CoSTEPフェローの岸田直樹さんが代表をつとめる一般社団法人Sapporo Medical Academyが、厚生労働省の第4回 「上手な医療のかかり方アワード」 厚生労働大臣賞 最優秀賞を受賞しました。取り組み名称は「札幌市民データに基づいたコロナの情報発信-ワクチン効果、症状発現率とセルフケア-」です。
岸田さんはCOVID-19流行の中、2020年5月に札幌市危機管理対策室(現・危機管理局)参与に着任。感染状況の分析を行い、札幌市や札幌市医師会のホームページなどから市民に対して情報を発信してきました。また、自ら札幌市内の病院で感染症診療・感染対策にあたる傍ら、Twitterでも活発に自らの声でコロナ対策について発信してきました。
「上手な医療のかかり方アワード」は以下五つの方策にもとづくすぐれた活動を表彰するものです。その内容は、科学技術コミュニケーションで重要な考え方とアプローチにも一致していると言えるでしょう。
- 患者・家族の不安を解消する取組を最優先で実施している。
- 医療の現場が危機である現状を国民に広く共有している。
- 緊急時の相談電話やサイトを導入・周知・活用している。
- 信頼できる医療情報を見やすくまとめて提供している。
- チーム医療を徹底し、患者・家族の相談体制を確立している。
厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp」より
岸田さんは受賞をうけてCoSTEPに以下のコメントを寄せてくれました。
コロナに関連する情報に市民は不安でいっぱいです。特に世界規模の出来事であるコロナに対して「海外の情報が本当に自分たちにも当てはまるのだろうか?」という思いが生じるのはもっともなことです。そのような中、実際に私たちが住む地域のデータから、新型のウイルスの特徴や新しい技術であるワクチン効果などを算出し、その情報を地域へ迅速に発信することは、患者・家族の不安を少しでも解消するためにとても重要であると考えました。トップダウンの指示ではなく「自ずから」を大切にする私たちにとって、専門家と市民とが信頼関係を築き、相互に理解を深めることこそが大きな力を生み出します。そのことをこのコロナ禍で再確認しました。専門家と、市民との間でなされる双方向的なコミュニケーションをいかに最大のものとして生み出せるか? この国の文脈にあった科学技術コミュニケーションの重要性に気づかされた3年間でした。そしてたくさんの反省もありました。これからますますテクノロジーは進化し、それと上手に付き合っていくことが重要になるでしょう。このコロナ禍での経験を次に生かせてこそであり、スタートラインに立った気持ちです。このような情報発信をご評価していただき、誠にありがとうございます。