5月23日、北海道大学高等教育推進機構の三上直之准教授による講義「参加と対話の科学技術コミュニケーション」が行われました。この講義からモジュール2「科学技術コミュニケーション概論」が始まりました。このモジュールの目標は、科学技術を行うのに必要な概念を学び、社会における科学技術コミュニケーションの望ましいあり方の全体像を展望し、科学技術コミュニケーターの役割を考えることです。
三上准教授は2005年から2008年までの間、CoSTEPの特任教員として、サイエンスカフェやコンセンサス会議など、「対話の場の創造」の分野を担当されてきた方です。
講義は、「3月11日後の科学技術と社会」について、科学技術への信頼回復のための条件は何か? という問いから始まりました。続いて、科学技術への市民参加の方法について、最も代表的・典型的な手法の一つである「コンセンサス会議」を中心に紹介していただきました。
コンセンサス会議の成り立ち、コンセンサス会議のしくみ、具体的には参加者・スケジュール・結果と活用方法の解説があり、続いて北海道での事例として遺伝子組換え(GM)作物コンセンサス会議について紹介していただきました。事例紹介をじっくりと行っていただいたことで、解説内容の理解が促進され、理論にとどまらない実践イメージを捕らえることができました。
続いていくつかの基本概念について、事例から見出されるポイントを解説していただきました。欠如モデルから双方向性へ、トランス・サイエンス、熟議(討議)デモクラシーやミニパブリックスなど、科学技術コミュニケーションにおいて用いられる概念について、頭の中を整理することができました。
最後にまとめとして、今回の講義で扱われた主な概念やキーワードの7つを復習し、講義は終了となりました。
講義後は、コンセンサス会議に関するいくつかの質問を含め、多くの質問が出されましたが、三上先生からは時間の許す限り一つ一つ丁寧に返答していただきました。
金村直俊(2012年度CoSTEP選科生)