2015 CoSTEP10周年
研究者参加者インタビュー

サイエンス・カフェ札幌のゲストをつとめた研究者や参加した学生の感想

伊藤 肇さん

第59回サイエンス・カフェ札幌
「キセキが光る 〜光る分子のミラクルパズル〜」を経験して
北海道大学工学院 教授

初めてサイエンス・カフェ札幌を担当した時には、市民の方々に自分の研究を説明するのは難しいのではないかと感じていましたが、CoSTEPのサポートがあったおかげで無事成功させることができました。普段は学会や大学などで専門家相手に講演をしていますが、札幌の中心部にあるオシャレな場所でサイエンス・カフェを開催できたのはとても新鮮で楽しかったです。

それまでは、サイエンス・カフェというものの存在を全く知りませんでしたし、日々行っている研究は専門的で、市民にうまく伝えることは端からできないと考えていました。サイエンス・カフェ札幌を経験した後では、研究者の側が率先して市民に伝える努力をすることが大事なのだと考えを改めるようになりました。市民と専門家の間にある乖離をなくすため、これからも私自身が意識して市民に伝えていこうと思います。

田口 純平さん

第59回サイエンス・カフェ札幌
北海道大学工学院 修士課程2年

「キセキが光る 〜光る分子のミラクルパズル〜」を経験して
工学部2年の時に進路について迷っていた私はサイエンス・カフェ札幌に伊藤肇先生がゲストでいらっしゃるということを聞き及び、研究室の志望先のひとつとして検討すべく参加しました。伊藤先生の研究のお話はすごく分かりやすくて楽しかったことを記憶しています。それは伊藤先生ご自身が楽しみながら研究なさっていることの現れに他ならないと思いました。こんなにも楽しく研究されている伊藤先生の指導を仰ぐことができれば、より広く深い学びを得られるのではないかと考え、伊藤研究室に所属することを決心し、現在に至っています。

石井 哲也さん

第82回サイエンス・カフェ札幌
「生命に介入する科学 III 〜受精卵の選別・操作、その社会的意味を考える〜」を経験して
北海道大学 安全衛生本部教授

研究者が日々行っている研究の成果は論文に書くだけでは専門家にしか伝わりません。市民の方々に広く伝えていくにはサイエンス・カフェを通じて発信することがなにより大事なのだと考えています。

私がゲストを務めたサイエンス・カフェ札幌では“生殖医療”というデリケートなテーマを扱ってきました。こういった難しいテーマは公の場ではなかなか議論できないものですが、サイエンス・カフェ札幌はそれを可能にしてくれました。市民の皆さんと対話を行うことで忌憚のない意見が数多く寄せられ、たいへん有意義な時間を共有することができました。サイエンス・カフェ札幌から北海道全体へ広がり、最後は日本全体でこの問題が議論されていくと尚良いと思います。

“生殖医療”という目の前の問題に対し、国が法律を作って規制しようとしても、外国へ行ってでも受けようとする人たちが出てきます。だからこそ、研究者と市民がサイエンス・カフェの場で一緒になってしっかり考えるということが大切なのではないでしょうか。