2015 CoSTEP10周年
CoSTEP受講生の言葉

サイエンス・カフェ札幌「生命に介入する科学」にファシリテーターとして参加した大学院生の言葉

多様なバックグラウンドを持った市民と対話を行うことで、 ひとつのテーマに対する考え方や立場の違いを吸収することができました。

池田 陽さん

北海道大学農学院修士1年/CoSTEP 2015年度受講生

サイエンス・カフェ札幌で初めてファシリテーターを担当しました。“出生前診断”という現在進行形の重要なテーマだっただけに、短い時間でグループメンバーの議論をまとめるのが難しかったです。私自身がいわゆる高齢出産で生まれていることもあり、このテーマはとても身近なものとして受け止めざるを得ないという困難さもありましたが、その中でもなるべく活発なコミュニケーションが図れるよう、積極的にファシリテーションを実践しました。

サイエンス・カフェ札幌で扱われるテーマは実に多彩で、時には今回のように社会的に重要でありながらも十分な議論が尽くされていない内容を取り扱うことがあります。それは目を背けたくなるような現実だったりもしますが、それを直視し、市民と対話を続けるという姿勢はサイエンス・カフェ札幌の優れている点だと思います。

内山 明さん

北海道大学農学院修士2年/CoSTEP 2014年度修了生

グループディスカッションではファシリテーターを担当しました。 今回で三度目のファシリテーターでしたが、グループのメンバーがなるべく自発的に議論に参加できるよう心掛けました。また、今回のテーマをきっかけにして、新しい視点や見落としていた論点が話題に上がることを狙い、収束させる方向で進めるのではなく、議論が広がるような意見を求める姿勢で取り組みました。

私のグループには医学を学んでいる学生がいましたが、カフェが終わった後に、ご本人が「大学では教科書に書いてあることを中心に淡々と勉強するだけですが、サイエンス・カフェ札幌を通じて、さまざまな意見があるのだということが分かりました」と述べていました。医学を専門としている人たちに対して、新たな視点を提示することができたのは一つの成果であり、サイエンス・カフェ札幌の意義を再発見した瞬間でもありました。

重井 真琴さん

北海道大学工学部3年/CoSTEP 2014年度修了生

サイエンス・カフェ札幌には何度か参加していますが、今回のディスカッションで初めて導入されたダンボール製の円卓は議論を進める上でとても役立ちました。円卓は膝に載せるスタイルなので、自然とお互いの距離が縮まり、自己紹介がしやすくなりました。また、円卓に書き込みをしたり、自分の意見をシールで表現したりといった工夫を施すことで、誰もが参加しやすい環境作りができました。カフェが開催される度に、議論を盛り上げる工夫がどんどん取り入れられ、その度に新鮮な気持ちでテーマと向かい合える点はサイエンス・カフェ札幌の特徴だと思います。

社会的に関心の高いテーマについて研究者と市民が率直に議論できる場所はサイエンス・カフェ以外にはなく、2005年のサイエンス・カフェ元年から大規模に活動してきたサイエンス・カフェ札幌の社会における貢献度は非常に高いものがあるのではないでしょうか。私は今後もサイエンス・カフェ札幌に参加し、現役世代から次世代の子どもたちまでを対話の力で結びつけていきたいと考えています。

高橋 香帆さん

北海道大学農学部4年/CoSTEP 2015年度受講生

サイエンス・カフェに参加したのは初めてでした。カジュアルなスタイルでコーヒーを飲みながら、最先端の研究をなさっている先生のお話に耳を傾けるのは普段の大学の講義とは違い、とても新鮮な印象を受けました。

それに加え、参加者同士で行ったグループディスカッションでは、多様なバックグラウンドを持った市民と対話を行うことで、ひとつのテーマに対する考え方や立場の違いを吸収することができました。このような経験は貴重なので、研究者と市民を結びつける場をもっと広めていくべきだと強く感じています。

もちろん、次回のサイエンス・カフェ札幌にも参加するつもりです。何度も参加し続けることで、現在よりもっと広い視野で科学技術というものを捉えられるようになるのではないかと考えています。