SonyのPlayStation VR、HTCのVIVE、FacebookのOculus、身近なところではGoogleのCardboardやDaydreamなど、近年VR(Virtual Reality:仮想現実)を取り巻く環境は目覚ましい進化を遂げ、VR専用コンテンツも増加傾向にあります。2017年、朝日新聞社は全国紙に先駆け、報道メディア「NewsVR」をリリースしました。これに伴う形で、VRの発展や普及を目的とした「朝日VRアワード」が開催されることになりました。
このたび、CoSTEP13期本科・メディアデザイン実習が札幌クリエイティブコンベンション“NoMaps”で開催した、子ども向けサイエンスワークショップ「没入!バーチャル支笏湖ワールド」のVRコンテンツが朝日VRアワード(応募総数136作品)の自然部門賞を受賞することになりました。
受賞作品名
子ども向けサイエンスワークショップ「没入!バーチャル支笏湖ワールド」のVRコンテンツ「支笏湖に暮らす生き物たちを発見!」
作品概要
本作品は2017年10月15日(日)に札幌市青少年科学館で開催した、子ども向けサイエンスワークショップ「没入!バーチャル支笏湖ワールド」で使用するために、北海道大学CoSTEPメディアデザイン実習の受講生が主体となって制作されました。
特徴的なのはVRだけで完結せず、現実世界のレクチャーと連動している点です。受講生たちによる支笏湖のレクチャーの後、子どもたちにVRで支笏湖を体験してもらい、VRの中で学んだことを予め用意しておいたシートにシールを貼っていく形式をとりました。VRに加え、“場のデザイン”にも配慮したおかげで、子どもたちの教育効果を高めることに成功しました。
VRの中身の部分では、外来種であるウチダザリガニに焦点を当てています。アメリカ原産のウチダザリガニが支笏湖に持ち込まれた結果、元々生息していたニホンザリガニは減少の一途をたどっています。VRですべて詰め込むと教育効果が低下するため、そのあたりのフォローはレクチャーの中で行いました。
工夫したところは、テロップを複数つけて、視線を見るべき対象へ誘導した点です。テロップがないと、どこへ視線を注げば分からなくなります。テロップに気をつけた結果、映像にストーリーが生まれ、子どもたちはVRに没入していました。
*VRの中に黒い帯が出ますが、これは撮影で使った「NIKON KeyMission360」の仕様によるものです。
*本作品の対象年齢は7歳以上としています。一般社団法人ロケーションベースVR協会発行のガイドラインに記載の推奨年齢(7歳以上)にならっています。
[ワークショップ実施レポート]
http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/1708/
[朝日VRアワード受賞発表]
http://www.asahi.com/shimbun/medialab/vraward/
審査員
宮本 亜門 (演出家)
堀江 隆 (朝日新聞社メディアラボ室長)
樫山 晃生 (朝日新聞社映像報道部次長)
作品制作者
[CoSTEP13期 本科・メディアデザイン実習]
櫻井 弘道 (北海道大学大学院 環境科学院 修士課程1年)
岡 碧幸 (北海道大学 農学部4年)
前田 裕斗 (北海道大学 農学部4年)
長谷川 俊 (北海道大学大学院 農学院 修士課程1年)
植村 茉莉恵 (北海道大学大学院 環境科学院 修士課程1年)
何 玉莹 (北海道大学大学院 理学院 修士課程1年)
上川 伶 (北海道大学 理学部2年)
早岡 英介 (北海道大学 CoSTEP 特任准教授)
村井 貴 (北海道大学 CoSTEP 特任助教)
(支笏湖ワールドのプロジェクトを企画した、メディアデザイン実習メンバーによる受賞記念撮影)
協力
[CoSTEP13期受講生]
廣島 潤子 (社会人)
才川 純一朗 (北海道大学 工学部4年)
橋本 慎太郎 (北海道大学大学院 工学院 修士課程1年)
山本 晶絵 (北海道大学大学院 文学研究科 修士課程1年)
岩崎 祥太郎 (北海道大学 工学部4年)
越後谷 駿 (北海道大学 理学部3年)
堤 光太郎 (社会人)
好井 優衣 (北海道大学 農学部4年)
日下 葵 (北海道大学大学院 理学院 修士課程2年)
[その他]
伊藤 博之 (NoMaps実行委員長/クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)
服部 亮太 (NoMaps実行委員/クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)
関 勝幸 (ダイビングインストラクター)
Shuang YANG(北海道大学大学院 文学研究科 修士課程1年)
(2017年8月に実施した支笏湖の水中撮影は廣島潤子さんや関 勝幸さんにご協力いただきました。)
(支笏湖ワールドの開催当日に、ご協力いただいたみなさんと一緒に。)
(VRテイストの記念撮影。CoSTEPはこれからも最先端の表現を駆使した、科学技術コミュニケーションを追求していきます。)
CoSTEPでは子ども向けの科学技術コミュニケーションの取り組みを受講生が中心となって長く続けてきました。今回の受賞を通じて、科学の楽しさをより一層広く伝えることをこれからも目指すとともに、VR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)といった新しいメディア技術を活用したコミュニケーション手法の追求にも取り組んでいきたいと思います。