記念すべき第60回サイエンス・カフェ札幌は、北海道大学遺伝子病制御研究所分子腫瘍分野教授の藤田 恭之(ふじた やすゆき)さんをゲストにお招きし、『おしくらさいぼう、押されてなくなれ!〜がん細胞と正常細胞の攻防〜』というタイトルで、「がんの社会性」についてお話しいただきました。クリスマスツリーが飾られた会場には、藤田さんのお話を楽しみにたくさんの方が開場前から集まっていました。
藤田さんは、終始にこやかな笑顔でしたが、冒頭に、臨床医からがん研究者に転身した際のエピソードを語っているときの表情は真剣そのもの。ご自身が担当していたがん患者の青年を助けられなかったつらい経験から、もっと多くの人を救いたいという思いを強くしたそうです。
その後、いよいよ研究の話へ。まずは、今日のお話の基本となる、がんとはなにか?というところから丁寧に説明を始めました。次に、藤田さんの研究テーマである「がんの社会性」という本題をお話いただきました。これまでの実験系ではできなかったオリジナルの手法を生み出したことによって、実験室でのがんの発生をコントロールできるようになったことが大きな成果を生み出したきっかけだといいます。がん細胞と正常細胞とが接する境界で、いったい何が起こっているのか? ドラマチックな展開のお話が続きます。専門的で難しいお話もありましたが、会場では藤田さんのお話を聞きもらすまいと、一所懸命にメモを取りながら聞いている姿がたくさん見られました。

休憩後には、たくさんの質問が書かれたコミュニケーションカードが集まりました。藤田さんとCoSTEP受講生で代表的な質問をいくつか選びだし、藤田さんに答えていただきました。なお、当日会場でお答えできなかったご質問について、カフェ終了後に藤田さんが1枚1枚、回答を書きこんでくださいました。以下に公開してありますので、ぜひご覧になってください。


今回は、CoSTEP主催のサイエンス・カフェ札幌が始まって以来、3本の指に入るほどたくさんの来場者にお越しいただきました。立ち見も多かった中、みなさんが熱心に書いてくださったおかげでアンケートやコミュニケーションカードを、たくさん回収することができました。当日、会場に足を運んでくださったみなさま、受講生のどんなリクエストにもイヤな顔をせず受けとめてくださった藤田さんと研究室のみなさま、どうもありがとうございました。

(CoSTEP2011年度本科生・渡邊瑞穂)