実践+発信

「企業の社会貢献活動における教育の意義とその企画及び実践」11/9 田村拓先生の講義レポート

2013.11.16

 SCSKグループの田村拓先生を講師に迎え、会社の社会貢献活動として、2001年から開催しているCAMPと呼ばれるこども向けワークショップを軸に、こどもの教育への効果と企業の人材育成のあり方についてお話しいただきました。

■CAMP(キャンプ)とは
"Children's Art Museum and Park"の略。2001年に、SCSKグループが社会貢献活動の1つとして開始しました。CAMPには、5つのコンセプト、「考える・つくる・つながる・発表する・ふりかえる」があり、中心には「楽しみながら自分に合った表現方法でコミュニケーションの輪を広げていく」という目的があります。開始以来、社員がファシリテーターを務め、大学、デザイナー、アーティスト等と連携し、50種類以上ものワークショップを開発しています。
代表的なものは、マサチューセッツ工科大学メディアラボが開発した「クリケット」と呼ばれる小さなコンピューターを使ったワークショップです。身近な素材を使ってデザインし、プログラミングを考えて音を鳴らしたり、モーターを動かしたりします。小さな子どもでも、30分程度で、簡単なプログラミングができるようになります。
今までに開発したワークショップは、「CAMPACO(キャンパコ)」という名でそのノウハウをパッケージ化し、全国に貸出をしています。
■CAMP開始の背景
CAMPを始めたきっかけは、SCK創業者の「こどもたちが未来の自分を考えられるようになってほしい」という一言でしたが、もう1つ理由があります。
「リア充」という言葉をご存知ですか?私はこの言葉にすごく違和感を覚えます。リアル=現実社会は生きていることの中心ですから、バーチャルを主に考えて、「リアル」が充実というのは良くわからないのです。
かつての日本に存在した、世代間の交流、学校の権威、地域コミュニティーなどが失われ、少子化、核家族化、学校崩壊、モンスターペアレントの出現などで、子どもを取り巻く環境の変化を目の当たりにしました。そして子供たちが社会性を身につけて育つ機会が減っている現実をみて、企業が広い意味での教育、子育てに貢献しなければいけないと感じるようになりました。
■社員が関わることの意義
CAMPは、企画、ファシリテーションも社員が行っています。企画を実現するためには、さまざまな外の世界の人達と協働することが必要で、その経験は、社員にとっても新しいことに目を向けるきっかけになり、成長につながります。
また、社内での繋がりも生まれ、仕事に対しても横断的連携が図れるようになるという効果があります。
■企業の社会貢献
企業の社会貢献とは、単にお金を寄付することではありません。本業を通じて社会に貢献できる人材を育てることであり、そのためには社員自身が外に目を開き変化していくことが必要なのです。

講義後には、受講生数人から、「CAMPACOを借りたい、札幌でのワークショップはないのですか?」との発言もあり、90分の授業に大いに刺激をうけた様子がうかがえます。

田村先生、ありがとうございました。