2016年度のライティング・編集実習では様々な活動を行いました。「いいね!Hokudai」記事とカレンダー作成については本サイトで報告済みでしたが、最後に『BYWAY後志』掲載記事および広告の作成についてお伝えします。
『BYWAY後志』は後志管内の人々や事物をテーマとしたインタビュー雑誌です。昨年度に引き続き、ニセコをフィールドとして取材・執筆に取り組みました。このニセコプロジェクトは、いいねプロジェクトやカレンダープロジェクトとは違う学びを設定しました。複数の記事からなる特集記事の企画や、大学・研究者とは異なる文脈をもつ地域での取材を行うには、取材対象・コミュニティや共同執筆者とより密接なコミュニケーションをとる必要があります。ライティングメンバーはこの課題に約8カ月にわたって取り組みました。
(納品された冊子とともに記念撮影)
まず企画の大枠を、環境・エネルギー問題とその地域での取り組み、と設定しました。そして、7月17日(日)と18日(月)に、現地で一回目の取材を行いました。午前中に王子発電所、有島記念館、弥照神社を見学し、午後はエネルギー問題をテーマとしたサイエンスカフェとワークショップに参加しました(詳しくはこちらの記事を参照)
(左:有島記念館にて記念撮影。右:ワークショップで地域の声を伺い、取材候補者の方ともつながる)
事前現地取材を経て、8月から9月に企画を詰めました。そして、ニセコにおける近年とこれからの環境・エネルギー問題の取り組みを記事にするには、地域の歴地や特性、これまでの取り組みを踏まえなければならない、との結論に至りました。また、多様な立場で関わる地域の方の中から誰にインタビューをするか、またCoSTEP受講生という外部の立場で何を書けるか、等の点で議論を続けました。そして2日間で8名の方に取材することを決定しました。
本取材は9月24日(土)と25日(日)に実施しました。まず24日の10時から、イトウの保護・繁殖活動に取り組む川村洋司さん(尻別川の未来を考えるオビラメの会)にお話を伺いました。午後は有島記念館や倶知安風土館の見学などを行い、地域の歴史と風土の理解につとめました。
(左:イトウを飼育している有島ポンド。右:有島記念館にて川村さんのお話を伺う)
(コミュニティセンターをお借りして合宿。夜は酒席、朝は自炊)
翌25日の午前中はニセコ高校にて、教員の中谷知紀さんと古川茂樹さんにお話を伺い、地中熱ヒートポンプを利用したエアハウスも見学しました。また、井上剛さん(ニセコ環境評価の会)に、行政と地域住民の関係と環境問題の取り組みについてインタビューをしました。
(左:ニセコ高校のエアハウスにてインタビュー。右:羊蹄山をバックに井上さんとお話し)
午後はニセコ倉庫邑旧でんぷん工場のカフェで、向田薫さん(ニセコ中央倉庫群館長)に、倉庫の復元と再利用、その意義についてお話を伺い、さらに聖未知矢さん(地域おこし協力隊)と国際交流員のデリク・モールさんとエマヌエル・ノイバウアさんに、ニセコの「新しい住民」の一人として語っていただきました。
(かつてでんぷん工場だったカフェにて向田さんと)
(右:左から聖さん、デリクさん、エマヌエルさん)
取材終了後の10月から11月にかけては、企画の微修正、文字起こしと草稿執筆。そして12月にはBYWAY後志の編集を行っている久須美英男さんにお越しいただき草稿について御意見を頂くとともに、BYWAY後志発行の経緯やねらい、地域誌の意義についてお話していただき、執筆の方針をより明確化しました。
BYWAY後志には記事だけでなくCoSTEPの広告も掲載すべく、CoSTEPデザインスタッフの協力も受けて企画・制作に取り組みました。読者層にあわせ、イラストにするか写真にするか、モデルの年代や小物に至る細部まで検討しました。そしてコピーと限られた本文で何をどう書くか、これまでと違ったライティングに取り組みました。
(左:手描きのラフ案。中左:机の上におく小物の配置も考えて撮影準備。中右:撮影。右:完成した広告)
3月11日の修了式で成果を発表するために、年明けからは作業の大詰めです。各記事のすりあわせや推敲を何度も何度も繰り返し、取材先に事実関係の誤りがないかのチェックも受けました。また、あらためて活動全体を振り返り、扉文の構成や、特集記事のタイトルを検討しました。
(左:入稿までのスケジュールを検討。右:付箋と写真をつかって振り返り)
そしていよいよ納品、冊子と対面です。やはり紙に印刷される喜びはひとしお。取材先の皆様にお礼状を書いて、ニセコプロジェクトは終了しました。このプロジェクトを通して、書くことの意義と責任をより強く実感することができました。取材先の皆様、BYWAY後志の皆様に御礼申し上げます。