実践+発信

【デザイン】64サイエンスカフェチラシ制作レポート

2012.8.17

チラシのデザインを担当したのは、本科グラフィックデザイン実習を専攻している、木塚あゆみさん(メディアコンテンツクリエーター・フリーランス)。木塚さんの制作レポートを紹介します。 

人の身体(からだ)は常に様々なシグナルを発信しています。驚きや不安、緊張といった心の動きの中には、実は当の本人も正確に意識できていない場合があります。しかし、心の状態を客観的に知ることができれば、自分自身の気持ちをコントロールし、不安や緊張を和らげることができるかもしれません。ゲストの棟方渚さんは、発汗や心拍数などのバイオシグナルを利用して心の状態を知ろうとしている研究者です。ですから、カフェのタイトル『カラダのホンネ』とは、いわゆる感情的なものではなくて、身体の物理的な反応=バイオシグナルがテーマであることを表現しています。

伝えたいことをかたちにする

昨年の震災以降、科学技術に対する信頼が揺らいだせいか、市民も専門家に任せきりにするのではなく、科学情報を各個人で取捨選択しようとする動きが増えてきました。そのような背景を踏まえて、情報を一方的に伝えるのではなく、参加者同士の意見交換を通じて、これからの科学技術のありかたを想像してもらいたいという企画メンバーの強い想いがありました。そこで私は「主役は(ゲストではなくて)参加者自身!」さらに「可愛さ」や「楽しい体験型カフェ」をデザインで表現したいと考えました。様々な年齢層の方に参加してもらいたかったため、あらゆる年代から受け入れてもらえる丸みのある形がベースとなっています。また、手描きのイメージを生かしたイラストやプリント柄の生地を使って、優しさや今風のカワイらしさを演出してみました。

この完成形に落ち着くまでに、タイトル周りのデザインを何通りも作成しましたが、なかなかしっくりいきません。最終的には、先に描いた女の子のイラストで用いたテクスチャー模様からヒントを得て、水玉を使うことにしました。その瞬間、パズルが解けたような気分になりました。はじめはクリーム色の背景色を使っていましたが、白無地に変更すると、紙面のなかにスッと空気が流れるような感覚を覚えました。やっと、チラシ全体に統一感が生まれました。タイトルや文字情報、図版の配置など、レイアウトこそ全体の印象に大きく作用することを学びました。

実際にカフェを開催して、当初のねらいどおり小・中学生から年配の方まで幅広い年代の方に参加していただきました。広報としての役割は果たせたのではないかと思います。最後に、このチラシの制作にあたり、意見や助言をくれたデザイン実習のメンバーには感謝しています。