実践+発信

「サイエンスライティング基礎」6/14 内村直之先生の講義レポート

2014.6.21

新聞や雑誌、インターネットなど、さまざまなメディアで目にする文章。いくら読んでも頭に入ってこない、理解できない、などという経験はありませんか? 自分の理解力が足りないんだ、と諦めることなかれ。それはもしかすると、文章のほうに問題があるのかもしれません。

今回の講義では、「文章がよく分からないのは、読まれる側、つまり文章が悪い。」という観点から、科学記者や編集者として第一線でご活躍されてきた内村直之先生が、文章の考え方や組み立て方について、多くの文例を挙げながらお話しくださいました。

「文章のピントが合っているか」を考えることが大切

科学記者として長短さまざまな文章を書いてきたほか、取材や編集を統括するデスクも長年務めたという内村先生。分かりやすい文章とは、「ピントが合っている文章」であると言います。写真のピントになぞらえて、文章にも、一文一文が精密に言うべきことに対応した、正確な表現が必要であると指摘されました。

そして、ピントが合った文章を書けるようになるためのトレーニング方法は、ずばり、「他人の文章のアラを探すこと」。大学生が「自己紹介」として書いた文章などを例に、どこをどのように直せばいいと思うか、受講生に質問を投げかける展開は、まさにトレーニングでした。

段落をもとに構成を考える「パラグラフ・ライティング」の手法

また、文章全体をいくつかのパラグラフ(段落)の組み合わせでまとめる「パラグラフ・ライティング」の手法にも触れ、実際にご自身で書かれたエッセイや新聞記事を例に、全体の構成、キーセンテンス、各パラグラフがどこにピントを合わせているのかを、とても分かりやすくご説明いただきました。

コミュニケーション全般に通じる思考法を学ぶ

正確に説明すること、誰に向けての文章か考えること、媒体によって求められる文章の性格の違いを意識すること。「ピントが合っているか考える」ことは、文章に限らず、コミュニケーション全般に通じる思考法だと感じました。私たちの科学技術コミュニケーションの学びに、後々も必ず生かすことのできる、多くの気づきを与えてくれた講義でした。

佐々木学(2014年度CoSTEP本科/北大職員)