSTEPインフォグラフィック演習では、
自己紹介カードを作成して視覚的なコミュニケーションに挑みました
手法は学べても、ものの見方を直接教えてくれる訳でもありません。自分たちで価値観を探して、実習や日常生活で実践してみて、その都度CoSTEPの教員に質問してその場でフィードバックを受けて、また実践することを繰り返します。誰に何を伝えどのような形で反響を回収するかを徹底的に学びます。このプロセスを細部までこだわると、相手の解釈、相手への伝わり方が様変わりします。相手が無意識のうちに行動してしまうような仕掛けを日常に仕込んでいく、かなり濃密カリキュラムになっています。
CoSTEPには本科と選科があります。体系的にさまざまな考え方や手法を学びたかったので本科ソーシャルデザイン実習を選びました。水曜の夜と土曜はCoSTEPの時間になりました。仕事が重なることもありましたが、現地に行けない時もオンラインで参加できるよう配慮してくださったり、グループで取り組む課題はメンバーと役割分担をして両立することができました。そして、家庭や仕事、大学院の研究や就職活動などなど、私よりもはるかに多忙な日々をこなしながら参加しているCoSTEP受講生、指導教員の方々と出会い、お互い励まし合いながら出席回数が増え、おかげさまで修了条件である出席率 70%以上はクリアできたと思います。
ソーシャルデザイン実習では、環境問題と衣服の関係性に注目しサイエンスコミュニケーションの可能性を探求しました。私のようにファッションをよく知らない人がついつい気になって行動に移すような伏線を作って回収することが求められました。自分の専門領域とはかけ離れたテーマでしたが、伝え方の幅が一気に広がったと感じます。
社会背景や年齢を問わず色々なタイミングで、学びたくなったときにこられる場としてCoSTEPがあるというのは、とても素敵なことと思います。修了式間近の2月は、もしかすると夜遅くまでの作業が増えるかもしれないので、本業の調整ができる方は2月の予定をあけておくことをお勧めします。