実践+発信

「プレゼンテーション考え方」615 石村源生先生の講義レポート

2013.6.21

 「あなたはプレゼンが好きですか? あなたはプレゼンが得意ですか? 」石村源生先生の受講生への問いかけでスタートした今回の講義。テーマは“プレゼンテーション”です。

  
・「伝える相手」に対する想像力
プレゼンテーションとは“特定の対象者に対して、何らかの影響を与える目的を持って行う、時間と場所の限定された表現行為”である。石村先生は授業の冒頭でこのようにプレゼンテーションを定義しました。自分の伝えたいことをただ伝えるだけで、相手に影響を与えることはできるでしょうか。それは難しい、と石村先生は主張します。よいプレゼンテーションを行うためには、「伝える相手」に対する想像力を養うことが必要です。これは、科学技術コミュニケーション全般に通じる理念でもあります。
・AI“C”DMAの法則?
広告の分野でよく使われる“AIDMAの法則”をご存知でしょうか。AIDMAは、Attention (注意)・Interest (関心)・Desire (欲求)・Memory (記憶)・Action (行動)の頭文字です。これらは人がものを買うまでの流れを表しています。この“AIDMAの法則”にComprehension (理解)を追加したのがAI“C”DMAの法則です。プレゼンテーションでは、このAICDMAの6つの要素のどれを、どこまで達成するかがポイントになります。これを達成するには、内容・自分・相手の3つをきちんと理解しておくことが必要です。
・テイクホームメッセージを伝える
時間と場所が限定されている状態で聞き手にわかりやすく伝えるにはどのようにすればよいのでしょうか。一般的な方法の一つに、必要最低限の主張をまとめた「テイクホームメッセージ」と呼ばれる一言をくり返すという手法があります。テイクホームメッセージを伝えるために必要な要素だけでプレゼンテーションを構成することで、わかりやすい説明が可能になるのです。
・伝えたいことの構造化
伝えたいテイクホームメッセージを定めたら、今度はそれが効果的に伝わるようにプレゼンテーション全体のストーリーを構成します。聞き手の興味をひきつけるには、大切なことを先に言ってしまうのが有効です。まず結論を述べ、その後論拠を述べてから、最後にもう一度結論を強調するのがわかりやすいプレゼンテーションの基本的な流れになります。スライドについても文字ではなく、図解などをもちいてひと目でわかるようにしておくことが大切です。プレゼンテーションでは、スライド全体を論理的に構造化することが求められます。
 
(中島悠貴 2013年度本科・北海道大学理学院 修士1年)