CoSTEPが制作したこども科学バラエティ番組「かがく探検隊コーステップ」。
小学生リポーターが研究者にインビュー、昔からあることわざをサイエンスで解説、気になる科学ニュース、季節の天文コラムなど盛りだくさん。
このページでは、過去に放送された番組をアーカイブとしてまとめました。
ご聴取は、各項目の▶ボタンからどうぞ。
かがく探検隊コーステップ アーカイブ #151~#208(このページ)
#151~
かがく探検隊コーステップ #151(2009.4.10)
ノーベル化学賞・下村脩博士特集(前半)
特集 ノーベル化学賞受賞記念・下村脩博士講演会
特集 パネリストへのインタビュー
2009年3月24日に東京国際フォーラムで行われた、2008年ノーベル化学賞受賞・下村脩博士の記念講演会の様子をお届けします。
今回は下村先生の講演会とパネリストへのインタビューを中心とした前半(37分13秒)です。
残念ながらポッドキャストでは、著作権の関係で下村博士の話を直接聞くことはできません。記念講演会の実験デモンストレーションにも参加した、4期修了生の齋藤亮介さんらが、下村先生の講演会の内容を要約してお伝えします。
会場ではオワンクラゲの展示も行われました(写真3枚目)。
そして、講演会が終わった後、以下のパネリストのみなさんに修了生たちがインタビューを行いました。
名古屋大学名誉教授・磯部稔(いそべ・みのる)さん、東北大学大学院医学系研究科教授・大隅典子(おおすみ・のりこ)さん、東京大学大学院薬学系研究科教授・長野哲雄(ながの・てつお)さん、鶴岡市立加茂水族館館長・村上龍男(むらかみ・たつお)さん、朝日新聞科学エディター・高橋真理子(たかはし・まりこ)さん。第一線で取材されている科学ジャーナリストの高橋さんと、科学コミュニケーション分野でも活躍中の大隅先生からは、科学技術コミュニケーションの将来について貴重なお話を伺うことができました。また村上館長からは、アメリカ在住の下村先生から、オワンクラゲ発光に関して直接アドバイスをもらったというエピソードを伺いました。磯部先生からは発光生物研究の楽しさを伝えることについて。長野先生は薬学研究のお立場から、GFPが医療分野にどんなインパクトを与えたのかお話してくださいました。
お疲れのところ、修了生たちのインタビューに快く応じてくださったパネリストの皆さん、本当にありがとうございました。
講演会の後は、実験デモンストレーションと、パネルディスカッションが行われました。後半のポッドキャストでは、その様子をお届けします。
今日で(たぶん)最後の収録となった修了生から、これまでの感謝をこめて、滝沢さんに花が贈られました(写真5枚目)。みなさん、今回は夜遅くまでお疲れ様でした!
かがく探検隊コーステップ #152(2009.5.8)
ノーベル化学賞・下村脩博士特集(後半)
特集 実験デモンストレーションの様子
特集 ノーベル化学賞記念講演会・パネルディスカッションの様子
2009年3月24日に東京国際フォーラムで行われた、2008年ノーベル化学賞受賞・下村脩博士の記念講演会の様子です。
今回は、北海道大学医学研究科の近江谷克裕(おおみやよしひろ)先生と、産業技術総合研究所の呉純(ウー・チュン)、CoSTEPによる実験デモンストレーション、それから下村先生を交えたパネルディスカッションを中心とした後半(22分41秒)です。
残念ながら今回もポッドキャストでは、著作権の関係で下村博士の話を直接聞くことはできません。前半と同様、4期修了生の齋藤亮介さん達が、要約してお伝えします。
打ち上げ終了後にも近江谷教授にインタビューをお願いしました。このとき、下村さんとは旧知の仲である近江谷教授にとっても、今回の先生の「あきらめない」というメッセージは改めて胸に響いたそうです。
しかし、下村先生を前にした実験デモンストレーションは、みんなにとってかなりのプレッシャーだったのは間違いありません。とにかく無事終わって良かったです。近江谷先生、呉純先生、CoSTEPのメンバー、本当にお疲れ様でした!
かがく探検隊コーステップ #153(2007.11.3)
科学技術コミュニケーターに聞く! 元村有希子(もとむらゆきこ)さん(毎日新聞科学環境部記者)
研究室に行ってみよう 徹底解剖!暮らしに役立つ放射線 住吉孝教授(北海道大学大学院工学研究科)
コーステップインフォメーション 元村さんたち毎日新聞科学環境部の新著「迫るアジア どうする日本の研究者—理系白書3」(講談社文庫 09年1月15日初版発行)を紹介
研究室に行ってみよう 〜放射線科学 住吉孝先生〜
今日は、我々CoSTEP第5期生の「ラジオ番組制作実習」の記念すべき第1回。番組の目玉である「研究室へいってみよう」、テーマは「放射線」です。北海道大学大学院工学研究科で放射線に関する研究をされている住吉孝(すみよしたかし)教授の研究室へ伺いました。インタビュアーは、村松慎也さんです。
まず、放射線とはどのようなものなのか、放射能と放射線との違いは何か、そして人間をはじめとした生物が放射線を浴びるとどんな影響があるのか、などについてご説明をいただきました。先生からは、それぞれについて分かりやすくご説明をしていただきましたが、合わせて私たちの周りの環境や、体の中にも放射線が存在している、というお話もありました。
さらに先生は、放射線測定器(ガイガー・ミューラー・カウンター)を使って、インタビューを行った研究室(普通に先生たちが仕事をしておられる部屋)の放射線を測してくださいました。続いて、一般に市販されている肥料や乾燥昆布など身近なものからも放射線が出ていることを実際に測って見せていただきました。すると、ピーピーピーとすごい音。天然にある放射線より数倍もの量で、これにはインタビュアーの村松さんもびっくりです。
また、放射線がエックス線撮影やがん治療などの医療分野だけではなく、農業分野や、半導体製造などの工業分野でも広く利用されており、我々が清潔で安心な生活を送る上で大いに役立っていることを、様々な実例を挙げてご説明いただきました。
住吉先生は、大学祭や市民向けの講座などの機会があるたびに、放射線がいろいろな場所で様々な役割を果たしていることをお話しされているそうです。2009年6月6日には、北大の学園祭にあわせて原子力オープンスクールを開催したそうです。「エネルギーって何?」という参加型シンポジウムでグループ対抗クイズを行ったり、「放射線が目で見える?」と題して、霧箱を制作するなどの体験実験コーナーを開催したそうです。
皆さんもまた、このような機会がありましたら、住吉先生のお話を聞いてみてはいかがでしょうか。
科学技術コミュニケーターに聞く!〜信じれば、道は拓ける(前編)〜
2006年に「理系白書」で科学ジャーナリスト大賞を受賞された、毎日新聞科学環境部記者・元村有希子さんへのインタビューを以下に記載します。
5月30日、31日に行われた北海道大学大学院での集中講義の合間を縫って、インタビューに応じていただきました。
主な質疑応答を以下に記しますが、彼女の答えの中から、科学技術コミュニケーターへの熱い想いの一端が垣間見えるのではないでしょうか。
Q1. 記者として大切にしていることは何ですか。
A1. アマチュア感覚を大切にしている。
相手についてはホームページや論文、著作物などを見て事前に勉強をするが、3割くらい、わからないところを持っておく。それについて聞いてみると、生き生きと語ってくれることがある。その場合はそれで質問内容を変えることもある。最初からシナリオを作っていくわけではない。
Q2. 一番ドキドキした取材はどんなことだったでしょうか。
A2. 2005年のスペースシャトル運行再開第1号で、日本の野口さんが乗り込むことになり、その打ち上げの取材をしたこと。宇宙飛行士は打ち上げ前でも非常にリラックスしていることに驚いた。
シャトル打ち上げは2週間延期となったが、打ち上げを見たときには、取材記者全員が抱き合って非常に喜んだ。この時には記者をやって非常に良かったと感じた。
かがく探検隊コーステップ #154(2009.6.28)▶
特集サイエンスカフェ「ウィルスはどうやって生きのびているのか?〜人獣共通感染症研究の最前線〜」
第43回サイエンス・カフェ札幌「ウィルスはどうやって生きのびているのか?〜人獣共通感染症研究の最前線〜」の様子をお届けします。
世界中で、猛威をふるった新型インフルエンザをはじめ、こうした動物から人への感染症をどうすれば予防できるのかなど、興味深いお話を、このサイエンス・カフェでは聞くことができました。
今回のゲストは、北海道大学・人獣共通感染症リサーチセンター教授でウィルス学が専門の高田礼人(あやと)さんでした。インフルエンザなど、獣から人へ感染するウィルスに関する基礎研究をやっていらっしゃいます。最近では、2008年6月放送のNHK総合・爆笑問題のニッポンの教養「ウイルス その奇妙な生き方」にも出演されている、ウィルス学の第一人者です。
キーワードを大きな字で会場に示すという新たな試みも。今回もたくさんの方々にご参加いただきました。ぜひ番組をお聴きください。
また今回は、CoSTEP応援団の藤井哲之進(ふじい・てつのしん)さん(3期修了生)、一星礼(いちほし・ゆき)さん(2期修了生)、相澤佐矢子(あいざわ・さやこ)さん(3期修了生)が司会をつとめました。久しぶりの収録に、応援団の皆さんも若干緊張気味でしたが、さすがにすぐに慣れて司会をこなしてくれました。
ゲストには、CoSTEPスタッフの石村源生(いしむら・げんせい)特任准教授を招いて、収録を行いました。石村さんは今回のサイエンスカフェを企画し、会場ではファシリテーターを務めました。今回新型インフルエンザが世界的に流行する中での開催になった経緯や、現在の人獣共通感染症の研究の最前線について伺いました。
かがく探検隊コーステップ #155(2009.7.10)
科学技術コミュニケーターに聞く! 元村有希子さん(毎日新聞科学環境部記者)
研究室に行ってみよう 色とりどり!発光の科学 山田幸司先生(北海道大学大学院地球環境科学研究院)
コーステップインフォメーション 北海道大学オープンキャンパスについて
研究室に行ってみよう 〜色とりどり!発光の科学〜
今日は、我々CoSTEP第5期生の「ラジオ番組制作実習」の第2回目の放送です。今回の「研究室へいってみよう」のテーマは「化学発光」。北海道大学大学院地球環境科学研究院で化学発光に関する研究をされている山田幸司(やまだ・こうじ)准教授の研究室へ伺いました。インタビュワーは、三原義広さんです。
山田先生からは、まず、モノが光る仕組みについて、わかりやすいご説明をいただきました。 発光のメカニズムに関しては3つのタイプがあるそうです。光エネルギー(事故防止用の反射テープ、時計の光る文字盤など)による発光、電気エネルギー(液晶や有機ELによるテレビの画面など)によるもの、そして生物発光です。生物の発光といえば、ホタルやチョウチンアンコウが思い浮かびます。こうした発光は、酵素の反応で起こるもので、非常に効率が良いといわれています。 昨年のノーベル化学賞受賞者、下村脩博士がオワンクラゲから見つけたGFP(緑色蛍光タンパク質)でおなじみですね。
山田先生は、中でも化学的な発光現象に関して詳しく調べています。学生時代から「世界にひとつしかない物質を作ること」を目標に有機合成化学の研究をされてきました。そして、こうした光によって、細胞分裂を目に見えるようにしたいと考えました。その後、北大で開発された「鈴木・宮浦カップリング法」を使っていろいろな蛍光物質が合成できるようになり、化学発光の研究が大きく進展しました。
先生の研究室で、これまでの研究成果の一部である、赤色、青色、緑色など様々な色の発光物質を実際に見せていただきました。小さな箱の中に並んでいるきれいな光を見ると、カラーセラピーを思い起こし、ほっとさせられます。これらの物質は、蛍光色素を有機溶媒の中に溶かしたもので、光(ブラックライト)を当てると光るそうです。元の蛍光物質は同じものですが、それを溶かす有機溶媒が油成分に近いと青くなり、有機溶媒が水に近いと赤くなる、というように色を自在に変えることができるのです。
そもそも化学発光技術を開発したのは、米国のNASA(航空宇宙局)で、衛星内の照明器具へ応用したのが始まりとも言われています。激しい衝撃が加わったとしても、電気を使った照明器具と違って、故障することがないからです。発光化学が進歩して様々な分野に応用されることで、科学技術全体の発展につながっていくのです。
化学発光の研究は、医療や食品衛生の分野にも大きく役立つそうです。例えば、現在では多くの手間と費用が必要とされる正常細胞とがん細胞の識別や、安全な食品かそうでないかを見分ける作業が、将来は化学発光技術によって簡単にできるようになるだろうともおっしゃっていました。
また発光物質の色が変わることで、化学合成の過程が目に見えて理解することができるようになります。これまでよく分からなかった様々な工業プロセスや有機合成反応そのものが明らかになってくるでしょう。
山田先生は、北大祭や各地の高校に出向いて、化学発光と生物発光の違いなどを体験させるようなイベントを通じて、発光現象の面白さを広く一般の人々にも伝えています。また、北大は我が国における「光技術の殿堂」だそうです。他にも光に関する最先端技術の開発をしておられる先生が何人もおられるので、みんなで一緒に光に関する市民向け講座などを開きたいとおっしゃっていました。
皆さんもまた、このような機会がありましたら、山田先生のお話を聞いてみてはいかがでしょうか。
スタジオ収録秘話 〜NHK永井伸一アナウンサーが飛び入り参加!〜
何と今回はスペシャルゲスト、NHKアナウンサーの永井伸一さんがラジオ制作実習に飛び入りで参加してくださいました。永井さんは、2009年6月20日のCoSTEP映像表現演習の講師として北大にいらっしゃったのです。
平日朝のNHK総合「生活ほっとモーニング」の司会や、数々の科学番組の司会でも有名な方です。
今回のオープニングコントはいつにも増してハジケていたことにお気づきの方もいるかもしれません。じつは今回は脚本から演出まで全面的に、永井さんにご指導をいただくことができたのです。
今回の取材を企画したのは三原義広さん。司会は私、毛呂と近藤奨さんが一緒に司会をつとめました。
それにしても楽しい収録でした。永井さん、どうもありがとうございました!
科学技術コミュニケーターに聞く!〜信じれば、道は拓ける (後編)〜
毎日新聞科学環境部記者・元村有希子さんへのインタビュー。今回は後半をお届けしました。以下に内容を記載します。
Q1. 日本の理系のワークライフバランスをどう思いますか。
A1. 悪い。いつも、仕事・研究だけをしている感じ。
でもそれだけ打ち込んでやまない目標があることは、今の世の中では貴重なことかもしれない。
ただ、自分自身で限界を決めてしまっていることが残念である。もっとワークに貪欲になってほしい。
研究者が違うタイプの、あるいは外部の人との交流を通じて、自分のやっていることの大切さ、そして分かりにくさを経験することが重要ではないか。
Q2. 子供たちが参加する国際科学オリンピックなどのイベントをどう思いますか
A2. 子供たちが科学オリンピックに出ることは大変良く、うれしいことと思う。
日本では100人に1人が研究者なのに、子供たちに研究者の姿が見えていないように思う。
最近の研究者はカッコ良い。
女性の研究者がもっと子供たちの前に出てきてほしい。
Q3. ジャーナリストを目指す人へのメッセージをいただければ、と思います。
A3. 自分の好奇心と問題意識を信じて熱中してほしい。
試行錯誤を続けていれば、成長していくはず。信じれば道は開ける。
まずやってみることが大切。
いろいろな経験を通して、沢山の引き出しを作っておくと、いつか必ず役に立つ。
編集では残念ながら入れることはできなかったのですが、他にも以下のようなお話を聞かせていただきました。
Q4. 科学技術コミュニケーターとして必要な資質や、上手に内容を伝えるコツが何かありますか。
A4. 空気を読めること、素人感覚を大事にすることが大切。
たとえ話の内容が分からない場合でも、その雰囲気を伝えることも重要。(不思議ですねー、と同意するなど。)
コミュニケーターとして、何か得意な表現方法を持っていれば、なお良いのではないか。
コツは、自分が面白いと思ったこと、その面白さをそのまま伝えること。
またその研究の危うさ、怖さを伝えることも重要。
結局は、等身大の科学を伝えることが最終的な目標。
Q5. 元村さんが科学者だったら、今、何を研究したいですか。
A5. 今なら、複雑系の研究をしてみたい。波や砂丘などの動き、蝶の羽の美しさ、などを科学の眼で説明できれば良いな、と思う。
Q6. 今後の活動の予定はありますか。またテーマの上手な見つけ方があれば、教えてください。
A6. 今後の活動は、「科学と社会」のことをこれからも取り上げて行きたい。
やりたいテーマは、様々な記事を書いていく中で、自分の中に溜まっていく問題意識があるとき急に湧いてくるもの。
元村さん、授業前の忙しいところ、長いインタビューに答えてくださって、どうもありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #156(2009.8.14)
研究室に行ってみよう 北海道から発信!!カムイロケット 永田晴紀先生(北海道大学大学院工学研究科 機械宇宙工学専攻 宇宙システム工学講座)
コーステップインフォメーション カムイロケットの打ち上げ実験見学について
研究室に行ってみよう 〜北海道から発信!!カムイロケット〜
カムイロケットで有名な北海道大学大学院 ・工学研究科機械宇宙工学専攻、永田晴紀(はるのり)先生の研究室を訪ねました。永田先生はこれで2回目の「科学たんけん隊コーステップ」ご出演であり、2006年5月12日のサイエンスカフェ「北海道のCAMUIロケット」にも出演していただいたことがあります。「カムイ(CAMUI)ロケット」とは従来のロケットに比べ安全で、さまざまな宇宙実験に使いやすい小型で効率の良いロケット。今回は今年3月の打ち上げ実験の様子など、その後の永田先生の研究の進展について伺うことができました。インタビュアーはマッチこと近藤奨(つとむ)さんです。
Q. カムイロケットと従来のロケットではどこが違うのですか。
A. 従来のロケットの多くが液体燃料を使用した「液体ロケット」または火薬を用いた「固体ロケット」でしたが、カムイロケットは、固体燃料(火薬ではなく、プラスチック等)と液体酸化剤の組合せを用いたハイブリッドエンジンを搭載しているという点です。従来の液体、固体燃料にくらべ燃料庫などの施設維持費が安くなり、何よりもロケット打ち上げ時の安全性が向上します。
Q. 今年3月にカムイロケットの打ち上げ実験が行われましたが、その時に得られた成果はいかがでしたか。
A. カムイロケットによるエジェクター効果(燃料噴射時に噴射口からガスを排出させるのと同時に大量の空気を取り込み、空気を2次燃焼させることで推力の向上を図る)の確認や、亜音速の流れ(マッハ1以下の速さでロケットが動く時に作り出される空気の流れ)の解析を行うことができました。
Q. JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究を始められたそうですが、それはどのような内容ですか?
A. カムイロケットを利用すれば、地上で得るのが難しい音速に近い領域に関する流体などのデータを、効率的に得ることができます。カムイロケットが小規模な実験や小型の衛星の打ち上げのための有意義なツールとして使えるかどうか、これからJAXAと一緒に研究していきます。
Q. ますます注目されているカムイロケットですが、じつは北海道の企業や自治体の協力を得ながら運営されているそうですね。
A. そうなんです。とくに、赤平市にある企業と共同でロケットの製作をおこない,大樹町ではロケットの打ち上げ場所を提供してもらう、というように2つの町がカムイロケットにとても深くかかわっています。どちらの町でもカムイロケットをわが町の誇りと思っていただいているようでうれしいです。
北海道内だけで単独でロケットを製作し、打ち上げられるというのは、すごいことです。北海道は私も含め、宇宙開発に強い想いを持っているという人がたくさんいらっしゃることを知ってほしいです。
Q. カムイロケットの開発を通じて、私たちに伝えたいことは?
A. どんな人でも社会の中でさまざまな役割を果たしていますが、社会づくりに積極的に参加することで、私たちは生きがいを感じるのではないでしょうか。今年、今年、アポロ11号で人類が月面に初めて着地してから40周年に当たります。宇宙開発(ロケット打ち上げ)に対するわくわくするような感情を子供たちに与えたいです。
インタビューに同席して、永田先生はカムイロケットの開発を通じて、人とのつながりをとても大事にしていることが言葉の節々から伝わってきて,とても印象的でした。大樹町の「道の駅」にカムイロケットが展示されたということも、カムイロケットの可能性に地域の人々が期待している何よりの証拠です。
「社会と宇宙開発のコミュニティーを日本全体に作りたい。赤平市、大樹町から日本全体に宇宙開発を発信していく。」という、永田先生の強い意志を感じることができました。これからのカムイロケットの動向に注目したいと思います。
かがく探検隊コーステップ #157(2009.8.29)▶
特集:サイエンスカフェ「ブラックホールを〈描く〉男〜宇宙物理学者は星空の向こうに何を見るか?〜」
ゲスト:早崎公威(きみたけ)さん(北海道大学大学院理学研究院/宇宙物理学・ブラックホール天文学)
第44回サイエンス・カフェ札幌「ブラックホールを〈描く〉男〜宇宙物理学者は星空の向こうに何を見るか?」(2009年7月25日;sapporo55ビル1階インナーガーデン開催)の様子をお届けします。
宇宙に存在するといわれるブラックホール。ものすごく強い重力をもっていて、超新星爆発によって生まれるそうです。ブラックホールを見る方法はあるのか?ブラックホールがどんどん大きくなっていくと、最後にはどうなってしまうのか?こうした興味深い話を聞くことができました。
今回のゲストは、北海道大学大学院理学研究院でブラックホールを研究している早崎公威学術研究員でした。早崎さんは2008年、銀河同士が衝突、合体する過程を解き明かすカギとされる「双子のブラックホール」の周りに、特徴的なガス円盤ができることを計算によってはじめて説明しました。現在、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に設置する装置を使って、双子ブラックホールを観測するプロジェクトに参加されています。
早崎さんは軽妙なトークに、研究者らしからぬお洒落な風貌。趣味はサーフィンで、石狩や小樽の海岸に出かけ、雄大な自然と対話しながら研究の構想を練ることもあるそうです。今回は、カフェの会場にもサーフボードを持ってきて頂きました。
そしてまた、今回もサイエンスカフェ特集として、会場でのお話をもとに、北大内のスタジオでポッドキャストの収録を行いました。以下、CoSTEP第5期生本科の受講生です。ラジオの収録ははじめてとあって、皆さん緊張した面持ちです。写真3枚目左から、ファシリテーターをつとめた工藤康彦さん、横田恒一さん、橋詰敦樹さん。ディレクターは村松慎也さんでした。
サイエンスカフェだけでなく、ポッドキャストの収録にも、早崎さんは駆けつけてくださいました。カフェのゲストにポッドキャストの収録まで立ち会っていただくのは初めての試みです。
今回のサイエンスカフェをやってみて感じたこと、言い足りなかったことなどを、肩の力を抜いてざっくばらんにお話ししてくださっています。受講生からは、反省の弁や今後の抱負も…
ぜひ、番組をお聴きください。
かがく探検隊コーステップ #158(2009.9.11)
研究室に行ってみよう 実験で迫る!私たちの心と社会 横田晋大先生(北海道大学大学院文学研究科 社会心理学研究室)
科学技術コミュニケーターに聞く! ジンパを突撃!CoSTEP応援団、修了生のみなさんにインタビュー
コーステップインフォメーション サイエンスフェスタ開催についての詳細。2009年10月30日〜12月20日まで東京、上野の国立科学博物館
研究室に行ってみよう 〜実験で迫る!私たちの心と社会〜
我々 CoSTEP 第5期生の「ラジオ番組制作実習」も今回で第4回目!!
番組の目玉コーナー「研究室にいってみよう」ですが、今回のテーマは「心の社会性」というちょっと変わったテーマです。取材先もこれまでのように理系の研究室ではなく、北海道大学大学院文学研究科。文学部の大学院です。こちらで社会心理学に関する研究を行っている横田晋大(よこたくにひろ)さんを訪ねました。インタビュアーは川島奈那子さんです。
心理学という言葉を聞くと個人の心の動きのことを想像するかもしれませんが、社会や周囲の環境に適応するために、人の心がどうつくられていくのかを研究するのが社会心理学という学問分野です。
横田さんにはまず「心の社会性」とは何かということをお聞きしました。人々の心が社会を形成し、社会が人々の心を形成する、心の社会性にはそのような相互関係があるそうです。様々な例をあげてわかりやすく説明していただきました。
また環境問題のような分野も社会心理学は研究対象です。1人1人にとっては自動車を使うのは合理的な行動でも、全体としては二酸化炭素を排出して地球温暖化につながってしまうような問題です。こうした個別最適の事象が全体最適にはつながらない社会的ジレンマという問題についても社会心理学が貢献しているのです。
続いて、今回取材したスタッフのメンバーを対象に簡単な実験を行っていただきました。内容を簡単に説明しますと、5本のペンがあります。4本は全く同じデザインのペン、1本だけは他の4本とは少しデザインが異なる、1本だけもらえるとするとどのペンをもらいますか?というものです。
ペンをもらう際の環境に応じて、もらうペンを選んでもらい、そこから心の動きを見ます。
この実験を通して、状況が変わるとそれに合わせて心が変わるということを示していただきました。また日本人ならでは、アメリカ人ならではの選択があり、国民性や歴史なども浮かび上がってくるそうです。
また、横田さんご自身の研究についてお聞きしました。横田さんは、なぜ人は戦争をするのか、そしてなぜ集団同士で争いをするのかを、社会心理学を用いて解明しようとしていらっしゃいます。大変難しいテーマに取り組んでおられますが、他分野、他機関の人と協力し取り組んでいきたいとおっしゃっていました。
科学技術コミュニケーターに聞く! 〜突撃・ジンパでインタビュー〜
さて、みなさん「ジンパ」って、ご存じですか?ジンパとは、北大ではジンギスカンパーティーの略なんです。さわやかな風が吹き渡るキャンパスの緑の中、ジンギスカンをつまみに大いにビールジョッキを飲み干すのが、札幌の短い夏を楽しく過ごす秘訣です!
8月8日、CoSTEPの修了生などでつくるCoSTEP応援団が、私たち5期生のためにジンパを開いて下さいました(応援団の皆様、本当にありがとうございます!)。
30℃を超える暑い日。北大総合博物館南の広場で青空の中、午後3時から9時頃まで長時間にわたり、七輪を囲んで50名ほどのCoSTEP関係者たちが大いに盛り上がりました。
ここで我々ラジオ班は迷惑も顧みず、CoSTEPの先輩方にインタビューを敢行しました。今回のポッドキャストでは、修了生の皆さんが現在されている科学技術コミュニケーション活動や、CoSTEPでの学びが役立っているかなどについて、ジンパの楽しい雰囲気とともにお伝えします。
かがく探検隊コーステップ #159(2009.9.16)▶
特集:サイエンスカフェ「サイエンスシャッフル2009 August」
第45回サイエンス・カフェ札幌「サイエンスシャッフル2009」(2009年8月30日;sapporo55ビル1階インナーガーデン開催)の様子をお届けします。計42分37秒の特集番組です。
サイエンスシャッフルでは、大学で研究されている最先端の科学から、身近な自然現象、生活に密着した技術などを、20分ほどのミニ・トークショーで次々に紹介します。
今回のサイエンスカフェはいつもと趣向が違います。通常のカフェのように研究者が出演して、自分の専門分野について語るというものではなく、受講生だけで作り上げる、「サイエンスシャッフル」というイベントです。
このイベントは、年に1回、選科生が北大に来て行う演習プログラムでもあります。選科は、本科のように大学に通わないで、e-learningで授業などを受けてレポートを提出するため、遠隔地からでも受講できます。今回は、札幌以外に全国から仲間が集まり、みんなが顔をあわせてから、わずか1日半で、サイエンスカフェを準備するという、密度の濃いプログラムでした。
しかし、本番ではみなさん、息もぴったり。とても1日半で作ったとは思えないほど、完成度の高いプログラムを披露してくださいました(睡眠時間2時間という猛者もいましたが…)。その集中力、チームワークにはスタッフも脱帽でした。
ポッドキャスト収録の様子
さて、このイベントの様子をポッドキャストの番組にまとめるという仕事が待っていました。その課題に取り組んでくれたのが、この3人。5期選科受講生の山口博美さん、柳田美智子さん、飯田雅子さん。
初めてのスタジオ収録ということではじめは緊張していましたが、何と!エンディング前までノンストップ。一切NG無しという、すばらしい司会っぷりでした。収録時間も最短記録といってもいいほど、早く終わって、びっくりです。
準備期間は一晩しかなかったにも関わらず、みなさんしっかり台本パートを書いてきてくれたことがスムーズな収録につながったと思います。お見事、ありがとうございました!
かがく探検隊コーステップ #160(2009.10.2)
特集:サイエンスカフェ「サイエンスシャッフル2009 September」
今回も前回に引き続き、第46回サイエンス・カフェ札幌「サイエンスシャッフル2009」(2009年9月6日;sapporo55ビル1階インナーガーデン開催)の様子をお届けします。計46分40秒の特集番組です。
今回もたくさんのお客さんに見に来ていただきました。
サイエンスシャッフルでは、大学で研究されている最先端の科学から、身近な自然現象、生活に密着した技術などを、20分ほどのミニ・トークショーで次々に紹介します。
受講生だけで作り上げる「サイエンスシャッフル」というイベント。年に1回、選科生が北大に来て行う演習プログラムでもあります。今回は4グループに分かれて、理学部8号館でグループワークが行われました。
大阪や東京など、全国からCoSTEPの仲間が集まり、わずか1日半で、サイエンスカフェを準備しました。9月のテーマも個性豊か。「微生物 バンザイ!」「わくわく サンゴSHOW」「リスク笑百科 あなたならどうする?」「手のひらで地球を感じよう!」の4つが本番で発表されました。
ポッドキャスト収録の様子
ポッドキャスト収録の司会を務めてくださったのは、再び8月のサイエンスシャッフルに参加した山口博美さん、柳田美智子さんのお2人。
また、ゲストとして手をあげてくださったのが、9月のサイエンスシャッフルに参加した木佐健悟さんと片岡昭彦さんのお2人です。
山口さんと柳田さんは2回目の収録ということで、さすがに貫禄を見せてくださいました。また木佐さんと片岡さんは初めてのスタジオ収録でしたが、台本をきっちりとかためてきてくれたので、今回もまた2時間ですべて順調に録り終わりました。
収録が終わってから、この日で、北海道での単身生活をひとまず切り上げて奈良に帰る柳田さんを囲んで、打ち上げを行いました。みなさん、ポッドキャスト収録にご協力いただきありがとうございました。お疲れ様!
#161~
かがく探検隊コーステップ #161(2009.10.9)
研究室に行ってみよう 守れますか?地球の未来 山中康裕先生(北海道大学大学院 地球環境科学研究院)
セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜 ノーベル化学賞・白川英樹博士「電気を通すプラスチック」
コーステップインフォメーション グローバルCOEプログラム「統合フィールド環境科学の教育研究拠点形成」の目指すもの
研究室に行ってみよう〜 守れますか?地球の未来〜
今回は、北海道大学大学院・地球環境科学研究院の山中康裕(やまなかやすひろ)先生の研究室を訪ねました。担当ディレクターは5期生のカッキーこと、柿本恵美さんです。
山中先生は、サイエンスカフェ「ここまでわかった!地球温暖化劇変」やラジオ第93回「地球温暖化でサンマが小さくなるんですか?」など、これまでCoSTEPのイベントにたくさん協力していただいています。
じつは今、山中さんはCoSTEPの受講生でもあるんです。つまり私たちと同じ、5期生の仲間。いつも一緒に授業を受けていてよく知っている人なのに、いざインタビューとなると、なぜか不思議なことに、すごく緊張してしまいました。
今回は、山中先生がリーダーとして取り組んでいるグローバルCOE「統合フィールド環境科学の教育研究拠点形成」のプログラムや、サイエンスフェスタで出展する内容などについて伺いました。
研究室に行ってまず驚いたのは、山中先生ご自慢のペンギンコレクション!!研究室の本棚が、ぬいぐるみや人形、ガラス細工などのペンギングッズで埋め尽くされていました。海外出張や旅先などで、およそ300体も集めたんだそうです。
まず初めに山中先生になぜCoSTEPを受講したのか、などを伺いました。先生はこれまでのCoSTEPとの関わりのなかで、自分なりに科学技術コミュニケーションについて考えてきました。最近は様々な地球環境問題について積極的に情報発信されています。
また、山中先生がリーダーをされているグローバルCOEプログラムの目指すところについても伺いました。今年12月に上野の国立科学博物館で開催されるサイエンスフェスタでは、温暖化の二酸化炭素の測定を体験できたり温暖化にまつわる年表を体験することができます。
ぜひ、近くにお住まいの方は、実際にサイエンスフェスタで体験してください。
セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜
皆さんお待ちかね(?)、新しいコーナーができました!セレンディピティとは、「思わぬものを偶然に発見する能力」「幸運を招き寄せる力」という意味です(広辞苑より)。
今回は電気を通すプラスチック、導電性高分子を発見し、2000年にノーベル化学賞を受賞された白川英樹博士についてです。
どのような失敗や発想の転換が、世紀の大発見につながったのでしょうか。このコーナーでは、毎回、様々な大発見の裏側にあるセレンディピティに注目して、科学技術の歴史を大きく変えたものは何なのか迫ります。…なんて言うと難しそうですが、事実をもとに毎回、コミカルなフィクションとしてお届けしますので、お楽しみに!
かがく探検隊コーステップ #162(2009.10.27)▶
特集:サイエンスカフェ「科学者ってどんな女(ひと)?〜“好き”を続ける人生のカタチ〜」
第47回サイエンス・カフェ札幌「科学者ってどんな女(ひと)?〜“好き”を続ける人生のカタチ〜」(2009年10月3日;sapporo55ビル1階インナーガーデン開催)の様子をお届けします。
これまでの「サイエンス・カフェ札幌」のゲストは、ほとんどが男性でした。今回は、珍しく女性研究者2人でお届けするサイエンスカフェ。研究の内容だけではなく、科学者自身の人となりをもっと知ってもらって、身近に感じてもらうのがねらいです。ゲストは二人の素敵な女性研究者ということで、ご来場のお客様にはいつもより女性が多く、とても活気があったようです。
今回お招きしたゲストは、お一人は北大大学院情報科学研究科で生命情報学を専門にする小柳香奈子さん、そしてもう一人は北大電子科学研究所で神経生理学を専門にする谷真紀さんです。
お二人とも生物、とくに人間の神秘を追い続ける研究者でもあり、かわいいお子さんがいるお母さんでもあります。
今回は小柳さん、谷さんお二人の科学者になるまでのエピソードやお子さんが生まれてからの、研究と家庭生活の葛藤など、ワークライフバランスを中心にお話を進めました。
仕事と家庭の両立に困っている方、そしてこれから研究者を目指す人、もちろんそれ以外の皆さんにも、お二人の素敵な生き方を感じ取っていただきたいと思います。
ポッドキャスト収録の様子
そしてまた、今回もサイエンスカフェ特集として、会場でのお話をもとに、北大内のスタジオでポッドキャストの収録を行いました。以下、CoSTEP第5期本科のメンバー、沢田石誠さん、小松美由起さん、百目木幸枝さん、内藤小容子さん、島畑淳史さんが参加しました。
今回はちょっと珍しい試みをしました。サイエンスカフェが終わって2週間ほどたって少し落ち着いたところで、改めて、小柳さん、谷さんお二人に、今回の反響も含め、その後の感想を伺ってみたのです。さて、どんな感想が寄せられたんでしょうか?
ぜひ、番組をお聴きください。
かがく探検隊コーステップ #163(2009.11.13)
研究室に行ってみよう 光触媒が地球をキレイに! 阿部竜先生(北海道大学 触媒化学研究センター 触媒反応化学研究部門)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 パーシー・スペンサー「電子レンジの誕生」
コーステップインフォメーション サイエンスフェスタ:北大触媒GCOEによる「固体酸触媒を使った蛍光色素の合成」の実験について
研究室に行ってみよう 〜光触媒が地球をキレイに!〜
今回は北海道大学が得意としている触媒についてのお話です。中でも、最近特に注目されている「光触媒」について北海道大学・触媒化学研究センター 触媒反応化学研究部門・阿部竜(あべりゅう)准教授の研究室を訪ねました。
担当ディレクターは5期生のケロさんこと、毛呂達(もろさとし)さんです。阿部先生は、お忙しいにも関わらず、丁寧に取材に応じてくださいました。
■ インタビューのまとめ
Q. 「光触媒」とはどんなものですか?
A. 光を吸収して、その光のエネルギーを利用して様々な化学反応を起こす物質です。
Q. 研究のテーマは何ですか?
A. 主に2つあります。「水の分解による水素の製造」と「有害物質の分解・無害化」です。
Q. それぞれの研究テーマが実用化されるとどんな良いことがあるのですか?
A. 「水の分解による水素の製造」では、光触媒をうまく用いると、太陽光の力を使って水を酸素と水素に分解することができます。この反応が効率よくできるようになれば、究極のクリーンエネルギーになると期待されています。研究室では、植物の光合成を真似することで、可視光だけで水を分解して水素を作ることに世界で初めて成功しました。今、この効率を上げようと一生懸命努力しているところです。もう1つの「有害物質の分解・無害化」では、光触媒の強い酸化能力で、物質の表面に付いた有機物を、二酸化炭素と水に分解することができます。建物の壁やガラスに光触媒を塗っておくと、太陽光などを吸収して表面の汚れを分解し、きれいに保つことができるのです。他にも、菌やウイルスの繁殖を防いだり、悪臭物質を分解する効果があります。今、室内の蛍光灯の下でもよく働く「酸化タングステン」という物質を使った実用化を進めているところなんです。
Q. 阿部先生から皆さんへのメッセージをお願いします!
A. 化学の力で世の中はとても便利になりましたが、環境破壊も起こしてきました。この先地球上で生活を続ける為には、化石資源に依存しない新しい仕組みを作り出す必要があります。これからの未来は、化学の力が、環境の修復や新しいクリーンエネルギーを生み出す源になると、私は思っています。ぜひとも皆さんにもそのような夢を持って、化学、そして科学に接してもらえたらと願っています。
阿部先生は、子供の頃から、世の中の役に立つ仕事をしたいと思っていたそうです。強くそれを感じるようになったのは、特にお子さんが生まれてから。子供たちの世代のため少しでも貢献したいと思って、この研究を続けているそうです。これからも阿部先生のご活躍に注目していきたいと思います!ありがとうございました。
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜
セレンディピティとは、「思わぬものを偶然に発見する能力」「幸運を招き寄せる力」という意味(広辞苑)。担当は、ナナピーこと、5期生の川島奈那子さんです。今回は電子レンジ開発の歴史についてです。
1945年のアメリカでは、戦争の為にマイクロ波の研究が行われていました。高性能のレーダーを開発して、敵を見つけ出すためです。
電子レンジの原理を発見したパーシー・スペンサー。同僚が実験中に食べていたチョコレートバーが溶けているのに気づいたことで、偶然にもマイクロ波の加熱効果を発見しました。そのため、欧米では今でも電子レンジは、「マイクロウエーブオーブン」と呼ばれています。
どんなお話になったかは、番組をぜひ聞いてくださいね!
かがく探検隊コーステップ #164(2009.11.18)▶
特集:サイエンスカフェ「魚を育てる森のはなし」
第48回サイエンス・カフェ札幌「魚を育てる森のはなし〜アムール川流域からの鉄が育む生態系、人間のかかわり」(2009年10月31日;sapporo55ビル1階インナーガーデン開催))の様子をお届けします。
近年の研究成果により、アムール川流域の森林から流れ込む「鉄」が、実は海の生態系を支えていることがわかってきました。今回のカフェは、そうした自然のメカニズムと、人間社会との関わりについてのお話です。
今回ゲストにお迎えしたのは、総合地球環境学研究所と北海道大学低温科学研究所准教授であり、「アムール・オホーツクプロジェクト」のプロジェクトリーダーもつとめる、白岩孝行(しらいわ たかゆき)さんです。カフェでは、魚付林と鉄の関係性を中心にお話を伺いました。
ところで「魚付き林」をご存知でしょうか?魚付き林とは、岸辺の森から流れ出る栄養分が沿岸に藻場を作り魚を育むという、循環を作り出す森のことです。
この魚付き林となぜ鉄分が関係するかというと、森林や湿原からの落ち葉などに含まれる腐った栄養分である腐食物質は、鉄分を運ぶ役割があるからです。
海の生き物にとって鉄は欠かせない物質。そんな鉄が、森から海へと流れ込むことで、豊かな海の生態系が保たれる。これがカフェのテーマでもある「魚を育てる森のはなし」です。
今回のカフェでは、ゲストの白岩さんに魚付林の仕組みやメカニズムのお話しをしていただき、カフェの後半では、魚付林をいかに守っていけるのか、というお話を伺いました。人間と自然との関わりについて会場からの質問をまじえながらトークが進み、活気にあふれたカフェとなりました。
ポッドキャスト収録の様子
いつものように、サイエンスカフェ特集として、会場でのお話をもとに、北大内のスタジオでポッドキャストの収録を行いました。
CoSTEP第5期 本科でカフェ3班のメンバー、明田川知美(あけたがわともみ)さん、本宮大輔(もとみやだいすけ)さん、中山佳洋(なかやまよしひろ)さん、山田一輝(やまだかずき)さん、柿本恵美(かきもとめぐみ)さんが参加しました。
また今回はお忙しい中、白岩孝行先生も収録の現場に駆けつけてくれました。会場では聞けなかった本音?も少し漏らしてくださったようです。ぜひ、番組をお聴きください。
かがく探検隊コーステップ #165(2009.12.11)
研究室に行ってみよう 知ってほしい 骨髄移植 杉田純一先生(北海道大学病院血液内科)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 エドワール・ベネディクトゥス「安全ガラスの誕生」
コーステップインフォメーション 森博嗣(もりひろし)著、「森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります!」講談社
研究室に行ってみよう 〜知ってほしい 骨髄移植〜
今回は、ちょっといつもと趣向を変えて、北海道大学病院・血液内科の杉田純一医師に骨髄移植についてたずねました。担当は5期本科生の三原義広さんです。三原さんは献血や骨髄移植などに以前より非常に関心があったとのことで、今回の企画に至りました。
いつもの研究室に行ってみようとは少し雰囲気が違います。しかし医療問題、中でも移植医療は、科学と社会の接点にある大きな問題です。もちろんドナーと家族、医師の密なコミュニケーションが欠かせません。
忙しいに違いない医師の方の時間をとって、初歩的なことを聞くのは気が引けましたが、実際に杉田先生にお会いしてみると、若くて非常に気さくな先生でした。話も分かりやすく、患者さんにとっては理想的な先生だろうなあと勝手に想像してしまいました。
まずは骨髄とはどの部分なのか、造血幹細胞とはどういう機能をもった細胞なのか、その辺りの基礎的なことをお伺いしました。骨髄とは、骨の中心部にある海綿状(スポンジ状)の造血組織です。赤血球、白血球、血小板が休むことなく、ここで作られているそうです。骨髄は骨髄液で満たされていて、その中に血球のもとになる造血幹細胞があるそうです。
その後、移植手術をどのように進めるかといったテクニカルな話題から、実際に採取するときの痛そうなお話まで伺いました。骨髄移植とは、病気に冒された造血幹細胞を、健康なものに置き換える治療法だそうです。多くは全身麻酔を使って行われます。そして採取した細胞は、たいてい医師が運搬して、時には遠くまで飛行機に乗って持って行くこともあるそうです。とってから24時間以内に、室温のまま運ばないといけないということで、非常に緊張しそうな仕事だなと思いました。
白血球にもHLAという赤血球でいう血液型のようなタイプがあるそうで、これがあわないと、移植はできません。両親から片方ずつ受け継ぐため、親とは完全には合いません。兄弟姉妹とは、4分の1の確率で一致します。
それから、医療において大事なのは、社会的なサポートです。移植医療にはコーディネーターと調整医師の役割が欠かせません。今回取材するにあたって、北大病院のすぐ近くにある骨髄移植財団北海道地区事務局で、田村友子代表に取材する機会をいただきました。コーディネーターはドナー、調整委氏、地区事務局などの連絡調整をする役割です。調整医師は、コーディネート中のドナーの適格性判定や採血、医学的質問への対応および説明を行います。
最後に杉田先生からのメッセージです。
「自分たち医師が骨髄バンクのドナーになってください、と直接的に勧めることはできません。しかし、骨髄バンクやドナーの存在について、こうしたラジオ番組をきっかけとして、一度考える機会をもってほしいと思っています。コーディネーターもついているので、よく分からないまま骨髄を取られる、なんてことは絶対無いので、安心してこの医療について、一度、考えてみてもらえたらうれしいです」
◆セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜
セレンディピティとは、「思わぬものを偶然に発見する能力」「幸運を招き寄せる力」という意味(広辞苑)。今回の担当は、ケロさんこと、5期生の毛呂さんです。
今回は安全ガラスの発明についてです。北海道では欠かせない二重ガラスも安全ガラスの一つ。真冬でも暖かく過ごせます。
こうした寒さや火事を防ぐガラスや、防弾ガラスの元になった、安全ガラスの発明にも、セレンディピティが隠されているんです。1903年のフランスに行って、その時の様子をのぞいてみましょう。
どんなお話になったかは、番組をぜひ聞いてくださいね!
かがく探検隊コーステップ #166(2009.12.11)▶
特集:サイエンスカフェ「草原からの便り 〜モンゴルで見える地球環境の変化〜」
第49回サイエンス・カフェ札幌「草原からの便り〜モンゴルで見える地球環境の変化〜」(2009年12月5日;sapporo55ビル1階インナーガーデン開催)の様子をお届けします。当日は寒い雨ということで心配しましたが、たくさんのお客さんに来ていただくことができました。
今回はモンゴルで16年間に渡り、気象や水文に関する観測を続けてきた、北海道大学地球環境科学研究院 GCOE特任助教の宮真(みやざき・しん)先生がゲストです。
乾燥地帯の水循環が草原の生長量にどのような影響をもたらしているか、といった科学的なお話を中心に、モンゴルの人たちとの触れあいを通して学んだこと、そしてモンゴルと日本を結びつけるためにどのような活動をしようとしているかなど、研究にとどまらず幅広く活動されている宮さんの、興味深いお話を伺いました。
そもそも宮先生が専門とする水文気象学とはどのような研究分野なのか?現地ではどんな機材を持って行って、どのような観測を行っているのか?こうした内容について、スライドだけでなく、豊富な写真や映像も用いて、分かりやすく解説していただきました。そして何より、宮先生の自己紹介にもあるように、声が大きくてはつらつとした様子で語りかける宮崎さんにすっかり乗せられて、元気で明るい雰囲気のサイエンスカフェになりました。
また会場では宮﨑先生が編集長をつとめる「日蒙環境ソニン(モンゴル語で新聞の意味)」の記念すべき第1号が配られました。まずモンゴルと北海道を比較しながら、モンゴルという国について知ってもらおうという、興味深い特集が組まれています。「日蒙環境ソニン」は、北海道環境サポートセンター(札幌市中央区北4条西4丁目 伊藤・加藤ビル4階)ほか、市内各所にて配布しています。第2号は、2010年3月発行予定です。
今回はタイトルを一文字ずつ貼りだしたポスターに仕掛けがありました。後半の質問コーナーでは、少しこれまでとは趣向を変えて、コミュニケーションタイムというコーナーを設けました。会場のお客さんがカードを引いてランダムに項目を選ぶことで、進行にハプニング性を持たせてみたのです。カードは百瀬さん手作りのポストカードで、引いた人にプレゼントしました。こうすることで、参加意識をもってもらい、お客さんと双方向のやりとりができるのではないかという、メンバーのアイデアです。
「草原からの便り」という7文字が、それぞれ質問コーナーや、文化の違いに関するトーク、気候変動のトークといった項目に相当しています。さて、この新しいアイデア、うまくいったのでしょうか?詳しくは、番組で百瀬さんの感想を聞いて下さい。
ポッドキャスト収録の様子
サイエンスカフェ特集として、会場でのお話をもとに、北大内のスタジオでポッドキャストの収録を行いました。CoSTEP第5期 本科でカフェ4班のメンバー、近藤奨(つとむ)さん、川島奈那子さん、百瀬雪絵さん、5班の三原義広さんが参加しました。そして、カフェの本番からわずか3日後、その後に東京・上野で開かれるサイエンスフェスタという大きなイベントを目前に控え、大忙しの宮先生も、この収録のために時間をとってくださいました。
宮崎さんは、ラジオは聴衆の顔が見えないから緊張しないかと思いきや、小さなアナウンスブースの中で4人のトークで番組を作り上げる作業は意外と緊張したとおっしゃっていました。しかし、相変わらず大きく元気な声に、思わずつられてみんなもいつもより笑顔で話せていたように見えました。
怒濤のサイエンスカフェ実習、お疲れ様でした!そして宮先生、本当にありがとうございました!ぜひ、番組をお聴きください。
かがく探検隊コーステップ #167(2010.1.8)
研究室に行ってみよう 日本酒の謎に迫る 西和夫さん(高砂酒造 杜氏)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 飯島澄男(いいじますみお)博士のカーボンナノチューブ発見
研究室に行ってみよう(酒蔵に行ってみよう)
今回の「研究室に行ってみよう」はいつもと少し趣向を変えて、ラジオ番組制作のメンバーがスタジオを飛び出して、旭川市の酒蔵まで遠征してきました。題して「酒蔵に行ってみよう」。正月に放送されるということ、そして担当ディレクターである村松慎也(むらまつ しんや)さんがCoSTEPの「日本酒部」(※自主的な課外活動です)の部長であることから、旭川市内で日本酒を製造している高砂酒造株式会社を訪れたのです。
高砂酒造は、1899年創業。数々の受賞歴を誇り、男女10人の蔵人達が杜氏の指揮のもと、大雪山系から流れ出る清涼な水を生かして、酒造りに励んでいます。同社の杜氏(とうじ;日本酒製造全体の指揮をとる人)である西 和夫(にし かずお)工場長が、日本酒にまつわる様々な科学や、酒造りに関する苦労話をお話くださいました。
またその後は日本酒製造の現場である工場内を案内していただき、お酒の試飲をさせていただきました。その銘柄は、「国士無双」「一夜雫」「風のささやき」など多岐にわたり、いずれも大変な美味でした。
呑兵衛が揃ったラジオ班メンバーは大感激。取材よりも試飲が目当てだったのかと疑われるほどでした。ぜひ皆さんも高砂酒造のお酒を体験してみてください。
■ 杜氏の西 和夫 工場長へのインタビューの概要
・杜氏は日本酒の原料である米の購入から製造、そして出荷までの全工程に対して責任を負う。もちろん工場での実際の作業は蔵人(くらびと)が行うが、その蔵人の管理は杜氏の仕事。
・蔵人として働いてもらう人は、近隣の農家から秋の収穫後に来てもらっており、長い付き合い。
・旭川は水が豊富なので、水道水ではなく、大雪山から流れ出ている伏流水を使用。
・酒造りは以下の手順で行う。
原料米の処理(精米、洗米など)→ 製麹(せいきく;麹、酒母、もろみの製造)→ 上槽(圧搾、ろ過など)→ 貯蔵・出荷(貯蔵熟成、調合、瓶詰めなど)
・それぞれの作業の中には、秒単位で管理しなければならない工程や、朝、昼、晩と常にその状態をチェックしなければならない工程もある。
・ 生酒の貯蔵に当たっては、雪が降る前に美瑛の丘へタンクを持って行き、約3ヵ月半に渡って氷点下3℃で保存・熟成させることもやっている。
・ 日本酒の甘口というのは、発酵を途中で止めてしまったもので、糖分(甘味)が残っているもの。また辛口というのは、最後まで発酵をさせたもので、アルコール分が多いもの。
・ 蔵人がばらばらになると、酒造りがうまくいかない。皆がそれぞれ専門の工程の作業をしているが、前の工程の人が手を抜くと当然味が悪くなる。良い仕事をして次の工程に渡すと、良い酒が出来る。蔵人が働きやすい環境を作ることが杜氏にとっては大変重要。
・地元の食材、料理をおいしくするものが日本酒。
・日本酒造りの魅力は、同じ原料米を使っても、人それぞれに味が違ってくること。だから、「おいしくなった。」と言われることが一番の励み。
旭川市科学館「サイパル」の見学
酒蔵での取材の翌日は、旭川市科学館「サイパル」の見学をしました。サイパルには「北国コーナー」「地球コーナー」「宇宙コーナー」の3つの展示コーナーがあります。
また様々な科学イベントが行なわれており、この日は我がCoSTEP5期生でもある、旭川市在住の片岡昭彦さん(高校教師をされています)による子供たち向けの低温実験教室が開催されていたので、我々も見学させていただきました。
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜
セレンディピティとは、「思わぬものを偶然に発見する能力」「幸運を招き寄せる力」という意味(広辞苑)。今回の担当は、ヨッシーさんこと、5期生の三原さんです。
今回のテーマは、炭素で出来た夢の新素材「カーボンナノチューブ」です。
カーボンナノチューブは1991年にNECの飯島澄男博士によって発見された炭素素材。この新素材は、引張り強さは世界最強、銅より電気をよく通し、ダイヤモンドより熱をよく伝え、高熱にも耐え、アルミニウムより軽い、という夢のような物質です。どんなお話になったかは、是非番組を聞いて下さい。
収録時のこぼれ話
今回は、マイクの傍らに高砂酒造の「風のささやき」を置いて、試飲しながらトークという非常に珍しい(不謹慎な?)収録となりました。番組を聴いてもらえば分かるのですが、やたらとテンションが高かったのは、この辺りに秘密があったのかもしれません。
我々ラジオ班が今回の番組を収録中のスタジオに、CoSTEP5期生で選科生(B演習)の田村亮介さんが取材に来て下さいました。ラジオ実習のことを記事にするそうです。取材することにようやく慣れてきた我々ですが、取材されるのは初めて。さてどのような記事が出来上がるのでしょうか、楽しみです。
収録が終わった後は、本格的にかぐわしい香りと味を皆で楽しみ、忘年会となりました。旭川遠征の夜に負けず劣らず、夜更けまでディープな話が続きました…。
放送の最後では、いつもとちょっと違ったエンディングをつけてみました。この飲み会への伏線にもなっています。ぜひ、最後まで聞いてみて下さいね。
かがく探検隊コーステップ #168(2010.2.12)
研究室に行ってみよう えっ?うちのワンちゃんに寄生虫が? 奥祐三郎准教授(北海道大学大学院 獣医学研究科 寄生虫学教室)
セレンディピティ〜 科学を変えた瞬間〜 アーサー・フライ「のり付きのメモ、付箋」
コーステップインフォメーション CoSTEP Way——5年間の活動を振り返る”2009年度CoSTEP修了式を2月27日に開催
研究室に行ってみよう 〜えっ?うちのワンちゃんに寄生虫が?〜
今回は、北海道大学大学院・獣医学研究科寄生虫学教室の奥 祐三郎(おく ゆうざぶろう)先生の研究室を訪ねました。
担当ディレクターは5期生のマッチこと、近藤 奨(こんどう つとむ)さんです。
今回は、奥先生が研究に取り組んでおられる、北海道内でキツネや野ネズミの体内に寄生している「エキノコックス」についてお話を伺いました。人間の体内に入ると、深刻な場合は死に至る肝機能障害を引き起こします。
ある程度年配の方や、北海道の山に登ることがある方はご存知のことかと思いますが、1960年代に道東でエキノコックスに感染した患者さんが何人か見つかりました。
エキノコックスはキタキツネから人間に感染すると言われ、キタキツネが多く生息する道東では「道東の風土病」などと言われたこともありましたが、その後全道に広まり、今では毎年20人くらいの患者さんが見つかっているそうです。
これまで有効な駆除方法がなく、感染が恐れられていましたが、奥先生たちのグループは、道東の小清水町で駆虫剤を混ぜた餌を使って、キタキツネからのエキノコックスの駆虫を行い、大きな成果を挙げたそうです。
また最近では羊蹄山の山麓の5つの町が一緒になって、駆虫剤入りの餌の散布も行なっているそうです。
エキノコックスという寄生虫は、野ネズミの体内で数十万倍に増えます。そしてこの野ネズミを食べたキツネの体内でエキノコックスは卵を生みます。この卵が キツネの糞に混じって外に出てきます。この卵が人間の服などに付着し、そこを手で触ると、その卵が手につきます。その手を洗わないままで、口に触れるとエキノコックスに感染するそうです。
このように人間への感染はエキノコックスの卵によるもので、しかも経口感染しかしないそうです。もちろん人から人への感染もありません。皆さん、外から帰ったら、必ず手洗いをお忘れなく!
ところで、ここで怖いお話を一つ。それは、最近飼い犬がエキノコックスに感染するケースがあるそうです。その訳は、・・・。
飼い犬を散歩させるときに、首輪のリードを長くしたり、犬を放したりすると、飼い主が知らない間に野ネズミを食べてしまうことがあるのだそうです。そしてその野ネズミの体内にエキノコックスが寄生していたら、・・・。
キツネは1日に何十匹と大量にネズミ(エゾヤチネズミなど)を食べますが、犬は1日にそんなに大量にネズミを食べることはないので、犬から感染する頻度は非常に低いといえます。しかし、おかしいと思ったら、すぐ獣医さんに診てもらって下さい。すぐに駆虫して下さる筈です。
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜
今回は、今やオフィスの必需品となった「ポストイット」の発明にまつわるセレンディピティです。ごゆっくりお楽しみ下さい。担当は、カッキーこと、柿本恵美さんです。
なお、今回の話は、あくまでも事実をもとにしたコミカルなフィクションですので、その点をご了解願います。関係者の皆様、ゴメンナサイ。
追記:コント中で「アメイジンググレイス」の歌が流れてきますが、この歌は、ラジオ班のメンバーが一生懸命歌いました。お聞き苦しい点があるかと思いますが、この点も平にご容赦をお願い致します。
かがく探検隊コーステップ #169(2010.2.17)▶
特集:サイエンスカフェ「地球の鼓動を感じよう 〜ジオパーク・アポイ岳の魅力に迫る〜」
ゲスト:新井田清信(にいだ きよあき)さん(北海道大学大学院 理学研究院 地球惑星システム科学・准教授)
第50回サイエンス・カフェ札幌「地球の鼓動を感じよう〜ジオパーク・アポイ岳の魅力に迫る〜」(2010年1月30日;sapporo55ビル1階インナーガーデン開催)の様子をお届けします。
今回は、北海道様似町にある、アポイ岳ジオパークについてお話いただきました。「ジオ」とは地球や大地のこと。ジオパークは、ダイナミックな地球の歴史に触れることが出来て、しかも学術的に貴重な場所です。ぜひ番組をお聞き下さい。
先生が持っているのは、アポイ岳ジオパークのキャラクター「カンランくん」がついた指し棒です(写真2枚目)。かんらん岩はアポイ岳をつくっている岩石で、この日の話題の中心でした。アポイ岳は北海道日高山脈の南端にある、標高810mの山です。こちらの指し棒には、花の形をした「アポイちゃん」がついています(写真ではよく分からなくてすいません)。背面のガラスにも、アポイ岳に咲く花の写真が 並んでいます。アポイ岳は低い山ですが、かんらん岩を中心とした土壌は、高山と同じくらい養分が少ないため、固有の高山植物が育つそうです。サイエンス・カフェの受付の横には、様似町からお借りしたアポイ岳ジオパークの旗が立っています。番組でも話題になりました。
カフェの内容が理解しやすいように、かんらん岩の写真でデザインした資料も配りました(写真4枚目)。緑色の部分は、かんらん岩の実物写真を取り込んでデザインしています。
左上:プレートが沈み込み、地下に多様な岩石ができました
右上:北米プレートがのりあげて、日高山脈をつくりました
中央:地球内部で重なっている地層が、日高山脈で縦縞にあらわれています
左下:かんらん岩は地球の内部、上部マントルという部分にあります
右下:3つのプレートを上からみたところで す
今回は、新井田先生からお借りした岩石標本を展示しました(写真5枚目)。持ってみると、どの岩もずっしり重く、地球内部にあったということが実感できます。特にかんら ん岩はひときわ重いので、それを地下から持ち上げた地球内部の変動のすごさを、観客の皆さんに体験していただけたのではないかと思います。
地球を構成するいくつかのプレートのうち、北海道の裏側辺りで広がった2つのプレートが、日高山脈で衝突しているそうです。まさに「地球の鼓動を感じよう」というタイトルの通り、地球規模の変動が日高山脈を作ってきたことが分かりました。普段の生活では想像もしないような、壮大な地球の歴史とパワーを感 じることができました。
奥のホワイトボードには、お寄せいただいた質問を掲示しました。当日は時間がなくなってしまったので、続きは番組をお聞きください。「かんらん岩の野外での見分け方は?」「かんらん岩の緑色の成分は?」など、新井田先生から興味深いお話をうかがいました。
ポッドキャスト収録の様子
というわけで、今回もサイエンス・カフェ特集として、会場でのお話をもとに、北大内のスタジオでポッドキャストの収録を行いました。CoSTEP第5期本 科・カフェ5班のメンバー、武田増満さん、三原義広さん、毛呂達さん、小山牧子さん、そして私、木本舞が参加しました。お忙しいなか新井田先生も、この収 録に参加してくださいました。
みなさんお疲れさまでした!
新井田先生、ご協力くださった皆さま、どうもありがとうございました。
世界的にも珍しいかんらん岩と、そこに咲く高山植物。皆さんもアポイ岳ジオパークにぜひ行ってみてください!
かがく探検隊コーステップ #170(20010.3.10)
コミュニティFM(三角山放送局)による放送が最終回を迎えました
今回2010年3月12日放送の「かがく探検隊コーステップ」をもって、コミュニティFM、三角山放送局からの番組は最終回となりました。
2005年10月から続いてきたこの放送が終わるのは非常に寂しいですが、北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニットが2010年4月から新しい組織体制に変わるため、いったんこれまでの活動をリセットすることになりました。
これまで札幌市内で三角山からのFM放送を聞いていただいた皆さん、受講生による拙い放送を暖かく見守ってくださり、本当にありがとうございました。
しかし、ポッドキャストの配信やインターネットによる公開はこれからも継続していきますので、札幌市内の皆さんはこれからもインターネット環境で「かがく探検隊コーステップ」をお楽しみいただけるとうれしいです。
隈本邦彦客員教授とCoSTEP3期生にインタビュー
そこで、今回は最終回を記念して特別番組としました。北海道大学CoSTEPの教育プログラムにおいて、ラジオ番組制作を取り入れ実践されてきた隈本邦彦客員教授を、久しぶりに北大のスタジオにお呼びしました。
隈本先生はどのような思いで、この番組を始めたのでしょうか。NHKから転身した隈本先生以外は、全員が素人という状況で、数多くの苦労があったと思います。しかし一方で、逆にゼロから作り上げていく楽しさもあったのではないでしょうか。その辺りをインタビューしました。
隈本先生のトークは本当に上手で、5期生一同、感激していました。常に一歩先を読んで、絶妙な間をとって話してくださり、内容も非常に分かりやすい、まさにスタジオトークとはかくあるべし、という見本を今更ながら目の当たりにしました。
今回は隈本先生から直接指導を受けたCoSTEP3期生にもスタジオに来ていただきました。「研究室に行ってみよう」や「今週の原始くん」など、当時のコーナーを振り返り、思い出話に花が出来ました。参加してくださったのは、北田薫さん、相沢佐矢子さん、藤井哲之進さんです。お忙しいところ、土曜の朝から来てもらってとてもうれしかったです。皆さん、どうもありがとうございました!
最後のFM放送の収録
最後の放送の担当ディレクターは、ケロこと毛呂達(さとし)さんです。司会はケロさんとカッキーこと、柿本恵美さんがつとめました。またマッチこと、近藤奨(つとむ)さんと、よっしーこと、三原義広さんも入って全員で今期のラジオ班の活動を振り返りました。またメンバー全員で合唱した秘蔵(?)の「アメイジンググレイス」も放送させていただきました(失礼)。
本番に参加できない5期生のムラリンこと村松慎也さんと、ナナピーこと川島奈那子さんには、事前に感想をもらいました。そして最後はついに5期生の実習担当教員の早岡(わたし)も登場です。
いつも偉そうに収録ブースの外から指導していたはずが、ブースの中で小さくなっておどおど話してしまい、見事にエンディングでそのことを突っ込まれました。収録と編集担当の滝沢麻理さんに編集でカットするよう指示しましたが、あっさり断られ、そのまま放送の運びとなりました。皆さん、最後のFM放送お疲れ様でした!
#171~
かがく探検隊コーステップ #171(2010.3.29)
かがく探検隊コーステップ #172(2010.7.11)▶
特集:サイエンスカフェ札幌「コミュニケーションする脳!? 〜脳をカオスで語る〜」(準備編)
2010年7月24日(土)16時半から18時まで、札幌駅前、紀伊国屋書店が入っているsapporo55ビル1階で開催するサイエンスカフェ「コミュニケーションする脳!?〜脳をカオスで語る〜」。今回はその告知のためのポッドキャストをお届けします。
この放送のために、サイエンスカフェゲストの北海道大学電子科学研究所の津田一郎教授に、研究内容や今回のカフェの聴き所、そしてカフェへの意気込みについてお話しを伺いました。
津田先生は、典型的なカオスの動きの例として、二重振り子の動画を見せてくださいました。これは振り子の先にもう一つ、振り子をつけたもので、非常に複雑かつ予測がつかない動きをします。しかし決してでたらめ、つまりランダムに動いているわけではなく、その運動はちゃんと力学で証明され微分方程式などの数式で表現できるそうです。この二重振り子は、インターネットで検索すると、youtubeなどで30万回以上再生されている動画が出てきます。
6期生初めてのポッドキャスト収録
今回、初めてのポッドキャスト収録に挑んだ、6期音声・映像実習班の面々。オープニングコントでは、山口章江さん、太平佳奈さん、中塚彩人さん、石井伸彦さんが合コンの男女を演じました。いつの間にかカオスの話題で盛り上がり、取り残された男が混乱する、という不思議なお話です。このオープニングは中塚さん、須山さんを中心に、全員で意見を出し合って作りました。
オープニングはリハーサルも一切無しの一発収録です。大成功の余勢をかって、本編の方も何とか時間内に収録を終えました。司会の2人は緊張で、しゃべりもカミまくりでしたが、初回にしてはなかなかの出来映えと満足の様子。これで、7月24日のサイエンスカフェも、千客万来となればよいのですが…。
第52回サイエンス・カフェ札幌「コミュニケーションする脳!?〜脳をカオスで語る〜」 、現在、全力で準備に取り組んでいますので、ぜひ会場にお越し下さい。では、7月24日土曜日16時半、紀伊国屋書店の前でお会いしましょう!
かがく探検隊コーステップ #173(2010.8.16)▶
特集:サイエンスカフェ札幌「コミュニケーションする脳!? 〜脳をカオスで語る〜」
ゲスト:津田一郎教授(北海道大学電子科学研究所)
今回のポッドキャスト、サイエンスカフェ特集では、第52回サイエンス・カフェ札幌「コミュニケーションする脳!?〜脳をカオスで語る〜」(2010年7月24日、sapporo55ビル1階インナーガーデン開催)の模様をお届けします。
詳細はこちらのレポートをどうぞ。
収録に参加したのは、6期生の阿部光紗(ありさ)さん、数田尚子(かずたひさこ)さん、須山哲(さとし)さん、中塚彩人(さいと)さん、藤井暢之(のぶゆき)さん。カフェ実習1班のメンバーです。
今回、主に台本を担当したのは中塚さん。前回に引き続き、シュールなオープニングコントを書いたのが、須山さんです。
カオス理論で脳科学に迫るという、非常に難しいテーマでしたが、津田先生の優しい笑顔に助けられて、何とか最後までたどり着くことが出来ました。津田先生、本当にありがとうございました!
かがく探検隊コーステップ #174(2010.9.30)
研究室に行ってみよう 伊藤公人准教授(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター)
CoSTEPインフォメーション インフルエンザなどの人獣共通感染症を克服する〜統合科学実験展示〜
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 アレキサンダー・フレミング「ペニシリンの発見」
研究室に行ってみよう 〜人獣共通感染症センター〜
今回は、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター国際疫学部門の伊藤公人(いとうきみひと)さんの研究室を訪ね、人獣共通感染症について、お話をお聞きしました。取材したのは、CoSTEP6期生の太平佳菜さんです。
人獣共通感染症とは、インフルエンザのように人と動物のあいだで両方に感染する病気のことです。鳥だけでなく、馬、クジラ、アザラシなど、様々な動物から見つかるそうです。
伊藤先生の専門は獣医学ではなく、工学(情報科学)です。どうしてインフルエンザの研究に、情報科学が重要なのでしょうか?
伊藤先生は、インフルエンザウィルスの遺伝子の変異をコンピュータで予測する研究をしています。
実は、人獣共通感染症リサーチセンターには、工学、獣医学、情報科学、分子生物学など各分野の第一線の研究者が集っているのです。
人獣共通感染症リサーチセンターは、世界でも珍しい、分野横断型の学際的な研究施設。感染症克服という共通のゴールに向かって、日夜 、濃いディスカッションが行われています。
北大総合博物館で「人獣共通感染症」がわかる
10月26日(火)から北大総合博物館1階にて、『インフルエンザなどの人獣共通感染症を克服する〜統合科学実験展示』が開催されます。
ここでは、インフルエンザやエボラ出血熱といった人獣共通感染症の研究に使われる最先端設備を北海道大学博物館内に展示します。パネル、ビデオ、模型、顕微鏡観察や実験体験を通じ、研究内容を学びます。
人獣共通感染症の発生や流行を食い止めるには、医学、獣医学、薬学、工学、理学といった分野が合わさって、新しい見方で研究と教育を行うことが重要です。この新しい科学のあり方を「統合科学」と位置づけ、その本質に迫ります。
また現場では、感染を予防する正しい知識を身につけてもらうための楽しいゲームも用意しています。アンケートに答えてくれた方には、他では絶対に入手できない、超レア?なウイルスストラップがもらえます。インフルエンザとエボラ出血熱の2タイプがあります。
開催期間
2010年10月26日(火)〜31日(日) 9:30〜16:30
2010年11月2日(火)〜3日(水・祝) 10:00〜16:00
この展示は10月25日(月)から始まる『北海道大学サステナビリティー・ウィーク2010』の一環で行われています。サステナビリティー・ウィークは、いつも秋に札幌キャンパスを会場として、シンポジウムや講演会、ワークショップなどを集中的にやるイベントです。プレ開催もあわせると、サステナビリティー・ウィーク全体で30をこえるイベントが企画されています。こちらもお楽しみに!
セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜
今回のテーマは、人類初の抗生物質、ペニシリンの発見にまつわるセレンディピティ。6期生として初めて取り組みました。脚本担当は、山口章江さんです。
アレクサンダー・フレミングは青カビから抗菌物質を見つけ出し、アオカビの学名にちなんで、“ペニシリン”と名付けました。
この世界初の抗生物質、ペニシリンの発見は感染症から人類を救い、フレミングはその功績によって、1945年にノーベル生理学・医学賞を共同で受賞したのです。
なお、例によって、今回の話はあくまでも事実をもとにしたコミカルなフィクションです。関係者の皆様?ゴメンナサイ!
かがく探検隊コーステップ #175(2010.10.23)
研究室にいってみよう 金星の気象メカニズムを解き明かせ!! ― 金星探査機「あかつき」の挑戦(前編) 渡部重十教授(北海道大学大学院理学研究院)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 ヴィルヘルム・レントゲン「X線の発見」
研究室に行ってみよう 〜金星探査機「あかつき」前編〜
今回は、北海道大学大学院理学研究院 宇宙惑星科学分野の渡部重十(わたなべ しげと)さんと、福原哲哉(ふくはら てつや)さんの研究室を訪ね、金星探査機「あかつき」についてお話をうかがいました。取材したのは、CoSTEP6期生の石井 伸彦さんです。
渡部先生は、金星には解明されていない様々な謎があることを、詳しく説明してくださいました。金星全体を覆う厚い雲の成り立ちや、スーパーローテーションと呼ばれる金星の気象現象については、まだよくわかっていません。その謎を解くために、あかつきには5台のカメラが搭載されています。そのうちの3台は、渡部先生をはじめとした北海道大学の先生が開発に関わったものです。
その中の1台、LIRという中間赤外カメラについて、福原先生からお話をうかがいました。過酷な宇宙の環境に耐えるカメラを制作するための工夫についての話や、気の遠くなるような苦労話に、聞き手の石井くんも思わず引き込まれます。あかつきのカメラを操作していると、あたかも自分が金星に旅している錯覚を感じる、とのお話が印象的でした。
なお、金星探査機「あかつき」については、もう1台のカメラの開発に携わった高橋幸弘(たかはし ゆきひろ)先生へのインタビューを加えた後編の放送を準備しています。日本の宇宙研究の未来について、さらに詳しくお伝えしますので、ご期待ください。
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜
今回のテーマは、医療など多くの分野で欠かすことのできない、X線の発見にまつわるセレンディピティです。脚本担当は、須山さんです。
ヴィルヘルム/レントゲンは陰極線を研究している過程で、モノをすり抜ける光線の存在を発見し、未知の物質としてX線と名付けました。この功績により、レントゲンは第一回目のノーベル物理学賞を受賞しました。特許などの権利を一切放棄したことで、X線は多くの科学分野において応用されていきます。
なお、例によって、今回のお話も、あくまでも事実をもとにしたフィクションですので、あしからず。
かがく探検隊コーステップ #176(2010.10.24)▶
研究室に行ってみよう 鈴木章 名誉教授、宮浦憲夫 特任教授(北海道大学)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜(特別編) 鈴木章「有機ホウ素化合物を反応させたものは?」
CoSTEPインフォメーション CoSTEP制作の鈴木先生のインタビュー映像が札幌と東京で上映
2010年ノーベル化学賞・鈴木章先生に聞く
今回は、ノーベル化学賞を受賞した鈴木章北海道大学名誉教授へのインタビューを中心とした特別番組です。CoSTEPで行った鈴木章先生へのインタビュー(詳細はこちら)。その場に、音声・映像実習班の受講生、中塚彩人(なかつかさいと)さん、石井伸彦(いしいのぶひこ)さん、太平佳菜(おおひらかな)さんの3人が同席しました。
メインのインタビュワーはCoSTEP代表で理学研究院の杉山滋郎(しげお)教授です。また、鈴木−宮浦クロスカップリングの共同研究者である、宮浦憲夫(みやうらのりお)特任教授にも同席していただきました。
この時インタビューした内容や、独自に調べた鈴木先生のセレンディピティなどをまとめて、ポッドキャスト番組を制作。司会は上記の3人がつとめました。
今回、図々しいことに、番組のオープニングコールを鈴木先生にお願いしました。冒頭で20秒ほど、鈴木先生からの言葉が流れて番組がスタート。これまでにない豪華なオープニングに感激です。
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜(特別編)
今回は特別編ということで、いつものようにコント仕立てではなく、中塚さんが、調べてきた内容についてスタジオで報告する形をとりました。
人類全体に貢献した鈴木先生の研究成果の中でも、有機ホウ素化合物の反応性を高めるための方法に、セレンディピティが隠されていたことが分かっています。
かがく探検隊コーステップ #177(2010.11.8)
研究室に行ってみよう 惑星気象学と日本の宇宙開発の未来 ―金星探査機「あかつき」の挑戦(後編) 渡部重十教授、高橋幸弘教授(北海道大学大学院理学研究院)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 中谷宇吉郎「人工雪の製作」
研究室に行ってみよう 〜金星探査機「あかつき」後編〜
今回は、北海道大学大学院理学研究院 宇宙惑星科学分野の高橋幸弘(たかはし ゆきひろ)さんと渡部重十(わたなべ しげと)さんの研究室を訪ね、前編に引き続き、金星探査機「あかつき」についてさらに詳しいお話をうかがいました。取材したのは、CoSTEP6期生の石井 伸彦さんです。
高橋幸弘先生が開発に携わったカメラは、金星の「カミナリ」を観測する目的を持ったカメラです。金星に「カミナリ」があるかどうかは、30年来議論が決着しない大問題であると教えていただきました。金星のカミナリの状態を解明することは、金星の気象を解明する上でとても重要なことだそうです。高橋先生に、金星のカミナリと金星の気象研究の深い関係について、説明していただきました。
金星探査機「あかつき」は、金星の気象を解明するミッションを持っていますが、その先には、もっと大きな到達点が控えているそうです。「あかつき」によって拓かれる「惑星気象学」という新しい学問の展望について、渡部重十先生が説明してくださいました。「惑星気象学」の発端となった面白いエピソードも盛り込まれていますので、ぜひお聞きください。
セレンディピティ ~科学を変えた瞬間~
今回のテーマは、世界で初めて人工雪を作ることに成功した中谷宇吉郎にまつわるセレンディピティです。現在の北大・低温科学研究所は、中谷宇吉郎の成功をきっかけに設立されました。北大キャンパス内には、「人工雪誕生の地記念碑」もあります。
なお、例によって、今回のお話も、あくまでも事実をもとにしたフィクションですので、あしからず。
かがく探検隊コーステップ #178(2011.1.25)▶
研究室に行ってみよう 山本靖典 助教、鈴木章 名誉教授(北海道大学)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 レーウェンフック「世界初、顕微鏡による微生物の発見」
CoSTEPインフォメーション CoSTEP制作の「鈴木章〜ノーベル化学賞への道」が全国の書店で発売
2010年ノーベル化学賞受賞「鈴木・宮浦クロスカップリング」を実演
今回も、北海道大学・鈴木章先生のノーベル化学賞受賞を記念した特別番組です。ノーベル化学賞を受賞するきっかけとなった研究成果、鈴木ー宮浦クロスカップリングの実験の様子と、10月にインタビューした鈴木章先生からのメッセージをあわせてお届けします。
司会は、いつものCoSTEP6期生、太平佳菜(おおひら かな)さん、石井伸彦(いしいのぶひこ)くん、山口章江(やまぐち あきえ)さんです。
実験は、鈴木先生の「最後の弟子」でもある、工学研究院有機元素科学研究室の山本靖典(やまもと やすのり)先生に、実演していただきました。
実験を取材したのは、CoSTEP音声・映像実習班の中塚彩人(なかつか さいと)さんと、太平佳菜さんです。ノーベル化学賞を受賞したきっかけとなった実験ということで、かなり大がかりで難しいのではと構えていましたが、実際に山本先生にやっていただくと、驚くほどシンプルで簡単。まるで料理教室のように、合成反応が起きました。
何と何をくっつける(カップリング)実験かというと、有機ホウ素化合物(有機ボロン酸)と、ハロゲン化物(パラブロモ安息香酸)です。有機ホウ素化合物は、空気中や水中でも非常に安定していて、使いやすい試薬です。これまでのクロスカップリング法、例えば、マグネシウム化合物を使う方法では、水に触れたら、その化合物がすぐに分解しまうという欠点がありました。この、空気中や水中でも安定している有機ホウ素化合物を使う点が、鈴木章先生の研究のポイントであり、恩師であるパデュー大学のブラウン博士(1979年ノーベル化学賞受賞)に学んだ手法でもあります。
そして、もう一つのポイントが、ホウ素化合物の反応を進めるために、アルカリ(今回の実験では炭酸カリウム)を加えた点です。山本先生によると、当時、実験を担当した宮浦憲夫(みやうら のりお)先生たちは、3年以上の試行錯誤を続けて開発した方法だそうです。成功したときには、生成物だけが100%きれいにできるシンプルな反応だったため、宮浦先生は非常に感動したと後に語っています。
そして、この反応の鍵を握るのが、触媒のパラジウム。このパラジウムを、クロスカップリングを行う有機ホウ素化合物とハロゲン化物を溶かした、透明のアルカリ水溶液に加えます。触媒パラジウムを加えた後数分してから、反応はあっという間に始まります。わずか1〜2秒。できた生成物は白く、固い固形物でした。これが、反応によってできた「ビアリル化合物」です。水に溶けないため、析出、つまり固体になって分離してきます。この実験の様子はまた映像としてもCoSTEPのサイトから発信する予定です。
この固体は、炭素と炭素が結合してできた、新しい有機化合物です。有害な副生成物も殆どありません。このようにして、簡単に新しい物質を生み出すことができるのが、鈴木章先生のクロスカップリング反応です。こうして出来た有機化合物は、医薬、農薬、液晶パネルといった様々なものに応用されます。この実験は、分かりやすくかつ安全なため、中高生が有機合成化学に興味を持ってもらうための実験入門としても、非常に優れていると思いました。
鈴木章先生から若い人へのメッセージ
そして鈴木先生から頂いた、若い世代への貴重なメッセージをお届けします。「日本のように資源の無い国では、理科系は非常に大事で、とても面白い世界だということを知ってほしい。そして、望みや希望は、人から与えられるものではなく、自分でつかみとるものだ」。心に響く言葉でした。
鈴木先生がこれまで努力して築き上げてきた研究は、人類の未来を大きく広げてくれました。私たちも同じ北大で学んでいることに誇りを感じ、これからも頑張っていきたいと思います。
セレンディピティ ~科学を変えた瞬間~
今回のテーマは1674年、世界で初めて微生物を観察したレーウェンフックについてです。それまで目に見えるものだけしか存在しないと考えられてきた中世ヨーロッパで、彼の発見は、目に見えない生物の世界の存在を示す重要なものでした。
脚本担当は、太平佳菜さん。主演はいつもの中塚彩人くん。重要な脇役として、今回もいぶし銀の演技が光った石井伸彦くん。ちょっと暴走気味のレーウェンフックと警官のドタバタ劇は、もちろんフィクション。とはいえ、若干やり過ぎました。。関係者の皆さん(?)今回もすみません!
今回、スウェーデンのノーベル賞授賞式に参加した山本靖典先生から、CoSTEPにノーベル賞のメダルをお土産に頂きました。
とはいっても、メダルの中身はチョコレート。ノーベル賞授賞式に参加した人の、定番お土産ということで、収録が終わった後に、さっそくいただきました。お味は?う〜ん、少しビターテイストではありましたが、普通のチョコレートでした。山本先生、ごちそうさまでした!
かがく探検隊コーステップ #179(2011.2.20)▶
研究室に行ってみよう 西村佳哲さん(リビングワールド)
セレンディピティ 〜科学を変えた瞬間〜 アルノ・ペンジアス、ロバート・ウィルソン「ビッグバンの痕跡を発見!」
CoSTEPインフォメーション 第56回サイエンスカフェ札幌「“知性”が生まれるとき 〜粘菌の不思議に学ぶ〜」
研究室に行ってみよう 〜リビングワールド 西村佳哲さん〜
今回は、いつもと少し趣向を変え、北海道大学の研究者ではなく、東京でリビングワールドというデザイン事務所を主宰する西村佳哲(よしあき)さんを取材しました。インタビュワーはCoSTEP6期生の須山哲(さとし)さん。司会は須山さんと山口章江さんがつとめました。
東京世田谷区下高井戸にある、西村さんお気に入りのカフェで、お話を聞きました。店内で収録したため雑音が多く、聞きにくいところがあることをお詫びします。まずは、リビングワールドの活動やセンスウェアとは何か?そんなお話を伺いました。
リビングワールドは、コミュニケーション・デザインとモノづくりを手がける会社で、博物館や美術館の展示物・展覧会、公共空間のメディアづくり、書籍などのグラフィック、ウェブサイト、教育系のワークショップ、そして建築空間などのプランニングとデザインを手がけています。
西村さんは、人の感性を拡張させるような、一連の道具やオブジェクトを制作しています。テーマは「センスウェア(senseware)」(世界を感じる道具の総称)。このセンスウェアという言葉は「生きている世界を感じる道具」の総称として、約十年前、センソリウムというプロジェクトで考えた、造語なんだそうです。
具体的には、風鈴などもセンスウェアの典型例です。風鈴は風が吹いていることを音にして表現するので、人は肌触りでもなく、視覚情報でもなく、音として風を捉えます。その時、屋風が吹いているであろう外の世界のことに対して想像力を働かせるのです。
西村さんは数々のセンスウェアを制作されていて、その素晴らしい作品の数々はこちらで見ることができます。太陽の光の砂時計や、ピンホールカード、ガラスの中に浮かぶ天の川銀河など…。時間や空間を超えて、サイエンスを感じることができる西村さんの作品をぜひ体験してみてください。
今回のポッドキャストでは、そんなセンスウェアのエッセンスを表現するために、風鈴や鹿威しの音など、様々な音源を使ってみました。ぜひ、番組をお聞きください。
(注)番組の中では、「NHKクリエイティブ・ライブラリー」の創作用素材「環境音・ししおどし」を利用させていただいています。
NHKクリエイティブ・ライブラリーとは、NHKアーカイブスの番組素材からとっておきの映像・音声素材を提供し、視聴者が表現・創作活動に利用できる無料のサービスです。素晴らしい音声・映像素材がたくさんありますので、皆さんも是非ご活用ください。
http://www.nhk.or.jp/creative/about.html
セレンディピティ ~科学を変えた瞬間~
今回のテーマは、宇宙の起源に迫るお話です。1965年、宇宙全体が発する極めて短い波長の電波をとらえた、2人の電波天文学者、アルノ・ペンジアスとロバート・ウィルソン。
この電波の発見で、宇宙の始まりを説明するための理論、ビッグバン宇宙論は、広く受け入れられるようになり、2人は1978年にノーベル物理学賞を受賞しました。
脚本担当は、宇宙や生物学など、理科なら何でも大好きな中塚彩人さんです。今回もやはり、そうとう脚色が入っています。関係者の皆様、スイマセン…。
今回の収録には、CoSTEP5期生で、2009年にセレンディピティのコーナーを立ち上げた村松慎也さんも見学に来てくれました。昨年は鈴木章先生のノーベル化学賞受賞もあって、「セレンディピティ」というキーワードが脚光を浴びました。これもひとえに村松さんの先見の明でしょうか?
かがく探検隊コーステップ #180(2011.7.9)
研究室に行ってみよう 分子の動きが見えるかも!?発光性メカノクロミズム 伊藤肇 教授(北海道大学工学研究院 有機元素化学研究室)
コーステップインフォメーション
8月6日(土)第58回サイエンスカフェ・札幌「ただの水からエネルギー?」ゲスト:阿部竜 准教授(触媒化学研究センター)
10月1日(土)第59回サイエンスカフェ・札幌 ゲスト:伊藤肇 教授(工学研究院 有機元素化学研究室)
今回は、北海道大学工学研究院 有機元素化学研究室、伊藤 肇(いとうはじめ)先生の研究室を訪ね、北大における最先端の研究の1つ、「発光性メカノクロミズム」について伺ってきました。取材したのは、CoSTEP7期生の藤田あさこさんです。
伊藤先生の研究室は、昨年ノーベル化学賞を受賞された、鈴木章先生の後継にあたる研究室で、金を使った化合物「金錯体」について研究されています。
緊張いっぱいの藤田さん、第一声「発光性メカノクロミックって何ですか?」と少し間違えてしまいました。
先生はやさしく訂正してくれました。「発光性メカノクロミズム」というのは・・・
「こする」という弱い刺激を与え、紫外線を当てると、そのこすった部分だけが鮮やかに光る、という現象です。これは、特殊な化合物「金錯体」の分子構造が、「こする」刺激を与えることで、不安定な並びとなり、その変化が紫外線を当てると光る、というものです。
「将来的にどんなものにつかえますか?」という問いには「秘密の手紙なんかに使えるかもしれないね、紫外線照射器を別便で送れば。」と笑顔で答えてくださいました。
お忙しい中、伊藤先生ありがとうございました。
#181~
かがく探検隊コーステップ #181(2011.7.30)
突撃!となりの留学生 Augustin Orou Matiloさん(北海道大学環境科学院 植物生態学研究室 博士課程2年)
研究室に行ってみよう 放射線 測り続けて 10年目 in Hokudai 藤吉亮子 先生(北海道大学大学院工学研究院 量子理工学部門 量子放射線科学研究室 准教授)
たんいの教室 ベクレル
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院工学研究院 量子理工学部門 量子放射線科学研究室 准教授 藤吉亮子先生にお話を伺いました。インタビュアーは、CoSTEP7期生、田中加奈子さんです。
そもそも放射線とは?という素朴な疑問から丁寧に答えていただきました。前半では、土の中で測定した放射性物質のお話、後半は、北大の建物の屋上で測定している放射線のお話を伺いました。
突撃!となりの留学生
ユーモアもあり、とても真面目なオロウさん。ベナンに帰国後は、環境保全に力を注ぎたい、と真剣な表情で語ってくれました。今後の活躍を応援します。ありがとうございました。カッソンブルー。
かがく探検隊コーステップ #182(2011.8.27)
突撃!となりの留学生 Atfritedy Liminさん(北海道大学農学院 環境資源学専攻 地域環境学講座 土壌学分野 修士1年)
研究室に行ってみよう あっちこっち北大 in 静内スペシャル 秦 寛 先生(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 静内研究牧場長)
研究室に行ってみよう 静内スペシャル
北海道内にあるさまざまな北大関連施設。今回は、札幌から車で約2時間半、競走馬の産地としても有名な日高地方にある、新ひだか町静内の静内研究牧場で、牧場長の秦 寛(はた ひろし)先生にお話を伺いました。
インタビュアーは、CoSTEP7期生, 岸本紘乃さんです。取材に同行したのは、同じくCoSTEP7期生の田中加奈子さん、藤田あさこさん、功刀基さん、教員の滝沢です。
取材の前に、メンバーは鞍をつけていない道産子に乗せてもらいました。お尻や太ももに馬の温かみと、馬が進むたびにその動きが直接伝わりました。
そしていよいよ牧場案内。ベンツのトラックです。枯れ草が敷かれた荷台に乗りました。
蹄耕法(ていこうほう)の牛の放牧場。これは短角種(たんかくしゅ)と呼ばれる種類の牛です。
次に細い道を上り、森の途中で林間放牧について説明していただきました。
急な崖を登り、馬(道産子)の放牧場へ。一斉に馬の注目を集めました。
その後は、建物内に入り、秦先生の研究に対する思い、静内研究牧場の役割、今後期待することを伺いました。最後まで丁寧にお答えいただきありがとうございました。
突撃!となりの留学生
北海道大学農学院 環境資源学専攻 地域環境学講座 土壌学分野 修士1年 Atfritedy Limin さん(インドネシア出身)にお話を伺いました。ニックネームはテディさんです。
今回制作にあたったラジオ班メンバー。
静内ロケを経て、掛け合いトークの呼吸が合ってきました。
かがく探検隊コーステップ #183(2011.9.23)
突撃!となりの留学生 フランソワ・フジエ さん(北海道大学環境科学院 博士研究員)
研究室に行ってみよう 観光のツクリ方 内田純一先生(北海道大学 観光学高等研究センター 准教授)
インフォメーションコーナー 第59回・サイエンスカフェについて CoSTEP7期生・石井翔太さん
研究室に行ってみよう
インタビュアーは、CoSTEP7期生、藤田あさこさん。同行したのは、田中加奈子さん、岸本紘乃さん、山崎舞さんです。
まずは、ご研究の内容、北海道の観光の現状について伺いました。笑顔で丁寧に質問に答えて下さる内田先生。
後半では、産学官連携イノベーションについて伺い、CoSTEP修了生の果たすべき役割の可能性についてもお話し下さいました。
先生のお話に夢中になり、1時間以上もお邪魔してしまいました。お忙しい所どうもありがとうございました。
突撃!となりの留学生 フランソワ・フジエさん
徹夜明けにも関わらず、気軽にインタビューに応じてくれました。
日本への留学経験もあるとのことで、流暢な日本語でたくさんの質問にわかりやすく答えていただきました。
お疲れのところありがとうございました。メルシー。
かがく探検隊コーステップ #184(2011.10.29)
研究室に行ってみよう Hi Honey, 科学者集団Beeの秘密 関高史さん(網走市呼人 関養蜂場)
私の七つ道具 燻煙器(くんえんき)
たんいの教室 養蜂家が使う『群』、『枚』
研究室に行ってみよう
8月に続いてまたもや札幌を飛び出し道東の網走に取材に行きました。インタビュアーはCoSTEP7期生、田中加奈子さん。同行したのは同じくCoSTEP7期生の藤田あさこさん(録音担当)、功刀基さん(写真担当)、山崎舞さん(記録担当)、岸本紘乃さん(取材レポート担当)です。
≪網走入り〜取材の朝≫
関養蜂場はオホーツクに面した町、網走にあります。この日のためにレンタカーを借りて出発した取材班は、札幌から5時間の旅を経て前日入りするという気合の入りよう。ラジオ班3人+助っ人2人の特別編成です。
≪ ご自宅で≫
白いつなぎにバンダナ姿で迎えて下さった関高史(せき・たかし)さん。
まずはお宅にて、網走で養蜂を始めたきっかけやハチの生態などについてお話を伺いました。
スギの香りが漂う作業場は、積み上げられた新しい巣箱たちでいっぱいでした。
ハチが蜂蜜を作るのであって、養蜂家は何もしていないという言葉に表されるように、ハチに対する謙虚な姿勢が印象的でした。録音中のはっきりとしたお話し方と合間のざっくばらんな語り口のどちらも魅力的で、養蜂やハチについて伝えたいという大きな想いを感じました。
≪蜂場(ほうじょう)≫
お昼を挟んでいよいよ「蜂場」へ。取材当日は前日の冷え込みから一転して朝から快晴。途中で寄った天都山(てんとざん)からは知床まで一望できました。
関さんのトラックについていくこと約5分。山道を進むとテニスコート半分ほどの広さの少し開けた空間に出ました。 ついにハチとの対面です。
・・・とその前にネットを装着してハチとの距離感を適切に保ちます。筒状の黒いネットは縫い目を後ろにし、まくって帽子の上からかぶります。さらにゴム紐で下側を密閉すると完成。ついでにゴム手袋も装着。ここでは巣箱のハチの様子を前に習性や養蜂について話していただきました。
燻煙器(くんえんき)という道具を使い至近距離から巣箱にシュッシュッと煙を吹きかけながらの作業。煙のおかげでハチは大人しくなり、動きを十分に目で追うことが出来ます。
蓋を開けても一斉に飛び出してくることなんてなく、巣箱の出入り口でうろうろしていたり、半径2 mほどの範囲を1匹ずつブーンと飛んで取材ノートや録音機にも止まったりといろいろでした。
一通りお話を聞いた後は関さん、もとい、ハチが作ったはちみつを試食させていただきました。アカシア蜜、タンポポ、菩提樹、クローバー蜜、森の蜜、百花蜜と一つ一つ味も香りも違うことに取材班は驚きっぱなし。収録後は全員が自分の好みのはちみつをお土産に購入しました。
農学を学んでいながら触れたことのなかった養蜂について丁寧に教えていただきました。本当にありがとうございました!!
かがく探検隊コーステップ #185(2011.11.26)▶
突撃!となりの留学生 靳 麗芳(ジン・リーファン)さん(北海道大学文学研究科 言語文学専攻 映像・表現文化論講座 博士課程3年生)
研究室に行ってみよう 『くすり』よ届け! 秋田英万先生(北海道大学 薬学研究院 准教授)
たんいの教室 メートル
研究室に行ってみよう
北海道大学 薬学研究院 准教授 秋田英万(あきた・ひでたか)先生にお話を伺いました。
まずは、ご研究の内容、DDS(ドラッグ・デリバリーシステム)について伺いました。薬を患部で“効かせる”ためにどうやって運ぶか。細胞の中の核の中まで運ぶにはどうしたらいいのか。
後半では、そんなナノスケールの粒子をどのように見るのか、ノーベル賞での発見で飛躍的に進歩した研究と今後についてお話しいただきました。お忙しい所どうもありがとうございました。
※秋田先生は、2012年1月21日(土)サイエンスカフェ・札幌のゲストです。カフェの準備も進行中です
突撃!となりの留学生
ジン・リーファン さん
流暢な日本語で、なぜアニメに興味をもったのか、北大の魅力について語ってくれました。
インタビュアーは、岸本紘乃さん、同行したのは、山崎舞さんです。
かがく探検隊コーステップ #186(2011.12.10)▶
研究室に行ってみよう CoSTEPのインターンシップに随行せよ 加賀谷勝史さん(北海道大学大学院 理学研究院 生物科学部門 学術研究員)
私の七つ道具 ピンセット
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院 理学研究院 生物化学部門 学術研究員 加賀谷勝史さんを訪問しました。
今回は11月1日にCoSTEPにインターンシップに来た、登別明日(あけび)中等教育学校4回生の 道林詩織さん、松本ほのかさんの取材に同行しました。
同行したのはCoSTEP7期生の岸本紘乃さん、藤田あさこさん、功刀基さんです。
アメリカザリガニの随意行動の研究成果が2011年4月に「サイエンス」に掲載された加賀谷さん。ザリガニが動く数秒前に、「動くぞ」というシグナルを出す、 という話に高校生も興味深々。
「シナプス活動」と「スパイク活動」というちょっと聞きなれない解説にも熱心に耳を傾けました。
後半では、加賀谷さんが来年から研究するシャコの行動についても伺い、 アメリカで研究する、という言葉にため息も。
「英語ってやっぱり必要なんですか」と素朴な質問や、高校生ならではの進路の質問にまで話が及びました。
「できるだけ動物を傷めず自然に」丁寧に作業をする、と加賀谷さん。曲がったピンセットはアメリカのアーカンサスで採れる細かい目の砥石で砥ぐそうです。
最後に高校生二人にも感想を聞きました。
かがく探検隊コーステップ #187(2011.12.24)
研究室に行ってみよう 体力づくりのヒント 水野眞佐夫 先生(北海道大学大学院 教育学研究院 人間発達科学分野 教授)
スペシャルコーナー:冬の生き物なう〜ヒグマ篇〜 ヒグマの冬ごもりについて
CoSTEPインフォメーション 第61回サイエンスカフェ札幌について 森安悟さん(CoSTEP7期生)
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院 教育学研究院教授 水野眞佐夫先生にお話を伺いました。インタビュアーは、CoSTEP7期生、藤田あさこさん。 同行したのはCoSTEP7期生の岸本紘乃さんです。
水野先生は、2006年に北大に着任されるまで、26年間デンマークの大学と病院で研究をされてきました。 研究の内容や、開発に携わったサプリメントのお話を3つのパートに分けてお送りします。
最初の2パートでは、北大生のメンタルヘルス問題や、 積雪寒冷地の北海道でどのような体力をつけたらいいのか伺いました。運動不足が心の健康にも関係してくる、という話に、現役北大生の二人は真剣に耳を傾けました。そして、震災時に必要な自助、共助のためにも体力が必要と説明されました。また、先生ご自身は運動不足と笑いつつ、目的によって必要な筋肉が異なること、若い女性の痩せすぎについても問題点を指摘されました。
3つ目のパートでは、水野先生が、デンマークの病院で研究開発したアミノ酸サプリメントのお話を伺いました。開発のきっかけや、それにまつわる先生の想い、そしてサプリメントの適切な摂取方法について伺いました。
かがく探検隊コーステップ #188(2012.1.28)
研究室に行ってみよう あれから5年 世界に羽ばたくコンポストトイレ 土方野分さん(北海道大学大学院 工学研究院 環境創成工学部門 サニテーション工学研究室 博士研究員)
私の七つ道具 土方さんの七つ道具「遠沈管(えんちんかん)」
スペシャルコーナー:冬の生き物なう〜オオワシ篇〜 絶滅危惧種オオワシの生態について
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院 工学研究院 環境創成工学部門 サニテーション工学研究室 博士研究員 土方野分(ひじかた・のわき)さん。インタビュアーは、CoSTEP7期生、田中加奈子さん、同行したのはCoSTEP7期生の岸本紘乃さん、藤田あさこさんです。
土方さんの所属研究室では、バイオトイレの研究をされています。この番組の第20回放送(2006.2.25)では、船水尚行教授にご出演いただき、バイオトイレについてお話していただきました。
その後5年たち、バイオトイレも随分改良されてきました。土方さんは、バイオトイレをコンポストトイレと呼び、分解された排泄物を農業の堆肥として利用するため研究をすすめています。
かがく探検隊コーステップ #189(2012.2.25)
研究室に行ってみよう 文系も実験!? 品田瑞穂先生(北海道大学 社会科学実験研究センター 助教)
スペシャルコーナー:突撃!となりの理系女子!! 理系の学部・大学院で過ごす理系女子5人にインタビュー
研究室に行ってみよう
北海道大学 社会科学実験研究センター 助教 品田瑞穂(しなだ・みずほ)先生。CoSTEP7期生の岸本紘乃がインタビュアー、記録及び写真を藤田あさこが担当しました。
品田先生は「社会心理学」という、社会現象と個人のこころを同時に扱う領域を研究されています。なんと実験を使うというから驚きます。心理学では珍しくないそうですが、北大には日本で唯一の社会科学実験を実施する専門機関があるとのこと。インタビュー直前まで先生も実験されていたそうです。
品田先生 「せっかくだから案内…」
取材チーム「おおーっ」
品田先生 「あ、今実験中でした」
というやり取りもあり、フル活用されているようでした。「特に事前準備はしてないんですけど…」と言いつつも話は尽きません。
落ち着いた語り口調が自然で、インタビューを忘れて話してしまいそうでした。
研究室の学生さんがパソコンに向かっている横でお話を伺い、いつものインタビュー以上に研究室の空気を実感できた気がします。品田先生、研究室の皆さん、ありがとうございました!!
スペシャルコーナー:突撃!となりの理系女子!!
となりの理系女子5人にインタビュー。
大学での勉強・研究内容から、進路選択の様子、そして進路選択中の中高生(&親世代)へのメッセージを語ってもらいました。
インタビュー後、大藪さんが-50℃の実験室を実際に案内してくれました。
テスト勉強に卒業設計、就職活動や修士論文とそれぞれお忙しい中ありがとうございました!!
かがく探検隊コーステップ #190(2012.6.16)▶
特集:サイエンスカフェ「気象予報は、宝の山」
2012年5月20日に行われた、第63回サイエンスカフェ札幌『気象予報は、宝の山』をダイジェストでお送りします。
今回の収録に参加してくれたのは、第8期の受講生達です。番組恒例のオープニングコントにも初挑戦してくれました。
#191~
かがく探検隊コーステップ #191(2012.6.30)▶
研究室に行ってみよう 地球内部からの“アツイ”メッセージ マリ・ピトン先生(北海道大学理学研究院 自然史科学部門 地球惑星システム科学分野 特任助教)
北大豆知識 理学部2・5号館のステンドグラスのエピソード
研究室に行ってみよう
北海道大学理学研究院 自然史科学部門 地球惑星システム科学分野 特任助教のマリ・ピトン先生。インタビュアーは、CoSTEP8期生、小四郎丸拓馬さん。同行したのは同じくCoSTEP8期生の西野明理紗さん、武田尚太さんです。
マリ先生は、地殻を調査し、海洋がどのように広がるのかを研究されています。まずは、地殻とはどの部分を示すのか、地球の構造を丁寧に説明してくれました。地殻が動いている仕組みを、「ガムを噛めば、最初は硬いけど徐々に口の中の熱で柔らかくなるでしょ」と例えを出し、硬い石も地下に行けばいくほど高温の影響で柔らかくなり、マントルが動くから地殻も動く、という説明に一同納得。
1年のうち、1/3は調査に出かけている、というアクティブなマリ先生。調査船で海の上から地殻の石を採取したり、地震などで海洋地殻が盛り上がって山になった、オフィオライトという岩石層の石を分析することで海洋地殻ができた過程を知るそうです。
でもなぜ日本で研究なのか、という疑問にも答えてくれました。
「日本の科学の研究レベル、環境は世界と変わらないから。私の研究は世界中がフィールドですよ。」
最後にマリ先生から、進路に悩む若者へのメッセージを頂きました。その言葉に、小四郎丸さん大感激。番組リスナーのみならず、受講生達にとっても勇気づけられる取材でした。マリ・ピトン先生、お忙しい所ありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #192(2012.7.28)▶
研究室に行ってみよう 腸のバランスを守る抗菌ペプチド 綾部時芳 先生(北海道大学大学院先端生命科学研究院 教授)
北大豆知識 北大、札幌キャンパスの広さを紹介。CoSTEP8期生が体当たりレポート
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院 先端生命科学研究院 生命機能科学研究部門 細胞生物科学分野 自然免疫研究室 教授の綾部時芳(あやべ・ときよし)先生。インタビュアーは、CoSTEP8期生、西野明理紗さん。同行したのは同じくCoSTEP8期生の巽ゆかりさんです。
綾部先生は自然免疫について研究されています。その中でも特に、小腸の中で活躍する抗菌ペプチド、「α(アルファ)ディフェンシン」に注目しています。
インタビューの前半では、自然免疫とは何か、そしてこのαディフェンシンの働きについて分かりやすく説明してくださいました。
後半では、αディフェンシンと病気との関係、北大で研究する意義、そして高校生へのメッセージも頂きました。
※番組の中で触れている消化管ツアーですが、正しくは「消化管体験ツアー」です。8/1は、札幌・地下歩空間のサイエンスパーク会場(主催:北海道)、8/8, 9は東京・霞が関で開催します( 主催:文部科学省)。
綾部先生、お忙しいところありがとうございました。
北大豆知識
南に位置する北大正門から、2.3km先の北キャンパスまで、CoSTEP8期生の武田尚太さんが実際に走り、北大の広さを体感しました。
かがく探検隊コーステップ #193(2012.8.25)▶
研究室に行ってみよう 水環境から未来のキミへ 根岸淳二郎先生(北海道大学大学院 地球環境科学研究院 特任助教)
あなたの知らない単位の世界! フィート
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院 地球環境科学研究院 環境起学専攻 人間・生態システムコース 流域保全管理学研究室 特任助教の根岸淳二郎先生。インタビュアーは、CoSTEP8期生、武田尚太さん。同行したのは同じくCoSTEP8期生の小四郎丸拓馬さん、巽ゆかりさんです。
もともと「砂防工学からスタートした」と語る根岸先生は、「人にやさしい構造物」を考えるにつれて徐々に森の上流から下流へと研究フィールドを広げ、現在は「河床低下(かしょうていか)」という日本のみならず、世界の川で起こっている現象を研究しています。
川の底が深くなっていくことで変化する環境。その対策を考える上でも、地域の人たちとのコミュニケーションは欠かせない、という根岸先生。対子ども、大人、行政など、異なるバックグラウンドを持つ人たちへ説明する時の手法など科学技術コミュニケーションを学んでいる受講生にとって大事なことを伝えてくれました。
この日はマラソンの練習直後のインタビューにもかかわらず、笑顔でお話頂きました。根岸先生、ありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #194(2012.9.29)▶
研究室に行ってみよう トマム雲海の秘密 中村一樹さん(北海道大学大学院 地球環境科学研究院)
あなたの知らない単位の世界! パスカル
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院 地球環境科学研究院 GCOE環境教育研究交流推進室 上級コーディネーターの中村一樹(なかむら・かずき)さん。インタビュアーは、CoSTEP8期生、谷内秀久さん。同行したのは同じくCoSTEP8期生の小四郎丸拓馬さん、巽ゆかりさんです。
気象予報士、防災士、測量士、という肩書きも持つ、中村さん。まずは、現在研究されている、トマムの雲海についてお話を伺いました。
トマムは、札幌から車で約2時間、日高山脈のふもとにあります。山からの雲と、十勝平野を渡ってくる海からの雲が同時に見られるという場所。中村さん自身も初めて見た時には「思わず見入ってしまった」というほど美しい雲海がどのような時に見られるのか、その特徴を語ってくれました。
後半では、大学に来た理由や、トマムで行われている教育活動、気象予報士の視点から、霧の発生予報の活用についても伺いました。
1年中、月の半分はトマムを訪れるという中村さん。お忙しい中、取材に応じていただきありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #195(2012.10.27)
研究室に行ってみよう 人とつながるモノづくり 青木直史さん(北海道大学大学院 情報科学研究科 メディアネットワーク専攻 助教)
北大豆知識 銀杏並木
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院 情報科学研究科 メディアネットワーク専攻 助教の青木直史(あおき・なおふみ)さん。インタビュアーは、CoSTEP8期生、巽ゆかりさん。同行したのは同じくCoSTEP8期生の小四郎丸拓馬さん、武田尚太さん、谷内秀久さん、松原一樹さんです。
青木先生は「音」に関係した研究をされています。研究の過程で制作した作品を、実際に見せていただきました。光るギター(サイバーギター)、北海道版フォース、ヨサコイ用の光る鳴子(サイバー鳴子)など、どれを手にとっても、音や光で取材陣を楽しませてくれました。サイバー鳴子は、実際のヨサコイ会場でも販売されているそうで、金型作りから販売まで一貫したモノづくりを通じて、大事なのは「出口」、「どんな何を作ったら人の共感を得られるのか」と考えるようになったそうです。
青木先生の頭に常にあるのは、人につながるモノづくり。受け手は人間なのだから、人を知ることが大切、と熱く語ってくれました。青木先生、お忙しいところありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #196(2012.11.24)
研究室に行ってみよう もうひとつの地球? 倉本圭先生(北海道大学大学院理学研究院 宇宙理学専攻 教授)
あなたの知らない単位の世界 天文単位:AU(エーユー)
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院理学研究院 宇宙理学専攻 教授の倉本圭(くらもと きよし)先生。インタビュアーは、CoSTEP8期生の武田尚太さん。同行したのは同じく8期生の小四郎丸拓馬さん、巽ゆかりさんです。
太陽系の起源から地球・惑星・衛星の形成と進化などについて研究している倉本先生。
この道に進むきっかけとなったとは、小学生のころに見つけた「貝の化石」。この石がどこから来たのか、その起源に興味を持ったとのこと。
宇宙への興味をさらに強くしたのが、1977年に打ち上げられた、無人宇宙探査機、「ボイジャー」。初めて鮮明に映し出された木星の写真に世界中が注目しました。
ところがインタビュアーの武田さんにとってはまだ生まれる前の出来事。そのギャップに苦笑しつつも、丁寧に解説してくれる倉本先生。
前半のインタビューでは、地球のような生命体をもった惑星が存在するのか。存在するのならばその数はどれくらいなのか。有名学者ドレイク博士の計算方法(ドレイク方程式)とは、異なるアプローチで見積もりを行った倉本先生の計算方法について詳しく伺っています。
倉本先生、ありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #197(2012.12.29)▶
研究室にいってみよう 牛舎に行ってみよう 平克郎さん(北方生物圏フィールド科学センター 酪農生産研究施設 技術職員)
コーステップインフォメーション
・2013年1月26日(土)開催の第67回サイエンス・カフェ札幌
・1月から全4回シリーズで放送の「かがく探検隊コーステップ・アーカイブス」
牛舎に行ってみよう
大学に欠かせない研究者や学生を支える職員。今回は研究室ではなく、大学研究を支える技術職員さんを訪問しました。
取材に答えてくれた、平さんは、20年前から北大に勤務し、北大静内牧場を経て、10年前、この酪農生産研究施設が新しくなるのに合わせ札幌キャンパスで勤務しています。普段一般の人は立ち入ることのできない酪農生産研究施設。特別に許可をいただいてお邪魔しました。
体育館の倍の奥行きがありそうな牛舎内には、45頭の乳牛と羊がいて鳴き声もにぎやか。
牛のえさやりは機械化されています。定時になると天井のレールを伝って、餌箱が運ばれてきて、牛の目の前にある箱に入ります。効率よく食べさせるために、1日5回ほどに分けて与えるそうです。
走り出してしまった牛を見て、「暴れさせないためにはちょっとしたコツがいる」。実習で数回しかこれない学生に習得は難しい、とプロの顔も。
牛の飼育は24時間休みなし。さぞや平さんも激務かと思いきや、技術職員同士で連携しているので、年末年始も交代で休める、という言葉に思わず取材陣は安堵。
平さんの喜びは、「事故なく1日が終わること」。どんなプロでも生き物相手の仕事は大変なのだと感じた取材でした。
この牛たちは、農学部、獣医学部、工学部の研究を支えています。そしてその牛を支えるのは平さんたち技術職員の皆さん。さまざまな役割とそれをつなぐ人たちがいて北大の研究は進んでいるのですね。平さん、お忙しいところありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #198(2013.1.26)
研究室に行ってみよう 地震学のコレマデとコレカラ 勝俣啓先生(北海道大学大学院理学研究院 附属地震火山研究観測センター 准教授
あなたの知らない単位の世界! マグニチュードと震度
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院理学研究院 附属地震火山研究観測センター 准教授の勝俣啓(かつまた けい)先生。インタビュアーは、CoSTEP8期生、小四郎丸拓馬さん。同行したのは同じくCoSTEP8期生の武田尚太さんと遠藤恭平さんです。
1月になると思いだされるのが、阪神淡路大震災(1995年)、そして記憶に新しい、東日本大震災(2011年)。まずは、地震はどのようにして起こるのか、また「地震学」とはどのように発展してきたのかを伺いました。
「江戸時代のころは、地面の下にいるなまずが地震を起こすなんて言われたけどね」。笑いが起こり、取材陣の緊張をほぐしてくれます。
地震計を使って計測する「近代地震学」の研究が始まったのは、わずか100年程前から。意外と最近であることに驚きです。
後半では、先生ご自身のご研究内容と地震予知は可能なのか、という質問をぶつけています。
先生が興味を抱いているのは、「地震の予知、予測」の研究。もちろん、実際に予測、余地ができる段階ではないけれども、それにつながる研究をしています。 実際に使用している、手作りの地震計を見せていただきました。オレンジ色の機械の中に地震計が入っています。電子信号がICレコーダーに録音される仕組みです。
公式に地震予知が可能といわれているのは、東海地震のみ。それ以外の地震は予知、予測は無理だけれども、原理的には予知をする方法は考えられているので、将来的にはできるようになるのではないか、という言葉に、少し安心すると同時に、私たちも防災について考えてみたいと思いました。勝俣先生、お忙しいところありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #199(2013.3.2)▶
研究室に行ってみよう アニメがまちに人を呼ぶ! 山村高淑先生(北海道大学 観光学高等研究センター 大学院観光創造専攻 准教授)
北大豆知識 北海道大学 恵迪(けいてき)寮
研究室に行ってみよう
北海道大学観光学高等研究センター 大学院観光創造専攻 准教授の山村高淑(やまむら・たかよし)先生。インタビュアーは、CoSTEP8期生、谷内秀久さん。同行したのは同じくCoSTEP8期生の小四郎丸拓馬さん、武田尚太さんです。
新しい観光モデルを研究している山村さん。現在注目しているのは、「アニメで観光」。ドラマや映画など、いわゆる「コンテンツ」の舞台となった地域を観光客が訪問するのは、昔からあることで、既にさまざまな研究もされています。しかし「アニメ」だと、まだまだ研究者は少なく、山村さん自身も苦労している点も多いとか。
アニメがどのように観光の一翼を担っているのか、2007年に栃木県久喜市鷲宮で始まった、「らき☆すた」(アニメ)の聖地巡礼(舞台となった建物や場所を訪問すること)を参考に、分かりやすく解説してくれました。「アニメファンが地域に配慮した行動をし、地元もそれを受け入れた」ことが大ブームの理由だと言います。
既に成熟した日本の観光では、すべての人に受けるものはもはや存在せず、多様な価値観を生かす観光が必要で、なかでも「アニメ」は世界で共有できるものだ、と熱く語って下さいました。
かがく探検隊コーステップ #200(2013.3.30)▶
特集:青少年科学館をたんけん!
2005年10月から始まった「かがく探検隊コーステップ」も200回を迎えました。そこで、今回は北海道大学を出て、青少年科学館へ取材に行ってきました。
札幌市青少年科学館は、札幌市内から快速電車で約10分。JR新札幌駅から徒歩5分ほどの距離にあり、1階から3階まで約300点の展示物、1階にはプラネタリウムもあります。展示物の体験レポートと、インタビューの様子お楽しみください。
体験レポート
・星の体重計、惑星サイクリング
・音の姿を見よう
・水力発電
青少年科学館 展示係の安齊沙耶(あんざい・さや)さんに館内を案内してもらいつつ、展示物の体験をしました。
※コーナー冒頭で流れた音:声や拍手に反応し光がつく『雪のシャンデリア』、弦なしハープ(赤外線で音が出る仕組み)、長さの異なるパイプでの演奏(音階となって音が出ます)。
インタビューコーナー
財)札幌市生涯学習振興財団 札幌市青少年科学館 学芸課 展示係
安齊沙耶(あんざい・さや)さん
札幌市青少年科学館のモットーは「ハンズオン」。館内には、約300点の展示がありますが、解説文をなるべく少なくし、触って体験し学んでもらいたいと考えています。
31年前に開館した当時は、小学生3年生以上を対象に展示を考えていましたが、最近では低年齢化し、幼稚園児なども多く訪れるそうです。
大学院進学も考えていた安齊さんですが、世の中には面白い研究がたくさんあり、それを伝える仕事に就きたいと、青少年科学館に就職したそうです。
今年の5月からは、耐震工事のため、約1年程休館となりますが、名誉館長に就任した、宇宙飛行士の山崎直子さんのアドバイスも受けつつ、来春には、天文コーナーのリニューアルを行い、新たに地学コーナーも開設するそうで、来場された方に、「より科学を身近に感じてもらいたい」と考えています。
特別展準備でお忙しい中、取材に応じていただきありがとうございました。
この200回番組で、2012年度(8期生)の制作が終了し、スタジオ収録には、今期の音声・映像受講生(8期生)全員が集合しました。
8期生のみなさん、おつかれさまでした。
尚、2013年度は、秋以降に番組配信の予定です。どうぞお楽しみに。
#201~
かがく探検隊コーステップ #201(2014.2.1)▶
特集:サイエンスカフェ「ようこそ「腸」宇宙へ」
2013年12月1日に行われた、第72回サイエンスカフェ札幌『ようこそ「腸」宇宙へ」の模様を、ダイジェストでお送りします。
今回ラジオ収録に参加してくれたのは、9期生の長崎俊紀さん(本科生・右)と、林えりかさん(選科生・左)です。手にしているのは、乳酸菌飲料。カフェのテーマ「腸」を意識しての収録でした。
次回の「かがく探検隊コーステップ」は、夏頃の公開を予定しています。お楽しみに。
かがく探検隊コーステップ #202(2014.8.9)▶
留学生に聞いてみよう! マシャドー・アンドレイさん
研究室に行ってみよう 口からわかるカラダのこと 北川善政先生(北海道大学大学院 歯学研究科 口腔病態学講座 口腔診断内科学教室 教授)
北大豆知識 サクシュコトニ川
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院歯学研究科 教授の北川善政(きたがわ・よしまさ)先生。インタビュアーは、CoSTEP10期生、青地絢美さんと山口なつきさん。同行したのは同じくCoSTEP10期生のホウ・チュウハクさんです。
「歯医者」というと、虫歯治療で歯を削ったり、抜いたりするというイメージがあります。ところが、北川先生が専門とするのは「口腔内科」。いったいどんな治療をするところなのか、わかりやすくお話いただきました。
「口と全身はつながっているんですよ」と優しく話し始めた北川先生。
まずは、歯の治療に使われた微量の金属が原因で、アレルギー反応が起きてしまう例を出し、「口腔内科」とは、アレルギー反応や、潰瘍といった内科的に扱う病気を治療する科であると話しました。
日本人の3大死亡原因は、がん、心疾患、そして肺炎。口の中の病気が体に及ぼす影響で一番大きなものは「誤嚥性肺炎」だそうです。高齢になり、寝たきりで口腔ケアが不十分だと、休んでいるときに菌が唾とともに、いつの間にか体の中に進入し、肺炎を起こし、死に至るそうです。
がん治療に効く、最新のビスホスホネートという薬は、非常に効果の高い薬ですが、一方で、虫歯などがあると、その歯を腐らせる副作用があるので、治療前の口腔ケアがとても重要であることも説明してくださいました。
歯学と医学の橋渡しをする「口腔内科」。欧米では、”oral medicine”として、一般の方の認知度も高い科であるのに対し、日本ではまだまだ知られていないそうです。幅広い医学知識を必要としますが、「歯科の重要な科であることを世間に広めていきたい」と抱負を語ってくださいました。
北川先生、診療の合間に取材に応じてくださり、ありがとうございました。
留学生に聞いてみよう!
ブラジル出身のマシャドー・アンドレイさんです。
日本語を学びに昨年に9月に来日。北大に多くの留学生がいることにまず驚いたそうです。
夏は暑いブラジルと比べ、北大は四季があり、キャンパスが美しいことにも感動したそうで
す。
食事もあまり困らないそうですが、砂糖を使う日本食はちょっと苦手、とホンネもぽろり。
留学生向けの日本語の授業が多くあり、とても楽しいというマシャドーさん。
1年の留学期間を終え、秋には帰国するそうですが、ぜひ学びを生かしてほしいですね。
北大豆知識 サクシュコトニ川
北大の中を流れるサクシュコトニ川再生のお話を青地絢美さんがレポートしてくれました。
かがく探検隊コーステップ #203(2014.9.13)
留学生に聞いてみよう! エリン・パートランさん
研究室に行ってみよう リデュース・リユース・バイオマス! 石井一英先生(北海道大学大学院工学研究院 環境創生工学部門 環境管理工学分野 循環計画システム研究室 准教授)
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院工学研究院 准教授の石井 一英(いしい・かずえい)先生。インタビュアーは、CoSTEP10期生、山口なつきさんと青地絢美さん。同行したのは同じくCoSTEP10期生のホウ・チュウハクさんです。
「再生可能エネルギー」と聞くと、太陽光や風力といったイメージがあります。石井先生が研究しているのは、「バイオマスの利用」です。そもそも、バイオマスとは何なのか、なぜ普及が進まないのか、お話を伺いました。
Q. バイオマスとは?
A. バイオマスは身近なものが多くあります。生ごみや家畜糞尿などの「廃棄物バイオマス」、稲わら、麦わら、林地残材などの「未利用バイオマス」、そして「資源作物バイオマス」の3種類です。例えば、生ごみは堆肥にすることもできるし、空気を遮断した密閉容器に入れると、”メタンガス”を発生し、エネルギーとして利用できます。
一般的に、「再生可能エネルギー」と聞くと、太陽光や風力、地熱など「電気を作るもの」を思い浮かべる人が多いようです。
一方このバイオマスを利用するには、集める人、変換する人、使う人、事業をする人、地域特性等をうまく働かせる必要があり、時間がかかります。それでも、バイオマス利用には大きな利点があります。それは、電気のみならず「さまざまなエネルギーに変換できる」ということです。北海道で重要なエネルギーは、冬の暖房や車を動かす燃料です。このバイオマスのメリットを、もっと人々に伝えなければいけないと感じています。
Q. 北海道でバイオマスは利用されているのでしょうか?
A. 北海道は日本で一番バイオマスの利活用ができる地域です。家畜糞尿の処理で困っていた、道東の鹿追、足寄、別海、興部といった地域では、バイオガス化プラントが建設されています。エネルギーを作るだけでなく、町中を漂う悪臭問題も解消されました。
石井先生は、「糞尿、生ごみは輝かしい資源ですよ!」とユニークな表現で、メンバーを楽しませつつ、バイオマス利用の可能性について、しっかりと説明してくださいました。「でもだからといって生ごみを増やしちゃダメですよ。“2R”が一番大事ですからね」とメッセージをくださいました。生ごみなどはできるだけ減らす(リデュース)、そしてできるだけ再利用していく(リユース)という考え方の2R。メンバーも2Rをかみ締め、できることから始めよう、と確認しあっていました。石井先生、お忙しいところ、ありがとうございました。
留学生に聞いてみよう!
アメリカ・ノースキャロライナ出身のエリン・パートランさんです。
エリンさんは、活性炭を使って、飲料水の浄化処理の研究をしています。その活性炭研究分野で、最先端の研究をしている、北大の松井教授に学ぼうと、大学の夏休みを利用して、2ヶ月間来日しました。
好きな食べ物は、北海道のソウルフード「蕎麦」。札幌はとても便利で、日本語があまりできなくても、生活に困ることはないんだとか。買い物は「お金があればできるじゃない」と笑い飛ばします。
今後は研究者の道を進み「将来はハイレベルな水処理技術を開発したい」という夢をもつエリンさん。夢が叶うといいですね。ご協力ありがとうございました。
かがく探検隊コーステップ #204(2014.10.11)
留学生に聞いてみよう! シュートフ・アレクサンダーさん
研究室に行ってみよう 正しく怖がるデング熱 好井健太朗先生(北海道大学大学院獣医学研究科 環境獣医科学講座 公衆衛生学教室 准教授)・平野港さん(同 博士課程1年)
研究室に行ってみよう
北海道大学大学院獣医学研究科 准教授の好井健太朗(よしい・けんたろう)先生、博士課程1年の平野港(ひらの・みなと)さん。インタビュアーは、CoSTEP教員の滝沢麻理。同行したのはCoSTEP10期生の山口なつきさん、青地絢美さん、ホウ・チュウハクさんです。
2014年夏、東京でデング熱の感染者が見つかりました。感染者を刺した蚊が、別の人を刺すことににより広がったデング熱。感染者は、全国各地に広がっていたことも判明しました。そもそも、「デング熱」はどのようなものなのか、「ダニと蚊が媒介するウィルス」研究がご専門のお二人に話を伺ってきました。
Q. デングウィルスはどこから来たのか
A. デングウィルスは、アメリカ、東南アジア、アフリカ等に分布していて、感染症の中では、分布域の広いウィルスです。ヤブ科属の「ネッタイシマカ」という蚊や、日本にもいる「ヒトスジシマカ」という蚊が媒介します。蚊が媒介するウィルスには、これまでもデング熱以外にも、マラリア、日本脳炎といったものがあります。
Q. ワクチンはあるのですか
A. 現在企業が開発中ですが、実用段階にはありません。デング熱はウィルスに4種類の型があります。4種類すべてに防御機能がないと、悪化する場合かあるので開発が難しいのです。一方、ワクチンのある日本脳炎というのは、1種類の型しかないので、それに対応するワクチンがあります。
Q. 先生方の研究は
A. ダニ媒介性ウィルス、日本脳炎ウィルス、ウエストナイルウィルスなどです。最初の2つには、すでにワクチンがあります。ウィルスの性質を変えることでどのように効果の高いワクチンができるか、どうやって病気を起こしているのか、そのメカニズムを日々研究しています。
Q. 今後私たちが気をつけることは
A.東南アジアに旅行の際には、現地の病気の情報を調べること、そして、その情報のソース(情報源)をしっかり確認するということです。
デング熱は、今後も発生するかも知れませんが、そのときには、冷静に情報を得て「正しく怖がる」ようになりたいですね。好井先生、平野さん、ありがとうございました。
留学生に聞いてみよう!
ロシアのサハリンから、語学の交換留学生として北大に来た、シュートフ・アレクサンダーさんです。
日本人の祖父をもつ、シュートフさんは、小学生時代に青森市で3日間過ごした経験から日本に興味をもち、日本語の勉強をしているそうです。「ジンギスカンとカツカレーが好き」というシュートフさん、将来は、日ロ関係の仕事をしたいそうです。がんばってくださいね。
かがく探検隊コーステップ #205(2014.11.8)
留学生に聞いてみよう! ゴルブ・アントンさん
研究室に行ってみよう 知ってる?環境保全センター 松藤敏彦先生(北海道大学大学院工学研究院 教授・環境保全センター長)
研究室に行ってみよう
環境保全センター長の松藤敏彦先生(工学研究院教授)。インタビュアーは、CoSTEP10期生の青地絢美さん、同行したのは山口なつきさんです。
Q. 環境保全センターとは
実験で出る廃液収集、管理、廃棄物の管理、大気環境管理を行っている場所です。
建物は、工学部正面からは約10分ほど奥へ奥へと進み、木々に覆われた森の中にあります。
廃液処理とは
各部局で実験に使用した廃液を、「有機」と「無機」に分けてポリタンクに入れてもらいます。
それを、担当スタッフが定期的に回収しています。回収したポリタンクのうち、有機廃液はさらにドラム缶に移し変えて処理業者へと渡します。「有機」は引火性のあるものなので、取り扱いには気をつけなくてはいけません。
学内の廃水やゴミを適切に分別し処理しようと、日々奮闘している松藤先生。捨てる人がいれば、処理する人がいることを忘れてはいけないですね。お忙しいところ、ありがとうございました。
留学生に聞いてみよう!
カザフスタンから、語学を勉強しに来た、ゴルブ・アントンさんです。
地元で通訳としても働いているというゴルブさんは、とても流暢な日本語でした。
「日本語の授業が多様で面白い」という話に、一度覗いてみたい気がしました。
今後は、大学院進学も考えているとのこと。ぜひまた北大で学んでほしいですね。
かがく探検隊コーステップ #206(2014.12.13)
留学生に聞いてみよう! リュウ・ジェーさん
昆虫クイズ!
研究室に行ってみよう 虫VS菌!昆虫を守る免疫のちから 落合正則先生(北海道大学 低温科学研究所 准教授)
研究室にいってみよう
低温科学研究所 准教授 落合正則先生。インタビュアーは、CoSTEP10期生の青地絢美さん、同行したのは山口なつきさん、ホウ・チュウハクさんです。
落合先生の研究室がある「低温科学研究所」は、もともとは、雪の結晶を人工的に作ることに世界で始めて成功した、中谷宇吉郎博士、ゆかりの場所です。超低温室があり、雪や氷の研究者が多くいますが、落合先生は「昆虫の免疫研究」がご専門です。
研究室では、蚕(カイコ)が飼育されています。蚕は、人間が家畜化した動物で、自力で生存することはできません。落合先生は、この蚕を使って、免疫研究をしています。
「免疫」には、大きく分けて、自然免疫と獲得免疫の2種類があります。自然免疫は、生まれつき持っている免疫、獲得免疫は、病気と接することで獲る免疫のことです。人間は、予防接種などで、獲得免疫を持っていますが、昆虫がもっているのは、自然免疫のみです。動物は進化の過程で、顎を持つものを境に、獲得免疫のあるなしが決まっています。
虫の自然免疫の中には、「抗菌ペプチド」というたんぱく質があります。これは、菌を溶かして殺してしまう、という作用があります。落合先生が研究している「メラニン」という物質は、進入してきた菌の周りを黒くし、その菌をガチガチに固めて隔離することがわかっています。
落合先生は研究を進める中で、虫の高等な免疫機能に触れ「虫けらとか、下等動物とかいわれていますけど、いやいや彼らはかなり複雑なことをやっていますよ」と、虫の知られざる能力を教えてくださいました。
落合先生、お忙しいところありがとうございました。
留学生に聞いてみよう!
中国、四川省出身の留学生、リュウ・ジェーさんです。現在、環境科学院の博士課程2年生です。
暖かい四川省出身のリュウさんにとって、最初の北海道の冬は、とても楽しいものでした。今では、スキーに出かけることもあるそうです。
リュウさんは、北大にきてから、軽音部にはいり、その後、仲間たちとバンドを組み、現在では、オリジナル曲をライブハウスで月1回、演奏しています。担当は、ドラム。
卒業後は、「いろんな世界を回ってみたいし、また気の合う仲間と出会えたら音楽をやりたい」と語ってくれたリュウさん。
今後のご活躍を楽しみにしています。
かがく探検隊コーステップ #207(2015.1.10)▶
北大豆知識 冬の北大正門~北キャンパス、歩いて何分?
研究室に行ってみよう チーズ道は一日にしてならず 玖村朗人先生(北海道大学大学院 農学研究院 酪農食品科学研究室 教授)
研究室に行ってみよう
農学研究院 酪農食品科学研究室 教授の玖村朗人先生。インタビュアーは、CoSTEP10期生の山口なつきさんです。
玖村先生は、微生物を使って乳製品の研究をしていらっしゃいます。今回は、主にチーズ作りのお話を伺いました。
研究室では5年前から、「紅麹菌」という真菌を使ってチーズを作れないか研究を進めています。写真2枚目の、赤く見えるツブツブが紅麹菌です。ゴーダタイプのチーズに、紅麹菌を練りこんであります。
最初は、カマンベールチーズのように(写真3枚目)、全体に菌をつけられないか試しましたが、別の菌が生えてしまったり、苦味が強すぎたりとうまくいかなかったそうです。その後、培養方法を試行錯誤し、現在ではホエー(乳に含まれる水分)で培養した菌を使い研究を進めています。
チーズの作り方を伺うと、「来週(取材時の)その授業があるから聴きに来て。」とのお誘いに、授業も覗かせていただきました。
講義とともに、実際に凝固していく様子などの実演もありました。
凝固酵素(レンネット)を入れて、プルプルの状態。手で触ると、やわらかい杏仁豆腐といった感触です。
取材時には、「紅麹菌の研究をここでやっていると聞いて、ここだ!と思いました。」という大津山健さん(修士課程1年)も参加してくれました。これまで、2週間かかっていた培養を10日間に短縮するなど、熱心に研究しているそうです。
紅麹菌だけでなく、麹菌を入れたチーズの研究もしているという玖村先生。次はどんなチーズができるのか楽しみです。玖村先生、大津山さん、お忙しい中ありがとうございました。
北大豆知識 冬の北大正門~北キャンパス、歩いて何分?
冬の北大キャンパスを歩いたら何分で2.3km先の北キャンパスに着くのか、ラジオ班のメンバーが挑戦しました。
途中、青地さんの靴裏がはがれるというアクシデントにもかかわらず、23分20秒で歩ききった青地さん。北大歴4年の貫禄でしょうか。
ともあれ、雪道は十分に気をつけて余裕を持って歩きたいものですね。
かがく探検隊コーステップ #208(2015.2.13)
北大豆知識 北大総合博物館のポプラチェンバロ
研究室にいってみよう 知床のヒグマ、サケを食べない?! 森本淳子先生(北海道大学大学院 農学研究院 准教授)
研究室にいってみよう
北海道大学大学院農学研究院 准教授の森本淳子先生。インタビューアは、CoSTEP10期生のホウ・チュウハクさん、山口なつきさん。写真・記録は青地絢美さんが担当しました。
森本先生は、里山の生態系など、人が作ってきた生態系をどう管理していくか、ということを研究されています。その中で、世界自然遺産である、「知床」のヒグマがどのくらいサケを食べているのかを、安定同位体の分析という手法を使って調査されました。
道外出身の受講生たちには、「クマ=サケを食べる」という北海道土産名物の木彫りのイメージがあったので、サケを食べないのなら、何を食べているのだろうかといった素朴な質問もでました。
[クマは雑食]
ヒグマは雑食で、サケ以外に、草木、木の実、果実、シカなどを食べます。サケは、秋の重要な栄養源の1つですが、実はクマは卵が入っているお腹部分だけ食べてあとは捨てます。捨てられたサケは自然に戻り、海と陸の生態系をつなぐ役割を果たしています。
サケの遡上は、秋の一時期だけですが、知床エリアの自然遺産以外の部分では、河川の開発が進み、捕獲しやすい河口部ですら、ヒグマはサケを捕ることはできません。
[安定同位体による食性分析]
「同位体」とは同じ原子番号の元素で、質量数が異なる物質です。この同位体には、放射線を出して変化していく「放射性同位体」と変化せず安定している「安定同位体」(水素、炭素、窒素など)があります。そこで、ヒグマの骨(大たい骨)の組織に含まれる安定同位体比と、ヒグマの食物の同位体比を比較し、ヒグマの食性を分析しました。
[今後の研究]
この研究の発展形として、人工物を作る前は、ヒグマがどれだけサケを食べていたのか知りたいです。そのために、現在遺跡に残されたヒグマの頭骨を使って研究を進めています。
最後に「ヒグマと人のあつれきを減らしたい」と今後の夢を語ってくださいました。森本先生、お忙しいところありがとうございました。(先生が発表されたプレスリリースはこちら)
北大豆知識 北大総合博物館のポプラチェンバロ
解説は、北海道大学創成研究機構URAステーション特任助教の小俣友輝先生です。
「演奏は久しぶり」といいつつ、軽やかに鍵盤をたたいてくださいました。(演奏曲:ゴールドベルグ変奏曲アリア/パッハ)
音が出る仕組みを解説。「音」は番組でお楽しみください。
チェンバロの下には、乾燥を抑えるための水の入ったバケツ。加湿器とともに日々フル稼働中です。
小俣先生、ありがとうございました。
CoSTEPの10期生が「音声・映像実習」で制作したラジオ番組は、この回で終了です。お聴きいただき、ありがとうございました。
しみこむ、とけこむ、S.ounds(サウンズ)。あなたの日常にとけこむような、科学技術コミュニケーションを。
S.ounds(Science Communications Sounds)は北海道大学で科学技術コミュニケーションの教育研究を行う機関CoSTEPが、教育研究の一環として展開するサウンドメディアです。北海道大学や科学技術コミュニケーションをフィールドにさまざまなコンテンツを配信予定です。ご期待ください。
企画・制作:北海道大学大学院教育推進機構科学技術コミュニケーション教育研究部門CoSTEP