実践+発信

「情報デザイン基礎」6/21原田泰先生の講義レポート

2014.6.28

ふだんあまり耳にすることのない「情報デザイン」、実は、私たちの日常生活に広く関わっています。今回の講義では、公立はこだて未来大学の原田泰先生が、「情報デザイン」とは何なのか、どんなふうに情報をデザインするのかを、実践をまじえてお話しくださいました。

情報デザインの役割は「コミュニケーションを豊かにすること」

誰かに何かを伝えようとするとき、生まれたままの「データ」や「メッセージ」の状態では、なかなか伝わりにくいもの。イスは座りやすく、ハサミは切りやすくデザインされるのと同様に、データやメッセージに対し、情報としての「形」と、その情報を受け手に届ける「手段」を工夫することが「情報デザイン」であり、それによってコミュニケーションを豊かにすることが、「情報デザイン」が果たす役割なのです。

情報の利用者を理解することが大切

プロダクトデザインやグラフィックデザインなどにおいて、かつて「デザイン」は、作り手が考えて受け手に伝える、一方通行の表現でしかありませんでした。それが近年、ユニバーサルデザインやサービスデザインなど、受け手が使いやすいようにデザインする手法や、利用者をパートナーとして迎え入れ、一緒に作っていく「参加型デザイン」や「インクルーシブデザイン」といった方法が採られるようになってきたそうです。

また、「デザイン」が、工業製品やグラフィックにとどまらず、さまざまな場面で活用されるようになり、「デザイン思考」が広まってきました。デザインとは、社会の中で生きていくための創意工夫とその実践であり、「目の前の人々をハッピーにする」、「社会を変えていく」仕事である、と原田先生は言います。

デザインは「やってみて分かる」!

講義の後半は、情報の内容を図解する「インフォグラフィックス」の実践として、新聞記事を題材に、各自、紙とペンを使って図解に挑戦してみました。情報がイメージとして広がりやすい性質を持つ「絵」と、逆に集束しやすい性質を持つ「言葉」を組み合わせて、直感的に伝わるような表現をめざします。

慣れない作業に戸惑う受講生に対し、原田先生が投げかけた言葉は「やってみてわかる!」。四角を描いて、その下に「雪冷房」と書き、「言葉を添えると、それっぽく見えるんですよ」と微笑む先生。確かに四角が、雪冷房というモノに見えます。目からウロコが落ちました!

プロのグラフィックデザイナーという経歴を持つ原田先生の講義は、理論と実践の双方をカバーしており、「伝える」力の向上を実感できるものでした。そして、講義自体がまさに「情報デザイン」されており、とてもわかりやすい内容でした。原田先生、ありがとうございました!

佐々木学(2014年度CoSTEP本科/北大職員)