北海道大学・科学技術コミュニケーター養成プログラム(CoSTEP・コーステップ)受講説明会が2014年4月5日に開催されました。天候の悪い中、47名もの方が参加され、活発な質疑応答が行われました。
松王 政浩 CoSTEP代表/理学研究院教授
2014年度CoSTEP受講説明会と、2013年度修了生(9期)による座談会の様子を映像で公開します。
また説明会と座談会の質疑応答のテキストを末尾に掲載しておりますので、そちらでも確認できます。
当日の配付資料はこちらよりダウンロードできます。
※プレイリスト(右側の項目)が表示できない場合(iOS等、一部のモバイルデバイス)、こちらへアクセスしてください。
※募集に関するお問い合わせは、メールでCoSTEP事務室まで。
■受講生説明会・質疑応答
Q:パソコンを持っていない。全ての講義に出席すれば、e-learningが見られない環境でも問題ないか?
A:講義に100%出席するのであれば、講義について支障はない。ただ、レポートを作成するためにパソコンは必要となる。業務連絡もメールとなるので、せめて共用パソコン等を使えるような環境がないと受講は難しい。
Q: 本科、選科の修了の要件。
A: 本科は、講義について9回まではe-learningで受講でき、年間8本程度のレポートの提出が必要。また演習、実習を7割以上出席した上で所定の課題を提出する必要がある。
選科も全ての講義視聴が必要(e-learning可)。3日間の集中演習への参加が必要。
Q:選科、本科とも、同じ講義を同じ教室で受講するのか?
A:はい。
Q: 大学院の共通科目にもCoSTEPが提供している講義があるが、CoSTEPの講義との重複はないか?
A: まったく重複がないとは言えないが、大学院科目の方はCoSTEPで行う内容のイントロダクションのようなもの。大学院の科目を受講しながら、CoSTEを受講していた大学院生も過去にたくさんいる。
Q: 選科の選択演習について、申込み時に決めなければいけないのか?
A: 応募フォームに記入する際に希望を選んでもらう。
Q:レポートの分量はどれくらいか?
A:1つのモジュールにつき1本、およそ800〜1000字程度のレポートとなっている。コンスタントに提出すれば、それほど困難な量ではない。
Q: 本科と選科の違いは?
A: 講義の内容は同じ。本科は4つの実習があるが、選科はない。ただし、選択実習は本科だけでなく選科も受講可能。
演習に関しては、本科は毎週水曜に1時間半ある。選科は、2種類の集中演習があり、どちらも3日間のスクーリングを北大で行う。
Q: グラフッィックデザイン実習では特定のツールが必要か?
A: CoSTEPで必要なツールがインストールされたパソコンを貸すこともできるので、実習では必ずしもPCとソフトを自前で用意しなくてもよい。ただし、ソフト講習の場ではないので、極力、各人で最低限使えるスキルを身につけてほしい。
Q:面接はいつどこで行われるのか?
A:本科の面接は、4/19,20の10:00-15:00の間にて、応募フォーム記入時に選択してもらう。
Q:CoSTEPを複数年受講することに要件はあるのか?
A:複数回受講することに要件はない。合格すれば受講できる。ただし様々なケースが考えられるので、選考の際に、受講を認めるかどうかは個別ケースにあわせて検討している。
Q:修了後に、さらに踏み込んだ学びができると言っていたが、詳しく教えてほしい。
A:研修科を用意している。自分でテーマを決めて、教員を選ぶことでさらに研究や実践を深められる。
Q: コミュニケーションの受け手として想定しているのはどんな方なのか?
A:受け手を特に限定していない。そのときのニーズやリソースによって異なってくる。
Q: 科学技術コミュニケーションの定義は?
A:多様性がある。さまざまな分野を包括しているが、抽象的な言い方をすると、コミュニケーションを適切に行い、専門家と市民の橋渡しとして支援すること。科学技術コミュニケーションの内容は、常に時代とともに変わるともいえる。これから皆さんと一緒に考えていきたい。
Q. CoSTEPのカリキュラムは、大学院の単位に認定されるか。
A. 認定されない。ただし、北海道大学「物質科学フロンティアを開拓するAmbitousリーダー育成プログラム」とは現在、単位認定に関して調整中である。詳しくは同プログラム事務局まで問い合わせてほしい。
Q. 演習や実習について、準備や課題のボリューム感を教えてほしい
A. 内容にもよるが、基本的に持ち帰り作業はある。CoSTEP受講生はみな意欲的で、日常的に忙しい方が多いが、グループワークに際しては周りの受講生と協力や役割分担をしたり、教員と相談しながら進めている。
Q. 現在大学2年であるが、受講可能か。CoSTEPの受講可能なレベルを教えてほしい。
A. 受講資格について、募集要項には「大学卒業もしくは同等のリテラシーを有する方」と記載しているが、必ずしも形式的な卒業が条件ではない。志望理由書や課題を見てこちらで検討する。カリキュラムを十分に理解できるレベルであり、将来にわたって継続的に活動を行っていこうという意欲のある方なら問題ない。
—————————-
■修了生座談会
・修了生の話(Q:司会(古家さん・9期生)A:9期生)
Q:CoSTEPを受講した入ったきっかけはなにか?
A:社会人で、技術系の仕事をしてきた。対話の場をどのようにするのか自分流に行ってきたが、CoSTEPではそれらを体系的に、理論的に学ぶことができることを知ったのがきっかけ。
A:大学院で研究していて、研究を一般の人が分かるように還元して初めて、研究という行為に意味があると考えている。博士後期課程に進む上で、必要なスキルを身につけられたらと思って受講した。
A:現在公務員である。文系だったが、専門的なことを分かり易く伝えるということでは、科学技術コミュニケーションが大事だと思って受講した。
A:環境問題を本当に解決しようと思ったら、CoSTEPで身につけられるような社会での実践的なスキルが必要だと感じた。
A:学部から院に入って講義が減り、視野が狭くなりそうな気がしてCoSTEPを受講した。また、映像制作そのものにも興味があった。
A:職場の先輩がCoSTEP修了生だった。最初は受け身な姿勢だったが、受講する中で科学技術コミュニケーションに興味が湧いていった。
A:所属している大学院の先輩がCoSTEP修了生だった。何かチャレンジしてみたいという気持ちから受講した。
—————————-
・会場からの質疑とその応答(Q:会場 A:9期生)
Q:本科が忙しいと言っていたが、研究との両立はできるか?
A:とても忙しかった。それは自分の意志で忙しくしていた。両立は可能だと思う。自分の考えとしては、むしろ忙しくすればするほど充実すると思う。
A:やりたかったら研究との両立もできる。講義も3割まではe-learningを使えるので、うまく利用した。
Q:大学を卒業していないのだが、受講はできるか?
A:大学卒業資格を要件にはしていないので、同等程度のリテラシーがあれば問題ないとしている。これまでも大卒ではない受講生もいた。
Q:選科を考えている。選科を受講した社会人の方はどのように勉強していたのか?
A:e-learningは周りに誘惑が多かったので、講義は直接教室で受講することにした。時間が許す限りは直接教室に来た方がわかりやすいし、他の受講生との一体感も得られると感じた。
A:仕事やプライベートでも講義に出られないこともある。可能な時は直接受講して、状況に応じてe-learningを活用した。
Q:北大外の大学院生も受講しているのか?
A:過去の選科生では、東日本、西日本、九州、沖縄、様々な大学院から受講していた。
Q:見た感じ、修了生同士、仲が良さそうに見えるが、どうして?
A:トランスサイエンス選択実習の中で、有志が定期的に集まってイベントを企画した。そういった企画では、選科や本科の垣根を越えて一緒にイベントをしたこともあり、結束力が高まった。
Q:本科を受講された方で、演習の印象に残っている部分は?
A:大津先生の名刺のデザイン。いきなり「名刺をデザインしてきなさい」といった課題が出た。驚いたが、やってみると、おもしろかった。
A:プレゼンテーション演習。3、4人でグループになってお互いにプレゼンをして意見を述べ合った。こういった機会はなかなかなかったので印象に残っている。
Q:本科、選科を受けて、互いにもう一方の科を受けた方がよかったと思ったことがあれば教えてほしい。
A:本科を受けてよかったと思っているが、選科の3日間の集中演習はとても充実していそうでうらやましかった。(本科受講生)
A:選科を受講したが、本科の受講生が作成したライティング成果物が素晴らしかった。時間をかけてこだわったものを作成できる点で、本科はうらやましかった。(選科受講生)
Q:講義について、どんな期待をもって受講し、結果得られたものを教えてほしい。
A:講義では質問をすると、分野を問わずさまざまな方が答えてくれるので、その中で自分の考えをまとめることができた。
A:自分は社会人なので、正直いってこれまで聞いたことのある内容もあった。しかし、自分が興味ないな、と思って参加した講義が、今まで触れてこなかった内容だったりして、大変面白かった。他の受講生の質問を聞いて、例えば「大学院生の視点ではこう見えているのか」などわかっておもしろかった。
Q:もしもう一度CoSTEPを受けるとしたら?
A:ライティングやデザインは素人でもある程度できるが、映像は全く何もできない。今度は映像制作を学びたい。
A:修了後もいろいろ考えているプロジェクトがある。今度は、具体的なミッションを受講したい。具体的になってくるほど、深く学べる。
A:もう一度対話の場の実習がしたい。実施できなくて悔しかった企画を今度こそやり遂げたい。